第1話

 魔法のほうきに乗って、アンジェリカ=フランチェリコは今日も魔法薬剤師のユーキ=スタシアの弟子として働きに薬局へ行く。
 営業時間前に着くと、裏口の箒専用ロッカーに箒を入れて、魔法で鍵をかけてから出勤する。
 タイムスタンプを押して、タイムカードを元に戻してから、アンジェリカはユーキの背中に向かって挨拶する。
「おはようございます、ユーキ先生!」
 ユーキは今日も長いエメラルドグリーンの髪をシュシュでポニーテールにまとめて、お薬の調合をしている。
 ユーキは背後のアンジェリカ振り向いて返す。
「おはよう、アンジェリカ。待ってたわよ。今日も宜しくね」
「はい‼」
 アンジェリカは脚立を薬局の裏から持ってくると、薬局内でい茂る薬木やくぼくの様子を観察した。
「今日も枯れてるところはないですね」
「なら今日も安心して営業できそうね」
 ユーキの表情はアンジェリカから見て明るくなったのがわかる。
「はい!」
 午前7時。開局時刻となった。
「ユーキ先生。今日もエレモニア様にお薬届けてきます。飲み方の説明は前にユーキ先生と一緒にお伺いしたときに説明済みなので、今回は私ひとりで行ってきます」
「行ってらっしゃい!! 気をつけてね」
「はい!!」

 仕事を1件済ませると、アンジェリカはユーキの薬局まで戻ってきた。
 午前10時には薬局内は大混雑していた。

 午前11時59分には混雑は解消され、ユーキもアンジェリカも暇になってしまった。
 薬局の休憩時間に、ユーキから食事に誘われたので、2人でランチに出かける。
 カフェでランチを楽しんでいた時、アンジェリカはお鉢様はちさまの話をした。
「おはちさま? 何それ?」
「しゃべる盆栽です。人のこころをよく見ている不思議な盆栽なんです。ユーキ先生はお鉢様にはまだ会ったことないと思うので、私がのちほど薬局まで連れてきます」
「それは楽しみね。今からドキドキだわ」
 カフェでお会計を済ませ、ユーキが薬局に先に着いてから、あとからアンジェリカが風呂敷に包まれたお鉢様を連れてきた。
 風呂敷をめくって、お鉢様を紹介した。
「こちらが例のお鉢様です」
 ユーキとお鉢様が初めて会話する。
「うむ。わしの名は鉢。宜しく頼むぞ」
「初めまして。ユーキ=スタシアです。こちらこそ宜しくお願いしますね」
 既に白衣姿のユーキはかがんでお鉢様に目線を合わせてあいさつした。
「アンジェリカとはよく食事する仲なのか?」
「えぇ、そうです。お鉢様」
「仲良きことは良いことだ。開局時間になったらわしはおとなしく見守っておるぞ、お2人さんのことを」
「「ありがとうございます、お鉢様」」
 その後、午後は何事もなく仕事を終え、アンジェリカはお鉢様を連れて帰宅した。
 お鉢様はただ「お疲れ様」というだけで、他は何も言ってこなかった。
 それからは毎日、アンジェリカはお鉢様を連れて薬局へ出勤する。


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