短編
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お館様「おいで」
スーと襖を開け、深く一礼する
あぁ、罪悪感で押しつぶされそうだ。
僅かに体を起こし入室する。戸を閉めてはまた頭を下げる。
深「……」
声が、内蔵が、体が、震える。視線が刺さる。
深「っこのような身でありながら、再び皆様の御前に
お館様が話を遮るように名を呼んだ。
しまった、と思った。厚かましくも許しを乞い、ベラベラと喋り続けてしまった。皆私の煩わしい声など一言たりとも耳に入れたくない筈なのに。
深「……」
お館様「深命、顔をお上げ」
普段通り、憎い鬼が目の前にいるというのにかつて耳にした柱合会議の時と声音が変わらない。この方の感情制御力は凄いと素直に感心してしまう。
深「……は」
この状況下で顔を上げるのは凄くキツい。今にも罵詈雑言を浴びせられてもおかしくない。優しかった皆からどんな目で見られるのか怖い。
睨まれているのだろう。鬼を屋敷に踏み入れさせている時点で頭にきているのだろう。かつての鬼殺隊員が、しかも柱が鬼になっても生に終着しているのが気に食わないだろう。
確かにこれが、私には一番"効く"だろう。
グッと力を込めて覚悟を決める。
ゆっくりと、伏していた体を起こし目線をあげる。
深「え……?」
視界に入ってきたのは、
とても優しい顔をした皆だった。
いつもの、今までの、鬼殺隊員だった頃の私に向けてくれていた目と同じ、優しくて温かい顔。
お館様「皆、深命の帰りを待っていたんだよ。
おかえり、深命。」
深「っ……ッ!!!」
その言葉を皮切りに、涙がボロボロと溢れた。声を押し殺して、再度深く頭を下げた。
衣擦れの音の後、傍に誰かが座った。ふわりと知った香りが鼻腔を擽る。顔を上げると胡蝶様が目を潤ませながら微笑んでいた。口を開こうとした途端、ぎゅうと優しく抱かれた。
胡蝶「おかえりなさい、深命さん。全部聞きましたよ。貴女が望んで鬼になった訳では無い事、人に指一本触れなかった事、誇りを持って戦っていた事」
深「ふっ……ぁぁ、……!」
胡蝶「よくがんばりましたね」
トントンと優しく背中を叩き宥めてくれるが、涙は一向に止まらない。
深「わ、たし……また、っ皆と居て良いの……?鬼に、なっちゃっても、ここに居てッ良いの?」
胡蝶「えぇ、勿論です」
悲鳴嶼「無論……新麻の疑念は晴れ、隊士としての心得も不変……」
煉獄「鬼と化したが、鬼舞辻の呪いも解かれ自我も保っている!問題無いだろうっ!」
胡蝶「何よりも貴女が居てくれると、私達が嬉しい」
深「ぅ、うぁぁ……わあああぁ」
私は声を上げて泣いた。しのぶの肩に顔を填め、しがみつきながら泣いた。辛かった。痛かった。怖かった。
そう、頑張ったの。生きたかったの。ここに戻りたくて。
蜜璃ちゃんも抱きついてきて、いっぱい泣いた。
ごめんなさい、沢山心配かけて。
ありがとう、沢山心配してくれて。
あぁ、こんなにも仲間に恵まれて私は
幸せ者だ。
Fin.
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