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第2話 2020年2月16日のスウェーデンにて

 スウェーデンの時もそうだったが、あまり知らない国に着いた時点で、チェスターは酷く困惑していた。

 慣れない国へ行くことは、個人差はあれどやはりストレス値が上がってしまうものだ。

 ジョナサンが操縦席から立ち上がり、チェスターを振り向いて聞いてくる。

「せっかく安全圏内まで来たんだし、外へ少しだけでも冒険しないか、チェスター? 知らない国に怯えてもしょうがないじゃないか。外に出て、気分転換でもしないか? ずっと自分の殻に閉じこもってたって、ストレス値は変わらないだろう?」
「それもそうだな」
「なら、散策も兼ねた冒険にでかけよう」

 チェスターは不安げな気持ちを表情に顕にしたが、ジョナサンは構わず先に部屋の大窓から外に出た。

 後からチェスターも外に出た。

 2人一緒に外に出てから、ジョナサンはその大きな手の中で握っている水晶玉をセカイ時計館に向ける。

 すると、スルスルとセカイ時計館は砂粒に変化しながら水晶玉の中
へ吸い込まれていき、その中に収まった。

「防犯対策をしたところで、さぁ、どこへ行こうか?」

 ジョナサンは水晶玉をズボンのポケットの奥深くに隠し入れると、チェスターに話しかけた。

「シャンゼリゼ通りを歩いてみたい」

 とチェスターが答えたので、2人はシャンゼリゼ通りをゆっくり歩いた。次いでに凱旋門も観光した2人。

 段々とチェスターが不安そうにしているのがわかったジョナサンは、チェスターを空き地前まで連れて行き、水晶玉の中から空き地にセカイ時計館を出現させた。

 ジョナサンより先にチェスターが時計館に帰り、すぐにエスプレッソを飲んだ。

 その表情は安堵しているようだ。

 後から帰ってきたジョナサンが言う。

「やっぱり俺らの肌に合う国がイギリス以外にあるとすればアメリカだよな、チェスター?」

 チェスターはコーヒーカップをローテーブルの上にゆっくり置いてから答えた。

「そうだな、アメリカはニューヨークへ行きたい」

 ジョナサンは頷く。

「ようし、わかった。ニューヨークな」

 館はフランスから消失し、ニューヨークへ向かう。
 
 
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