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こんにちはブラック本丸。私はただの迷子です。

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廊下へと戻った名前は、一息付く。途中から気にしないようにしていたとはいえ、あの様な悲惨な光景は御免被りたい。

目の前にある何とか白い壁を見て気持ちを落ち着かせる。そして、右側に視線を向ける。縁側である。先程まで居た大広間と接してはいるが、中から外を見ることは無かった。その為、縁側がどのようになっているのか想像がつかない。しかし恐らく、いや確実に血痕があるだろう。

名前はドクドクと高まってくる鼓動を抑え、恐る恐る縁側に近づく。そして、完全に縁側に出る前に角からゆっくりと顔を覗かせた。

目の前には建物があった。舞台のようなものがある。左側には廊下が続いており部屋が一つあるようだ。右側には先程の大広間の障子が続いている。縁側には予想通り、沢山の血痕が残っていた。

奥に角が見えるので、玄関から見えた奥の廊下と繋がっているのだろう。

外を見てみると、想像以上の広大な中庭であることが分かった。池だ…。側に小さな家みたいなものもある。枯れた桜の木もあった。

どうやら誰も居ないようだ。そう判断し縁側へと移動する。左側の部屋を見てみたが特に何もなく、目の前の舞台がある建物にも何も無かった。仕方なく縁側へと戻り、縁側に沿って歩き出す。やはり血痕が染み付いている。引きずったような跡も見える。

一体此処で何があったのか。先程の大広間からみても此処はおかしい。何らかの事件があったのならば、警察が何らかの始末をしているはずである。しかし現状、この屋敷には一切の手が加えられていない。…段々ときな臭くなってきた。

そう考えているうちに角へと近づいて来た。また角からゆっくりと顔を覗かせる。右手側にまた部屋が見えた。そこの縁側から飛び石があり池へと繋がっている。池の側にあった小さな建物は如何やら茶室の様である。誰もいない様であるから、地面に下りてみる。そして、もう一度周囲を見渡し耳を澄ましてみる。…誰もいないね。

名前は比較的近かった茶室から調べてみる事にした。必然的に池にも近づく事になり池を覗いてみると、何も無かった。水は干上がってしまっていて本来ならば悠悠と優雅に泳いでいる鯉が骨になっている。干上がってからかなりの時間が経っているせいか、思っていたよりも臭くはない。よく見れば奥の方に桟橋が架かっている。朱色の塗装が剥げており見るのも無残な姿である。勿体ない。

気を取り直し、茶室の扉を探す。茶室の扉は小さい為、両手を着いて滑り込む様にして入らなければならない。手が汚れるなぁと思っていたが、この茶室は縁側がついている様でそちらから入ることが出来そうだった。ラッキー。

一応角からゆっくりと顔を出して中を覗いてみる。誰も居ない。

あ、刀だ。

名前の視線の先には刀があった。大広間にはこの短刀以外、全て折れてしまっていたので無事な刀が新鮮に見えた。縁側から室内へと入る。茶釜や茶器といったものは見当たらない。何処かに片付けてあるのだろうか。

一歩ずつ刀に近付く。その刀は普通の刀よりは大きかった。黒の柄に黒い鞘。梅の様な飾りと帯刀する為なのか輪っかのような金具が付いていた。何というか上品な刀だ。何かが揺らいだ様な気配を感じたが周りには何も居ない。はて?と首を傾げるが何も分からなかった。

一応刀の状態を確認しておこう。あまりにも酷い様なら持ち歩くことが逆に負担になってしまうかもしれないし。そう思い名前はスッと鞘から少し脱刀する。

綺麗…。

先程の短刀といい、此処にある刀は皆綺麗な物ばかりだ。素人故に良し悪しは判らないが、折れた刀たちも皆綺麗だった。ちゃんと手入れすればもっと綺麗になるのではないだろうか。

この刀は曇ってはいるものの刃こぼれが少なかった。短刀よりはマシかな…?

刀身を鞘に納める。持ち歩いても大丈夫だろう。流石に重くて片手で持つことが出来ないので短刀と一緒に両手で持つ。もう他には無いようだ。不思議な気配がまたしたような気がしたが、どうせ分からないだろうと首を傾げながら茶室を出た。
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