こんにちはブラック本丸。私はただの迷子です。
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茶室から出た名前は、さっき角から覗いた時に見えた右手側にあった部屋を見つめた。
よく見ると飛び石と繋がっている縁側は、今まで歩いてきた縁側よりも二倍程広かった。そこにどんな意味があるのかさっぱり分からないが、人の往来が多かったのかなと想像を膨らます。右側には歩いてきた縁側があり、玄関から見えた廊下と繋がっているのだろう。廊下は更に奥へと繋がっており、まだまだ奥に部屋があるのだろうと思う。
耳を澄ませる。何も聞こえない。
大丈夫だろうと思い、ゆっくりと縁側に近づく。縁側にはまだ上がらず、部屋の中に誰か居ないかじっと耳を澄ます。そして、縁側に上がり部屋の障子を少し開ける。覗いてみたが何も無い。その事にホッとしながら障子を開け、中に入る。何故だか分からないが一応障子を閉める。
嫌な予感がした。昔から勘は良く、このお陰で何度も危機から脱出した経験がある。一先ず障子から離れ、部屋を区切っている襖を開ける。此方も何も無く、精々座布団が二、三枚隅に積まれているだけだった。
奥が壁だが、それ以外は障子である。もし何かが通った時に、影を隠せる様に通り道を作っておくのだ。
開けた襖の敷居にしゃがみ込む。嫌な予感はどんどん強くなってくる。心なしか空気が重くなった様に感じる。ドクドクと高鳴っていく鼓動を何とか抑え込む。いつの間にか震えている身体も抑え込み、息を潜める。
ズル…ズル…。
何かを引きずる様な音だ。歩いているのだろうか、その足並みはゆっくりだ。近付いてくる。
入ってきた障子の左側奥からやってきたのか、目の前の障子に影が移り始めた。人…なのだろうか。その影は引きずる様な音を立てながらゆっくりと障子の前を歩いていた。名前は隣の部屋に移り、壁を背にして襖から様子を伺っていた。
あれは人ではない。
名前は、感じたことのない禍々しい瘴気を感じ、本能的に恐れた。あれはやばい。見つかったら確実に殺されるだろう。
膠着していた身体を何とか動かし、隣の部屋に移る準備をする。あれは大広間の方に行くのか角を曲がり、名前が入ってきた障子の前を歩いている。早くあっちに行って…!!と心の中で祈るが、足並みは変わらない。
だが、途中で立ち止まった。
気付かれた…?!と名前は顔をサアっと青ざめるが、違った。
「ア”ァァァァアミィィカァヅキィィィ‼︎!!!」
発狂した。突然のことで、名前は悲鳴が出そうだったが、それを後ろから伸びてきた手が抑えた。
「静かにしろ。あれは気付いていない。静かにしていれば大丈夫だ。」
後ろから抱き込む様にして口を抑えられている名前は、耳元で囁く突然現れた青年に目を白黒させる。誰ですか?!
そう思っている間にも、あれは歩き始めた。青年もそれに気付いているのか、名前を抱えたまま影と入れ替わる様にして隣の部屋に移動した。
青年はあれの気配を探っているのか、まだ離してくれない。ドクドクと相手の鼓動を感じる。この人も緊張しているのだろうか。
赤ちゃんは、心臓の音を聞くと母親のお腹の中にいた頃の様に感じて安心するらしい。それと同じ原理なのか、密着していると段々と落ち着いてくる。
「行ったか。」
その人はそう呟くと、やっと口から手を退かしてくれた。はぁと深く息を吐き出す。怖かった。恐ろしかった。今迄で一番怖かっただろう。
「あの…えと、有り難うございます。助けて貰って…。」
「何、細かい事は気にするな。」
青年の微笑んだ顔を見上げながらお礼を言う。口は解放して貰ったが、何故か抱えられているままだ。慌てて降りようと力を入れるとグッと押さえ付けられる。あれ〜?何で〜?
退くことを諦め、青年を改めて見てみる。黒のスラックスに白いベルト、赤いラインの入った黒い上着の上に鶯色の籠手のような物が付いたものをを羽織っている。そして、何より一番目に付くのは、腰に携えている刀である。よくよく見れば、先程まで名前が両手で抱えていた物だ。何時の間に…。視線に気が付いたのか青年は、フッと笑った。
「古備前の鶯丸。名前については自分でもよくわからんが、まあよろしく頼む。」
「?はぁ…?よろしくお願いします?」
いきなり名を名乗られて驚いたが、よろしくと言われて返さないのも何だと思って、気の抜けたような返事を返してしまった。すると、今まで何ともなかった短刀がガチャガチャと鍔を鳴らし始めた。え?え?何?!
如何したらいいのか分からず、ワタワタしていると青年…鶯丸が笑い出した。
「フフ…。薬研、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。何なら姿を現せばいいだろう?恐らく顕現できるはずだ。」
「やげん?」
やげんと云えば薬研だろうか。漢方薬をすり潰す道具を思い出す。すると、短刀から桜と光が散った。突然の光に目を瞑ってしまう。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ。」
声が聞こえて目を開くと、目の前には口元に笑みを浮かべた黒髪の色白な少年が居た。さっきまでいなかったはずの少年が、一体何処から現れたのか。頭の中が大混乱を起こしている。
ピシリっと固まってしまい間抜けな顔になっているのか、二人はクスクスと笑っている。
「そうだな。状況を教えなければならないな。」
笑いながら鶯丸がそう言うと、薬研も同じ考えなのかその場に座った。
…ちょっとその前に下ろして貰えません?鶯丸さん?
よく見ると飛び石と繋がっている縁側は、今まで歩いてきた縁側よりも二倍程広かった。そこにどんな意味があるのかさっぱり分からないが、人の往来が多かったのかなと想像を膨らます。右側には歩いてきた縁側があり、玄関から見えた廊下と繋がっているのだろう。廊下は更に奥へと繋がっており、まだまだ奥に部屋があるのだろうと思う。
耳を澄ませる。何も聞こえない。
大丈夫だろうと思い、ゆっくりと縁側に近づく。縁側にはまだ上がらず、部屋の中に誰か居ないかじっと耳を澄ます。そして、縁側に上がり部屋の障子を少し開ける。覗いてみたが何も無い。その事にホッとしながら障子を開け、中に入る。何故だか分からないが一応障子を閉める。
嫌な予感がした。昔から勘は良く、このお陰で何度も危機から脱出した経験がある。一先ず障子から離れ、部屋を区切っている襖を開ける。此方も何も無く、精々座布団が二、三枚隅に積まれているだけだった。
奥が壁だが、それ以外は障子である。もし何かが通った時に、影を隠せる様に通り道を作っておくのだ。
開けた襖の敷居にしゃがみ込む。嫌な予感はどんどん強くなってくる。心なしか空気が重くなった様に感じる。ドクドクと高鳴っていく鼓動を何とか抑え込む。いつの間にか震えている身体も抑え込み、息を潜める。
ズル…ズル…。
何かを引きずる様な音だ。歩いているのだろうか、その足並みはゆっくりだ。近付いてくる。
入ってきた障子の左側奥からやってきたのか、目の前の障子に影が移り始めた。人…なのだろうか。その影は引きずる様な音を立てながらゆっくりと障子の前を歩いていた。名前は隣の部屋に移り、壁を背にして襖から様子を伺っていた。
あれは人ではない。
名前は、感じたことのない禍々しい瘴気を感じ、本能的に恐れた。あれはやばい。見つかったら確実に殺されるだろう。
膠着していた身体を何とか動かし、隣の部屋に移る準備をする。あれは大広間の方に行くのか角を曲がり、名前が入ってきた障子の前を歩いている。早くあっちに行って…!!と心の中で祈るが、足並みは変わらない。
だが、途中で立ち止まった。
気付かれた…?!と名前は顔をサアっと青ざめるが、違った。
「ア”ァァァァアミィィカァヅキィィィ‼︎!!!」
発狂した。突然のことで、名前は悲鳴が出そうだったが、それを後ろから伸びてきた手が抑えた。
「静かにしろ。あれは気付いていない。静かにしていれば大丈夫だ。」
後ろから抱き込む様にして口を抑えられている名前は、耳元で囁く突然現れた青年に目を白黒させる。誰ですか?!
そう思っている間にも、あれは歩き始めた。青年もそれに気付いているのか、名前を抱えたまま影と入れ替わる様にして隣の部屋に移動した。
青年はあれの気配を探っているのか、まだ離してくれない。ドクドクと相手の鼓動を感じる。この人も緊張しているのだろうか。
赤ちゃんは、心臓の音を聞くと母親のお腹の中にいた頃の様に感じて安心するらしい。それと同じ原理なのか、密着していると段々と落ち着いてくる。
「行ったか。」
その人はそう呟くと、やっと口から手を退かしてくれた。はぁと深く息を吐き出す。怖かった。恐ろしかった。今迄で一番怖かっただろう。
「あの…えと、有り難うございます。助けて貰って…。」
「何、細かい事は気にするな。」
青年の微笑んだ顔を見上げながらお礼を言う。口は解放して貰ったが、何故か抱えられているままだ。慌てて降りようと力を入れるとグッと押さえ付けられる。あれ〜?何で〜?
退くことを諦め、青年を改めて見てみる。黒のスラックスに白いベルト、赤いラインの入った黒い上着の上に鶯色の籠手のような物が付いたものをを羽織っている。そして、何より一番目に付くのは、腰に携えている刀である。よくよく見れば、先程まで名前が両手で抱えていた物だ。何時の間に…。視線に気が付いたのか青年は、フッと笑った。
「古備前の鶯丸。名前については自分でもよくわからんが、まあよろしく頼む。」
「?はぁ…?よろしくお願いします?」
いきなり名を名乗られて驚いたが、よろしくと言われて返さないのも何だと思って、気の抜けたような返事を返してしまった。すると、今まで何ともなかった短刀がガチャガチャと鍔を鳴らし始めた。え?え?何?!
如何したらいいのか分からず、ワタワタしていると青年…鶯丸が笑い出した。
「フフ…。薬研、そんなに怒らなくてもいいじゃないか。何なら姿を現せばいいだろう?恐らく顕現できるはずだ。」
「やげん?」
やげんと云えば薬研だろうか。漢方薬をすり潰す道具を思い出す。すると、短刀から桜と光が散った。突然の光に目を瞑ってしまう。
「よお大将。俺っち、薬研藤四郎だ。兄弟ともども、よろしく頼むぜ。」
声が聞こえて目を開くと、目の前には口元に笑みを浮かべた黒髪の色白な少年が居た。さっきまでいなかったはずの少年が、一体何処から現れたのか。頭の中が大混乱を起こしている。
ピシリっと固まってしまい間抜けな顔になっているのか、二人はクスクスと笑っている。
「そうだな。状況を教えなければならないな。」
笑いながら鶯丸がそう言うと、薬研も同じ考えなのかその場に座った。
…ちょっとその前に下ろして貰えません?鶯丸さん?