第二章
夢小説設定
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布団の香りも落ち着いた頃、他の部員がぞろぞろやってきました。
一年生が揃うとせっかく敷いた布団の上で枕投げなんてしてしまって、
男の子ってなんておこちゃまなんでしょうね。
強面の染岡さんが一年生に怒りの雷を落としている傍らで、
粗末な備品とは明らかに異なるまくらが目に留まりました。
「俺これがないと眠れないんです。最近流行りの低反発!」
「なんかいい感じじゃん!」
なんとまくらの持ち込みが!
新しいものも十分でしたが、夏未様愛用のものをおじいさまに頼むべきでした。
自分の見立ての甘さに猛省です。
噂をすれば夏未様が、続いておじいさまが戻ってこられました。
おじいさまったら、席を外していた時間を考えると遠出はされていないようですが、
一体なにをしていたのでしょうか。
問いただそうと声をかけるよりも先に大きな寸胴鍋を持った監督の声が館内に響きました。
「そろってるな、ならメシだ。」
「まずは手を洗ってきなさい!」
「終わったら順番に食材の前に来てね〜!」
「早い者勝ちですよ!」
お夕飯のカレー作り、ということは私の出番、腕の見せ所です!
役割分けは特に決まっていなかったので、具材のにんじんを切る係に立候補しました。
ふふん、お屋敷で鍛えた包丁さばきをおこちゃまたちに見せつけてやりましょう。
「奉、私は何をすればいいのかしら。」
「お、お嬢様!?お嬢様は出来上がるまで見守っていただければ…」
「ダメよ、みんなで作るから合宿なんでしょ。」
「でしたら、ぜひライス係でお願いします!」
「ライスってお米のことよね?」
「そうそう、夏未さんはお米ね!こっちで人数分洗っちゃいましょう!」
木野さんと目配せを交わして、夏未様をお誘いいただきました。
包丁は白梅の手に傷が入ったらと考えるだけでも恐ろしいですし、
火起こしなんかの力仕事なんでもってのほかですから、
ぬかで美容パワーも見込めるお米係にうまくおさまっていただいて木野さんには感謝しかありません。
さて、お嬢様とは別作業ですが、張り切ってにんじんの準備に入らなくては。
「お、流石慣れてるな。」
「風丸さんこそ、なかなかのお手捌きかと。」
へたと先を落とし、横に回転させて皮を剥いたにんじんを風丸さんの手元へ順に渡しました。
そのまま輪切りにするくらいなら簡単でしょうが、
風丸さんは見事にへた側からからわずかに厚みを変えながらにんじんを切って見せました。
均等に火が入るように切るというのはなかなか初心者にはできない芸当ですから、
普段から台所に立たれているのでしょう。
「ところでその避けているのはどうするんだ?」
「形のいいものを彩にとっているんですよ。
ほら、こうして切って、崩れないように後から鍋に入れるんです。」
一等色の鮮やかなものを一つ、通常よりすこし薄めの幅広で輪切りにしてから
五方に切れ込みを入れて角を落とし、花を形作ってみせました。
「すごいな!これならみんなも喜ぶよ。」
「よろしければ、作ってみられますか?」
「ああ、頼む。」
風丸さんは飲み込みが早く、次々に花柄や星柄のにんじんを作って見せました。
おこちゃまばかりかと思っていましたが、細やかで丁寧な方もいらしたのですね。
「少し意外です。
運動部の方ってこういった細かな作業は不得手かと思っていましたので。」
「俺は昔から近くにとんでもないアバウトバカがいたからな。
こういうのも慣れてるんだ。」
「それってもしかして、円堂さんですか?」
「ああ、そうだ。あいつとは長い付き合いになるな。
サッカー部に入ったのだってあいつに頼み込まれたからなんだぜ。
元々は陸上部だったのにさ、今じゃすっかりこいつらに馴染んじゃったよ。
ほんと、ここまで来れるなんて思ってもなかったな。」
風丸さんは星を作り出す手をとめて、
カレー作りに夢中になっているほかの部員たちに愛おしそうに目を細めました。
ですが、その中に円堂さんの姿がないことを確認すると、
凛々しい眉を少し下げてから再び包丁に向きなおりました。
「俺は今日の合宿を成功させたい。あいつのためにも、チームのためにも。
だからマジン・ザ・ハンドにも負けないくらいうまいカレー、作らないとな。」
忠心の鑑、いえ挺身の範とはまさに今の風丸さんのことなのでしょう。
夏未様の献身と仲間からの信頼を彼は一身に受けているのですから、
新必殺技だってきっと成功するでしょう。
そう合点して、少しばかりの愛情を包丁に込めました。
一年生が揃うとせっかく敷いた布団の上で枕投げなんてしてしまって、
男の子ってなんておこちゃまなんでしょうね。
強面の染岡さんが一年生に怒りの雷を落としている傍らで、
粗末な備品とは明らかに異なるまくらが目に留まりました。
「俺これがないと眠れないんです。最近流行りの低反発!」
「なんかいい感じじゃん!」
なんとまくらの持ち込みが!
新しいものも十分でしたが、夏未様愛用のものをおじいさまに頼むべきでした。
自分の見立ての甘さに猛省です。
噂をすれば夏未様が、続いておじいさまが戻ってこられました。
おじいさまったら、席を外していた時間を考えると遠出はされていないようですが、
一体なにをしていたのでしょうか。
問いただそうと声をかけるよりも先に大きな寸胴鍋を持った監督の声が館内に響きました。
「そろってるな、ならメシだ。」
「まずは手を洗ってきなさい!」
「終わったら順番に食材の前に来てね〜!」
「早い者勝ちですよ!」
お夕飯のカレー作り、ということは私の出番、腕の見せ所です!
役割分けは特に決まっていなかったので、具材のにんじんを切る係に立候補しました。
ふふん、お屋敷で鍛えた包丁さばきをおこちゃまたちに見せつけてやりましょう。
「奉、私は何をすればいいのかしら。」
「お、お嬢様!?お嬢様は出来上がるまで見守っていただければ…」
「ダメよ、みんなで作るから合宿なんでしょ。」
「でしたら、ぜひライス係でお願いします!」
「ライスってお米のことよね?」
「そうそう、夏未さんはお米ね!こっちで人数分洗っちゃいましょう!」
木野さんと目配せを交わして、夏未様をお誘いいただきました。
包丁は白梅の手に傷が入ったらと考えるだけでも恐ろしいですし、
火起こしなんかの力仕事なんでもってのほかですから、
ぬかで美容パワーも見込めるお米係にうまくおさまっていただいて木野さんには感謝しかありません。
さて、お嬢様とは別作業ですが、張り切ってにんじんの準備に入らなくては。
「お、流石慣れてるな。」
「風丸さんこそ、なかなかのお手捌きかと。」
へたと先を落とし、横に回転させて皮を剥いたにんじんを風丸さんの手元へ順に渡しました。
そのまま輪切りにするくらいなら簡単でしょうが、
風丸さんは見事にへた側からからわずかに厚みを変えながらにんじんを切って見せました。
均等に火が入るように切るというのはなかなか初心者にはできない芸当ですから、
普段から台所に立たれているのでしょう。
「ところでその避けているのはどうするんだ?」
「形のいいものを彩にとっているんですよ。
ほら、こうして切って、崩れないように後から鍋に入れるんです。」
一等色の鮮やかなものを一つ、通常よりすこし薄めの幅広で輪切りにしてから
五方に切れ込みを入れて角を落とし、花を形作ってみせました。
「すごいな!これならみんなも喜ぶよ。」
「よろしければ、作ってみられますか?」
「ああ、頼む。」
風丸さんは飲み込みが早く、次々に花柄や星柄のにんじんを作って見せました。
おこちゃまばかりかと思っていましたが、細やかで丁寧な方もいらしたのですね。
「少し意外です。
運動部の方ってこういった細かな作業は不得手かと思っていましたので。」
「俺は昔から近くにとんでもないアバウトバカがいたからな。
こういうのも慣れてるんだ。」
「それってもしかして、円堂さんですか?」
「ああ、そうだ。あいつとは長い付き合いになるな。
サッカー部に入ったのだってあいつに頼み込まれたからなんだぜ。
元々は陸上部だったのにさ、今じゃすっかりこいつらに馴染んじゃったよ。
ほんと、ここまで来れるなんて思ってもなかったな。」
風丸さんは星を作り出す手をとめて、
カレー作りに夢中になっているほかの部員たちに愛おしそうに目を細めました。
ですが、その中に円堂さんの姿がないことを確認すると、
凛々しい眉を少し下げてから再び包丁に向きなおりました。
「俺は今日の合宿を成功させたい。あいつのためにも、チームのためにも。
だからマジン・ザ・ハンドにも負けないくらいうまいカレー、作らないとな。」
忠心の鑑、いえ挺身の範とはまさに今の風丸さんのことなのでしょう。
夏未様の献身と仲間からの信頼を彼は一身に受けているのですから、
新必殺技だってきっと成功するでしょう。
そう合点して、少しばかりの愛情を包丁に込めました。