第1章 (二)付喪神玲子登場
玲子の上司の三浦 田保 警部は、玲子と事裏 巡査を、火災現場である館へと向かわせた。
消防車5台でようやく鎮火した館へ向かい、大玄関のドアを世界標準回数の4回ノックする。玲子の頭には粉雪がちらちらとついている。
当たり前ながら誰も出てこない。ので、玲子は上司から渡された鍵を使って館の中へ入った。
ドアの蝶番の軋む音が大きかったが、玲子も事裏も気にしない。
2人で手分けして全部屋を回る。
2階と6階と8階に、逃げ遅れたのであろう焼死体が横たわっていた。
玲子と事裏は応援を呼び、すべての焼死体の身元の確認を急いだ。
焼死体のうち1体は老女だった。
「付喪神警部補、こっちに来てください」
応援が集まってきたところで、玲子は事裏が居る、館の外に出た。
「何だ、事裏巡査?」
目の前には見慣れない少年――おそらく小学六年生くらいの男の子が来ていた。
「俺、館が燃える一部始終を知ってるぜ」
少年は言った。
「君、名前は?」
玲子が聞いた。
「笠野勇一」
「この近くに住んでいるの?」
勇一は、首元に巻いているマフラーで一瞬口元が隠れるように深く頷く。
「ちょうど散歩に出かけていた途中のできごとだったんだ」
事裏巡査が聞く。
「この館はいつから燃えていたのかな?」
「わからない。朝から燃えていたのは間違いないけど、腕時計を家に置いてきちゃったから正確な時間はわからない」
今度は玲子が応答する番だ。
「そっか。ねぇ、この館の住民の中で笠野君の知り合いは居た?」
「居る。今は膝を痛めて入院してる祖母が居る」
「わかった。もう帰りなさい。捜査に協力してくれてありがとうね。お家の前まで送るわ。乗って」
勇一は素直にパトカーの後部座席の窓辺の席に乗った。勇一は帰り途中に玲子たち刑事にいくつか秘密を教えてくれた。
「あの館の生き残りは、俺の祖母と、俺の知らない若い女性だけだ。おばあちゃんは画家だから、帰ったら自分の作品が焼失したのを見て落胆するな。心配だ」
並木道を過ぎて、間もなく雪化粧をした勇一の実家の前で車は停まった。
「送ってくれてありがとう。それじゃ」
少年は車を降りて実家の門を開いて中へ入っていった。
玲子は彼が実家の玄関のドアを開けて中へ入って行くのを見守ってから、近隣住民への聞き込み調査を開始した。
雪は既に止んでいた。
聞き込みの調査結果によれば、勇一が言っていた「俺の知らない若い女性」は2階の住人らしく、時々勇一の祖母の自宅を訪問していたようである。
消防車5台でようやく鎮火した館へ向かい、大玄関のドアを世界標準回数の4回ノックする。玲子の頭には粉雪がちらちらとついている。
当たり前ながら誰も出てこない。ので、玲子は上司から渡された鍵を使って館の中へ入った。
ドアの蝶番の軋む音が大きかったが、玲子も事裏も気にしない。
2人で手分けして全部屋を回る。
2階と6階と8階に、逃げ遅れたのであろう焼死体が横たわっていた。
玲子と事裏は応援を呼び、すべての焼死体の身元の確認を急いだ。
焼死体のうち1体は老女だった。
「付喪神警部補、こっちに来てください」
応援が集まってきたところで、玲子は事裏が居る、館の外に出た。
「何だ、事裏巡査?」
目の前には見慣れない少年――おそらく小学六年生くらいの男の子が来ていた。
「俺、館が燃える一部始終を知ってるぜ」
少年は言った。
「君、名前は?」
玲子が聞いた。
「笠野勇一」
「この近くに住んでいるの?」
勇一は、首元に巻いているマフラーで一瞬口元が隠れるように深く頷く。
「ちょうど散歩に出かけていた途中のできごとだったんだ」
事裏巡査が聞く。
「この館はいつから燃えていたのかな?」
「わからない。朝から燃えていたのは間違いないけど、腕時計を家に置いてきちゃったから正確な時間はわからない」
今度は玲子が応答する番だ。
「そっか。ねぇ、この館の住民の中で笠野君の知り合いは居た?」
「居る。今は膝を痛めて入院してる祖母が居る」
「わかった。もう帰りなさい。捜査に協力してくれてありがとうね。お家の前まで送るわ。乗って」
勇一は素直にパトカーの後部座席の窓辺の席に乗った。勇一は帰り途中に玲子たち刑事にいくつか秘密を教えてくれた。
「あの館の生き残りは、俺の祖母と、俺の知らない若い女性だけだ。おばあちゃんは画家だから、帰ったら自分の作品が焼失したのを見て落胆するな。心配だ」
並木道を過ぎて、間もなく雪化粧をした勇一の実家の前で車は停まった。
「送ってくれてありがとう。それじゃ」
少年は車を降りて実家の門を開いて中へ入っていった。
玲子は彼が実家の玄関のドアを開けて中へ入って行くのを見守ってから、近隣住民への聞き込み調査を開始した。
雪は既に止んでいた。
聞き込みの調査結果によれば、勇一が言っていた「俺の知らない若い女性」は2階の住人らしく、時々勇一の祖母の自宅を訪問していたようである。
1/1ページ
