さまーでいず
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一体どうしてこうなったのだろう。あのゲームショップを離れた後、「お腹が空いた」と近くのファーストフードで軽く食事を済ませた私達は、アキバをふらふらと歩いていた。夏休みのアキバ、同い年の男女二人、傍から見ればデートの様だと思う私は頭が暑さでイカれたらしい。私とこいつは友達か何度か遊んだ事のある知り合い程度だと思っておこう。
「……ぃ……おい!」
「へ、わっ!?」
我に返った瞬間、後ろからチリンチリンと鈴が鳴る。自転車が後ろから来ていたらしく、腕を掴んで引き寄せられた。
「ごめん……ありがと」
「気にすんな」
ニカッと笑う。そして話を再開したのだが、正直今は全く耳に入らない。そもそも人とそんなに出掛けたこと無いのにいきなり男女二人きりはハードルが高すぎる。けどあの空気の中断るのも無理なものだし。ああもう、顔があついったらありゃしない!
「……あ」
気を逸らそうと周りの景色に目を向けた時、とあるモノが目に入った。ゲーセンの軒先に置いてあるクレーンゲームだ。中の景品は某有名RPGの青い看板モンスターのぬいぐるみ。そういや新しいやつは今日からだっけな、とぼんやりSNSで得た情報を反芻する。結構前からやってたシリーズだし、時間があったらやりたいなとは思ってたけど、まさかこんな所で見かけるとは。
「欲しいのか?」
「……まあ、うん」
クレーンゲームの台へと歩み寄る。パーカーのポケットから財布を取り出して残金確認。先程中古のソフトを買ったとはいえ、まだ余裕はありそうだ。投入口に百円を入れてボタンに手を添える。明るいジングルとポップなBGMと共に稼働したそれはぴかぴかとライトを点滅させて、動かしてもらうのを待っている。まずは台の横から見つつ奥行きを調整。丁度クレーンが景品の上に来るくらいの位置でストップ。次はクレーンが景品の真上に来る位置で止めて……。
「よしっ……よしっ」
クレーンがぬいぐるみを掴む。ここまで来たら落とさない限りは取れる。そして特に落ちる事もなくがこん、とぬいぐるみが取り出し口へと落とされ、いそいそと青い身体のそれを取り出した。
「いっちょあがり」
「こういうの得意なのか?」
「慣れ、だと思う……多分」
つぶらな瞳とおとぼけ者のような口をしているそれを抱きしめる。ふかふかで気持ちいい。ゲームもアニメもマンガも好きだけど、こういうぬいぐるみも結構好きだ。笑われるから言わないけど。
「いる?」
「いや、オレはいいや」
男がぬいぐるみとか恥ずかしいし、そう照れ臭そうに笑う十文字に、確かに、と頷く。私達とて中学二年、そのくらいの男子にはこういうのを持つのは少し恥ずかしい年頃なのだろう。私はそうは思わないけど。
「それより、あっちにもいいゲームショップあるんだ!一緒に行こうぜ」
そう言うや否や手首を掴まれ、慌てて自由な方の腕でぬいぐるみを抱え直す。掴まれた手首と顔が、またじんわりと温かくなった気がした。
「……ぃ……おい!」
「へ、わっ!?」
我に返った瞬間、後ろからチリンチリンと鈴が鳴る。自転車が後ろから来ていたらしく、腕を掴んで引き寄せられた。
「ごめん……ありがと」
「気にすんな」
ニカッと笑う。そして話を再開したのだが、正直今は全く耳に入らない。そもそも人とそんなに出掛けたこと無いのにいきなり男女二人きりはハードルが高すぎる。けどあの空気の中断るのも無理なものだし。ああもう、顔があついったらありゃしない!
「……あ」
気を逸らそうと周りの景色に目を向けた時、とあるモノが目に入った。ゲーセンの軒先に置いてあるクレーンゲームだ。中の景品は某有名RPGの青い看板モンスターのぬいぐるみ。そういや新しいやつは今日からだっけな、とぼんやりSNSで得た情報を反芻する。結構前からやってたシリーズだし、時間があったらやりたいなとは思ってたけど、まさかこんな所で見かけるとは。
「欲しいのか?」
「……まあ、うん」
クレーンゲームの台へと歩み寄る。パーカーのポケットから財布を取り出して残金確認。先程中古のソフトを買ったとはいえ、まだ余裕はありそうだ。投入口に百円を入れてボタンに手を添える。明るいジングルとポップなBGMと共に稼働したそれはぴかぴかとライトを点滅させて、動かしてもらうのを待っている。まずは台の横から見つつ奥行きを調整。丁度クレーンが景品の上に来るくらいの位置でストップ。次はクレーンが景品の真上に来る位置で止めて……。
「よしっ……よしっ」
クレーンがぬいぐるみを掴む。ここまで来たら落とさない限りは取れる。そして特に落ちる事もなくがこん、とぬいぐるみが取り出し口へと落とされ、いそいそと青い身体のそれを取り出した。
「いっちょあがり」
「こういうの得意なのか?」
「慣れ、だと思う……多分」
つぶらな瞳とおとぼけ者のような口をしているそれを抱きしめる。ふかふかで気持ちいい。ゲームもアニメもマンガも好きだけど、こういうぬいぐるみも結構好きだ。笑われるから言わないけど。
「いる?」
「いや、オレはいいや」
男がぬいぐるみとか恥ずかしいし、そう照れ臭そうに笑う十文字に、確かに、と頷く。私達とて中学二年、そのくらいの男子にはこういうのを持つのは少し恥ずかしい年頃なのだろう。私はそうは思わないけど。
「それより、あっちにもいいゲームショップあるんだ!一緒に行こうぜ」
そう言うや否や手首を掴まれ、慌てて自由な方の腕でぬいぐるみを抱え直す。掴まれた手首と顔が、またじんわりと温かくなった気がした。