1日1話
_ 砂糖は甘く、夏は暑い
自然の摂理
その言葉の並び
その言葉の世界の中にわたしはいなかった。
当たり前のことが当たり前に思えなかったり、できなかったりした。
して、って言われて胸の上あたりを吸ってキスマークをつけた。
ついたキスマークはだらんとしたうさぎに見えた。
うれしい、ありがとう
彼女はピンクのネイルが光るきれいな指先で、わたしのつけたキスマークを撫でた。
彼女はかわいい。それは自然の摂理。
夏の部屋は暑い。それも自然の摂理。
彼女の胸の谷間から汗が流れ落ちた。
彼女のことをどうしたいと思うのか。
分からなかった。
抱きしめられたいと思ったから、彼女を抱きしめた。
「ふふ、暑いね」
彼女はわたしの刈り上がった襟足を撫でた。
***
2020,5,11