第1章 始まりは居酒屋で

 羽力が永久機関になっている機械都市と、魔法粒子が永久機関になっている魔法地域が、この春合併して一つの国になったのは、メイ=リウにとっても、その恋人のケイト=ハーランドにとっても耳に新しい。

 機械省の事務受付で働くメイは、まだ政府の手が届いていない地域の担当部署所属の身で、その地域からかかってくる電話に毎日悩まされていた。

 時を同じく、魔法省の事務受付で働くケイトも、まだ政府の手が届かない地域担当の部署に所属していて、その地域からかかってくる電話にはうんざりしていた。

 仕事帰り、メイはケイトをいつもの飲み屋に誘い出した。
「お疲れ、ケイト。待ってたわよ」
 メイの手には既に注がれた泡が溢れそうなジョッキが。
「お疲れ、メイ。今日で仕事を全部終わらせてきた」
 間もなくケイトにもジョッキがきた。
「えらい! その頑張りに乾杯!」
「ありがとう。乾杯!」
 いきなり一気飲みをしたメイは、その勢いで、鞄から地図と手のひらサイズのノートを取り出し、木製テーブルの上に広げた。
「休職中の旅の計画、順調に進んでるわよ。ケイトがこの前言ってた要望に応えて、休憩スポットも良い所三か所に絞ったわ」
「見せて見せて。……あら、良いじゃない!」
「でしょー?! 他に何か要望や意見はある? なければこれで完成よ」
「楽しみね! いつ行くんだっけ?」
「着替えとか用意する時間考えたら、出発は明後日の朝が良いわね」
「そうしましょう! かんぱーい!」
「かんぱーい!」
居酒屋で飲んだ後、2人は同じ家に帰る。
泡でいっぱいの猫足バスタブで寛ぐケイトが、その細長い脚をはみ出しながら陽気に聞く。
「ねぇ、昨日の夜にメイから婚約指輪貰ってから一日経ったけど、私たち、いつ籍入れるの? 早くケイト=リウって名乗りたいわ!」
 猫足バスタブの前でシャワーを浴びていたメイが、長いピンク髪をシャンプーしながら逃避マッサージしつつ答える。
「それも明日の朝、済ませちゃいましょ。旅も愛もスピード勝負なんだから」
「そうよね。少しでもあんたのせっかちが良い方向に向くなら、それに越したことはないわよ」
「寒いから早く出ましょう。ほら、ケイトもシャワー浴びちゃって!」
「は~い!」

 お風呂から上がった2人は、キングサイズのベッドでバスローブ姿のまま寝る。
「おやすみ、メイ」
「おやすみ、ケイト=ハーランド」


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