第2話 出陣
その様子を建物の陰から見ていた夕希は膝から崩れ落ちた。
「妖魔を傷つけずに退治した、妖魔退治代行師はあなたが初めてよ」
物陰から出てきた夕希が言った。
月光に照らされた橋の上、彼女は千秋を前に土下座する。
「今までの無礼、謝罪するわ。それと……、」
「それと?」
千秋が小首を傾げ、夕希を見つめると、夕希は頬を朱に染めてこう言う。
「あたしが許嫁になる前、初めて会った時に一目惚れしてから、千秋のことが好きなの。
それと、――これは友達から聴いた話だけど、外人は恋人とデートというものをするらしいわ。
だから、朝は、毎日とは言わないけど、あたしとデートしてほしい。千秋はどう思っている?」
千秋は驚いた表情を一瞬してから彼も頬を林檎のように赤く染めた。耳まで赤い。
彼は目線を月に向けて顔をそらす。
「俺も夕希のことが好きで、初めて会った時はこれは運命だと思った。夕希とデートするのは嬉しい」
千秋は嬉しそうである。
彼は更に言葉を続けた。
「夕希の本当の気持ちが聴けたのも、ものすごく嬉しい。じゃあ、一緒に帰ろうか」
2人は屋敷に着くまでずっと手を繋いで歩いていた。
千秋が聞く。
「どの時点から見てたの?」
夕希は素直に答える。
「千秋が被害者から被害状況を聞いていた時から」
そんな2人を、坂家に仕える使用人たちが黒子姿で陰から見守っていた。
「胸アツ展開、というやつですね、お兄様」
「しっ。お嬢様とお坊ちゃまに聴こえてはいけない」
「妖魔を傷つけずに退治した、妖魔退治代行師はあなたが初めてよ」
物陰から出てきた夕希が言った。
月光に照らされた橋の上、彼女は千秋を前に土下座する。
「今までの無礼、謝罪するわ。それと……、」
「それと?」
千秋が小首を傾げ、夕希を見つめると、夕希は頬を朱に染めてこう言う。
「あたしが許嫁になる前、初めて会った時に一目惚れしてから、千秋のことが好きなの。
それと、――これは友達から聴いた話だけど、外人は恋人とデートというものをするらしいわ。
だから、朝は、毎日とは言わないけど、あたしとデートしてほしい。千秋はどう思っている?」
千秋は驚いた表情を一瞬してから彼も頬を林檎のように赤く染めた。耳まで赤い。
彼は目線を月に向けて顔をそらす。
「俺も夕希のことが好きで、初めて会った時はこれは運命だと思った。夕希とデートするのは嬉しい」
千秋は嬉しそうである。
彼は更に言葉を続けた。
「夕希の本当の気持ちが聴けたのも、ものすごく嬉しい。じゃあ、一緒に帰ろうか」
2人は屋敷に着くまでずっと手を繋いで歩いていた。
千秋が聞く。
「どの時点から見てたの?」
夕希は素直に答える。
「千秋が被害者から被害状況を聞いていた時から」
そんな2人を、坂家に仕える使用人たちが黒子姿で陰から見守っていた。
「胸アツ展開、というやつですね、お兄様」
「しっ。お嬢様とお坊ちゃまに聴こえてはいけない」