第1章 流れゆく時間はゆるやかに

 市民が安心で安全な環境で生きていけるよう設計から造船までされた第一艦隊。その司令室。
 モルダはその司令塔担当として、現場を指揮している。
 慎重さを大切にしながら、星と星の間を通り抜け、漸く着いた金星。
 司令室の機動部隊メンバーは着くやいなや、しばしの仮眠をとる。
 起きている、司令塔の右腕のトネリガワと、教授の三人で連携を取りながら次の目的地についてと、そこまでの運行について話し合う。
 結果、モルダはIルートを採用した。
 次なる目的地は地球だ。モルダはここで銀河暦6000年の祝いをしようと考えている。
 夜になり、起動部隊員たちが起きると祝賀記念の地を地球とし、次なる目的地は地球だと発表し、それに向けて指示を出した。
 安全に、ゆっくりな運行となるように。
 起動部隊員たちが仕事を再開している間に、モルダは部下が土産に買ってきた金星バーガーを食べ終えると、艦内のレストランへ向かった。
 ハンバーグディナーセットを頼むと、このメニューに使われている食材を運んでくるのは誰なのか聞く。
 すると、サムという16歳の少年が毎朝運んでいることを知り、興味がわいた。
 こんなにも新鮮な状態のまま運べるならさぞや優秀な運び屋だろうとわかったからである。
 モルダは司令官として、サムを司令室へ連れて来るよう部下に命じた。
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