さまーでいず
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
いつも通り殴られ蹴られいじめられの三重苦で過ごし、漸く一学期が終わる日が来た。
『熱中症が増えているから』とエアコンの効いた教室で、スピーカーから流れる校長の話を聞き流す。どうせ夏休みも安全に健康に過ごしましょうというやつだし。ああ、夏休みはどう過ごそうか。どうせ共に過ごす友達なんていないし、家にこもって溜まりに溜まったゲームの消化に勤しむか。それか新しいゲームでも発掘するかな。考えるだけで気が少し紛れる。
考えている内に生活指導の話もいつの間にか終わっていたらしく、気付けば皆頭を下げていた。慌てて私も礼をする。自分からからかいのネタを増やしてしまった。
渡された通知表には平均的、強いて言うなら社会と国語がちょっとだけ良い可も不可もなくな成績が載っている。が、所見欄には『もう少し周囲と話してみましょう』との事。好きで一人でいる訳じゃないんだが、何度訴えた所で無駄だとわかってるから何も言わない。奪われて見せびらかされるのは御免だから、一回だけ見て早々に鞄に仕舞った。
通知表を受け取って連絡が終われば、あとはもう終わり。約一ヶ月と半月程の夏休みが始まる。……が、忘れていた事があった。
「ゴメンね、諷枉さん。この日の環境委員の当番変わってくれないかな?」
長期休みになるとこういうのが少なからずわくことを……。
そんな事をぼんやり思い出しながら、校庭の花壇にジョウロで水を撒く。この学校はクラス毎に一つ花壇を持っていて、それの世話も環境委員の仕事の一つだったのだが……全く、用具を取りに来た時に教員の奇異な目を受けるこちらの身にもなって欲しい。何も言わないから良いんだけど。
適当にざっくりと水やりを終え、ジョウロを指定の場所に置いて校門を出る。午前中に済むからいいけど、面倒なものは面倒だ。立場を考えたら仕方ないし断ったら何されるかわからないし。
「……あいつ、確か……」
ジリジリ照り付ける太陽と傷を隠す為の厚着に恨めしい様な気持ちを抱いていると、見覚えのある黄色髪を見つけた。十文字アタリだ。手には紙袋を嬉しそうに抱えている。学校にも来ず家に引きこもってゲーム三昧かと思いきや、外に出る時もあるらしい。……というか、そうじゃなきゃやるゲームが無くなった時どうするんだって話だが。話し掛けようか決めあぐねていると、どうやらあちらもこちらに気付いたようで。
「よぉ、音羽」
「あ、どうも……」
「学校の帰りか?てか、長袖暑くねぇの?」
「……ちょっと、色々あってさ。別に暑くないから平気だよ」
いじめで水遣り当番押し付けられましたとか言えない。傷が見えるのが嫌だから死ぬほど暑いの我慢して長袖着てますとかもっと言えない。というか、クラスの内情を知らないであろうこいつにいじめがある云々とか言っても無駄な気がした。話を逸らそうと、十文字が手に持っている袋を指さす。
「それより、その袋は何?」
「おっ、これか?これはだな……」
よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりに誇らしげな顔をする十文字に首を傾げる。ふふん、と鼻を鳴らして彼は紙袋の中身を取り出した。自慢げに掲げられたものは、見たことの無いゲームのパッケージ。
「狙ってたレトロゲームがようやく買えてさ、これから家に帰って遊び倒す予定だったんだ。」
「ふーん……」
はい、と手渡され、しげしげと受け取ったパッケージを見る。名前も対応機種もそんなに聞いた事が無いもので、レトロゲーマーのみぞ知る様なゲームであるようだった。イラストを見たところシューティングゲームの類らしい。少しの間見て返す。受け取ったものを袋に戻すと、思い出した様に切り出した。
「対戦機能もあるみたいだし、良かったらこの後一緒にやらないか?」
なんと、誘いを受けるとは。一応今日の予定は押し付けられた当番以外には無いから暇なのだが、だからこそ家に引きこもりたいという気持ちもある。しかし、長袖に加えこの暑さで頭が茹だったのか、はたまた初対面の時のゲームのリベンジでもしたがったのか、私はいつの間にかその誘いに乗っていた。
『熱中症が増えているから』とエアコンの効いた教室で、スピーカーから流れる校長の話を聞き流す。どうせ夏休みも安全に健康に過ごしましょうというやつだし。ああ、夏休みはどう過ごそうか。どうせ共に過ごす友達なんていないし、家にこもって溜まりに溜まったゲームの消化に勤しむか。それか新しいゲームでも発掘するかな。考えるだけで気が少し紛れる。
考えている内に生活指導の話もいつの間にか終わっていたらしく、気付けば皆頭を下げていた。慌てて私も礼をする。自分からからかいのネタを増やしてしまった。
渡された通知表には平均的、強いて言うなら社会と国語がちょっとだけ良い可も不可もなくな成績が載っている。が、所見欄には『もう少し周囲と話してみましょう』との事。好きで一人でいる訳じゃないんだが、何度訴えた所で無駄だとわかってるから何も言わない。奪われて見せびらかされるのは御免だから、一回だけ見て早々に鞄に仕舞った。
通知表を受け取って連絡が終われば、あとはもう終わり。約一ヶ月と半月程の夏休みが始まる。……が、忘れていた事があった。
「ゴメンね、諷枉さん。この日の環境委員の当番変わってくれないかな?」
長期休みになるとこういうのが少なからずわくことを……。
そんな事をぼんやり思い出しながら、校庭の花壇にジョウロで水を撒く。この学校はクラス毎に一つ花壇を持っていて、それの世話も環境委員の仕事の一つだったのだが……全く、用具を取りに来た時に教員の奇異な目を受けるこちらの身にもなって欲しい。何も言わないから良いんだけど。
適当にざっくりと水やりを終え、ジョウロを指定の場所に置いて校門を出る。午前中に済むからいいけど、面倒なものは面倒だ。立場を考えたら仕方ないし断ったら何されるかわからないし。
「……あいつ、確か……」
ジリジリ照り付ける太陽と傷を隠す為の厚着に恨めしい様な気持ちを抱いていると、見覚えのある黄色髪を見つけた。十文字アタリだ。手には紙袋を嬉しそうに抱えている。学校にも来ず家に引きこもってゲーム三昧かと思いきや、外に出る時もあるらしい。……というか、そうじゃなきゃやるゲームが無くなった時どうするんだって話だが。話し掛けようか決めあぐねていると、どうやらあちらもこちらに気付いたようで。
「よぉ、音羽」
「あ、どうも……」
「学校の帰りか?てか、長袖暑くねぇの?」
「……ちょっと、色々あってさ。別に暑くないから平気だよ」
いじめで水遣り当番押し付けられましたとか言えない。傷が見えるのが嫌だから死ぬほど暑いの我慢して長袖着てますとかもっと言えない。というか、クラスの内情を知らないであろうこいつにいじめがある云々とか言っても無駄な気がした。話を逸らそうと、十文字が手に持っている袋を指さす。
「それより、その袋は何?」
「おっ、これか?これはだな……」
よくぞ聞いてくれました、と言わんばかりに誇らしげな顔をする十文字に首を傾げる。ふふん、と鼻を鳴らして彼は紙袋の中身を取り出した。自慢げに掲げられたものは、見たことの無いゲームのパッケージ。
「狙ってたレトロゲームがようやく買えてさ、これから家に帰って遊び倒す予定だったんだ。」
「ふーん……」
はい、と手渡され、しげしげと受け取ったパッケージを見る。名前も対応機種もそんなに聞いた事が無いもので、レトロゲーマーのみぞ知る様なゲームであるようだった。イラストを見たところシューティングゲームの類らしい。少しの間見て返す。受け取ったものを袋に戻すと、思い出した様に切り出した。
「対戦機能もあるみたいだし、良かったらこの後一緒にやらないか?」
なんと、誘いを受けるとは。一応今日の予定は押し付けられた当番以外には無いから暇なのだが、だからこそ家に引きこもりたいという気持ちもある。しかし、長袖に加えこの暑さで頭が茹だったのか、はたまた初対面の時のゲームのリベンジでもしたがったのか、私はいつの間にかその誘いに乗っていた。