さまーでいず
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結局、気になる事があっても質問することすら出来ず体育祭当日となってしまった。私の出る競技は誰かさんがうっかり クラス対抗のリレーに推薦してしまったらしく、悪ノリ的な感じでそのまま決定してしまった。いやそれでいいのか。勝とうという気持ちは無いのか。そうまでして私を恥をかかせたいか。
保護者や色んなところからの来賓が来るのであれば私が今現在置かれている状況を表明出来るまたとない機会なのだが、それをしたところで無駄に団結力の良い我がクラスの面々によって簡単に言いくるめられてしまうだろう。何せ証人は私一人しかいないのだし。だから、残暑にしては少々暑いであろうこの日も、ジャージ上下は欠かせないのだ。いや暑いんだけども。
率先して私をいじめるグループの面々に押し付けられた椅子を指定の場所に置いて一息つく。休日はゲーム三昧な陰キャに何をさせるんだ、と独り言ちるも、それが何を生み出すでもなく。自分といじめグループの椅子を運ぶ為に早く来てしまった為、他のクラスや学年の生徒は疎らだ。多くてもひとつにつき三人くらい。さて、ここからどうしようか。椅子の配置さえ終わってしまえば、彼女らが来るまでほぼ何もすることが無い。誰かと話そうにも話し相手なんて誰もいないし。
「……結局、あいつ来るのかな」
あいつ、とは十文字の事である。私が来るのかと態々聞くのであれば、来ていたら来ていたで何かを話すつもりなのだろう。だとしても、何を話すというのだろうか。暇になった脳味噌は、ぐるぐると別の事を考え始める。そもそも十文字はあの人達から聞いたことをどう思っているのか。内容がどうであれ、私に対してどう思ったのだろうか。
「諷枉さーん」
ぐるぐると思考の渦へと飲み込まれかけていた頭は、呼び掛けられた声に動きを止めた。声の方を見ると、椅子を押し付けてきた件の女子達。愛想の良さそうな笑顔でこちらに近付くが、私はそれが怖くてたまらない。
「おはよぉー」
「おはよう、ございます……」
「ちゃんと運んでくれたんだねー、グズの割に偉いじゃん」
「はぁ……」
褒めてはいるが、ペットの様な扱いだろう。
「じゃ、コレも置いといて荷物番しといてよ」
「あたし達他のクラスのとこ行ってくるからさ」
と言って、投げ付けるように荷物を押し付けて去ってしまった。まあ椅子よりは楽だしいいんだけど、開会式まで暇なのは変わらない。スマホが持ち込めればいいのだが、そんな事が許可されている訳もなく。あいつは今何をしているのだろうか、などと思いながら、次々と流れる人々と空をぼんやり眺めていた。
程なくして、生徒の大半やその保護者、教師などが次々と集まり、クラス毎の陣地も賑わってくる。集合時間に至り点呼を取られ、各々の席に着席して開会式入場を待つ。その間、ぽっかりと空いた生徒席を見た。この場所に来るはずがない生徒の、恐らく十文字のものであろう席。結局、あいつは来ないつもりなのだろう。それこそ家にこもってゲームしてるはずだ。結局どんな言葉を述べたところで、一回か二回会って遊んだ程度の付き合いなんてそんなものなのだ。
「……帰りたい……」
ぼんやりと、空を見上げて呟いた。
保護者や色んなところからの来賓が来るのであれば私が今現在置かれている状況を表明出来るまたとない機会なのだが、それをしたところで無駄に団結力の良い我がクラスの面々によって簡単に言いくるめられてしまうだろう。何せ証人は私一人しかいないのだし。だから、残暑にしては少々暑いであろうこの日も、ジャージ上下は欠かせないのだ。いや暑いんだけども。
率先して私をいじめるグループの面々に押し付けられた椅子を指定の場所に置いて一息つく。休日はゲーム三昧な陰キャに何をさせるんだ、と独り言ちるも、それが何を生み出すでもなく。自分といじめグループの椅子を運ぶ為に早く来てしまった為、他のクラスや学年の生徒は疎らだ。多くてもひとつにつき三人くらい。さて、ここからどうしようか。椅子の配置さえ終わってしまえば、彼女らが来るまでほぼ何もすることが無い。誰かと話そうにも話し相手なんて誰もいないし。
「……結局、あいつ来るのかな」
あいつ、とは十文字の事である。私が来るのかと態々聞くのであれば、来ていたら来ていたで何かを話すつもりなのだろう。だとしても、何を話すというのだろうか。暇になった脳味噌は、ぐるぐると別の事を考え始める。そもそも十文字はあの人達から聞いたことをどう思っているのか。内容がどうであれ、私に対してどう思ったのだろうか。
「諷枉さーん」
ぐるぐると思考の渦へと飲み込まれかけていた頭は、呼び掛けられた声に動きを止めた。声の方を見ると、椅子を押し付けてきた件の女子達。愛想の良さそうな笑顔でこちらに近付くが、私はそれが怖くてたまらない。
「おはよぉー」
「おはよう、ございます……」
「ちゃんと運んでくれたんだねー、グズの割に偉いじゃん」
「はぁ……」
褒めてはいるが、ペットの様な扱いだろう。
「じゃ、コレも置いといて荷物番しといてよ」
「あたし達他のクラスのとこ行ってくるからさ」
と言って、投げ付けるように荷物を押し付けて去ってしまった。まあ椅子よりは楽だしいいんだけど、開会式まで暇なのは変わらない。スマホが持ち込めればいいのだが、そんな事が許可されている訳もなく。あいつは今何をしているのだろうか、などと思いながら、次々と流れる人々と空をぼんやり眺めていた。
程なくして、生徒の大半やその保護者、教師などが次々と集まり、クラス毎の陣地も賑わってくる。集合時間に至り点呼を取られ、各々の席に着席して開会式入場を待つ。その間、ぽっかりと空いた生徒席を見た。この場所に来るはずがない生徒の、恐らく十文字のものであろう席。結局、あいつは来ないつもりなのだろう。それこそ家にこもってゲームしてるはずだ。結局どんな言葉を述べたところで、一回か二回会って遊んだ程度の付き合いなんてそんなものなのだ。
「……帰りたい……」
ぼんやりと、空を見上げて呟いた。