序章 秘密を抱えた少年

 自宅で黒のロン毛を後頭部でお団子ヘアにして、歯を磨き、少年は鏡の前から離れた。
14歳の中学生の笠野勇一は一人で散歩に出かけた。
 田舎町に住んでいる笠野の家がある地域では粉雪が降り積もっていた。勇一はでかけるまえにマフラーをしっかり自分の首に巻いてきている。指先がかじかむ。
 道路脇の歩道を途中まで歩いたところで、勇一は立ち止まった。目の前8メートル先で、激しく燃える館を見てしまったからだ。
 通報する勇気がなかったため、勇一はそのまま自宅へ引き帰した。
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