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1日1話

_キッチントリップ 



だし汁と醤油と砂糖、みりんを入れた。
火をつけて、それを沸騰させる。

その間にわたしは、茄子と獅子唐を切った。

茄子のヘタのトゲがこわい。
刺さらないように注意しよう。
獅子唐は穴を空けておこう。

料理中はそういう工程のことしか考えられない。

沸騰したから、切った茄子と獅子唐をそーっと鍋に入れた。

「わ、びっくりした」

いつの間にか隣に彼がいた。

「ぜーんぜん気づかなかったねえ、隣に来ても」
「なんか、料理中はまわりが見えなくなるというか…」
「分かる!ちょっとだけ唇半開きでかわいかったよ」
「う、嬉しくない」

鍋の中は、泡が湧いては弾けていた。


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