付喪神玲子と業火の館の殺人

「先生、どこへ行くんですか?」
 軽を運転する斉藤先生は、後部座席の紫堂杏奈に話しかけられた。
「紫堂さんの知らない楽園だよ。あ、着いた、着いた。ここだよ」
 2人が着いた先は、パチンコ屋だった。
「先生、本当にギャンブルがお好きなんですね」
「好きで通ってるわけじゃないけど、今の状況からして楽園といえる場所はここしかないんだ。さぁ、報酬を受け取りに行こう」
「そうですね、先生」
 2人の背後の遠くから、パトカーのサイレンが響いてきている。斉藤と杏奈は急いで中に入り、階段を下りて地下で待つ指示役に会いに行く。
 地下室のドアの丸い窓から、蛍光灯の光が漏れていた。斉藤がドアを開け、後から杏奈が続いて地下室の中へ入った。
「遅かったじゃないか、斉藤くんに杏奈ちゃん」
「すいません、遅くなりました。ですが、報酬は……?」
 斉藤がそこまで言うと、いきなり地下室のドアが突き破られる音がした。
 斉藤と杏奈も、音がしたほうを見る。
そこには、玲子と勇一と事裏巡査が居た。
「斉藤先生、紫堂杏奈、そこまでよ!」
 玲子がつかつかと地下室の中へ入ってきた。
「闇鍋にフグを入れたのは、斉藤先生、貴方ね。そして、館を燃やしたのは、斉藤先生で、ガソリンをまいたのは、紫堂杏奈、貴女なのね」
「ちくしょう‼」
「バレちゃったか~」
 斉藤も杏奈も、その場に崩れ落ちる。
「そして指示役の回藤‼ お前も逮捕だ!」
「杏奈、何してんだよ」
「別れよう、勇一。こんな私、もう好きじゃないでしょ」
「バカ言うな。出所の日が来たら、僕が迎えに行くよ」

(完)
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