04.星に願いを

『どうしてだろう…。彼を好きになってしまったのかは、分からない…。彼は、彼女のことを大事に思っているからこそ気持ちなんて伝えられない。』と、そうこの哀の言った言葉は誰にも伝えられない。


それは、コナンにも届かない。その声は、きっと届いたとしても…。コナンを困らせるだけだろう。

「よぉ、灰原…。どうしたんだ?また、夜遅くまで解毒剤の研究していたのか?あんまり、無理してやるなよ」と、そうコナンは哀の顔を覗き込むような感じで言う。


『えっ?何でもないわ…。それよりも、どうして?工藤くんが、ここにいるの?』と、そう哀が驚くのは言うまでもない。

そう、ここは博士の家 コナンは、探偵事務所で居候しているんだから…。ここに来るとしても、遊びに来るときか泊りがけのときだけ

余程のことがない限り、コナンがいることはない。


「イヤ、スケボーの調子が悪くて…。見てもらおうと思ってな」と、そうコナンは言う。

『そう…。相変わらず、無茶ばかりしているとまた病院送りなっても知らないわよ。蘭さんに、心配かけないことね』と、そう哀が淋しそうにして言っていたなんてコナンは気がつかない。

「ああ、分かっているよ!でも…。オメーも、無理すんなよ」と、そうコナンは優しく哀のことを心配する。


『(バカ…。そんな優しくしないでよ、工藤くん…。)』と、そう哀が思っているなんてコナンは知らないでいる。


「うん?灰原、どうかしたか?」と、そうコナンは心配そうに言うが哀にとってはその優しさへも残酷にしか思えなかった。

『何でもないわ…。夕方から夜になるわ…。今後、どうするのかな?と、思っただけよ』と、そう哀は素直になれない。


「もう、そんな時間になるんだなぁ…。まだまだ、時間がかかりそうだから…。蘭には、オレから連絡する。」と、そうコナンは哀に言われて時間を把握した。

そして、時間は過ぎていき…。あっという間に、夕方から夜へとなろうとしていた。

携帯の電子音が鳴る。それは、哀の携帯じゃなく…。コナンの携帯からだった。しかし、それは電話じゃなくメールの着信音。
当の本人は、なぜか…。推理小説を片手に、メガネは外したまま眠っていた。

『工藤くん、起きて…。携帯、鳴っているわよ』と、そう哀はコナンを起こすんだがなかなか起きない。

そして、5分ぐらい時間が過ぎた。

「あれ?灰原…。オレ、眠っていたのか?」と、そうコナンは言うのだった。

『ええ、私が戻って来たら…。アナタは、眠っていたわ…。それよりも、携帯でも確認したら?愛しい彼女から、連絡じゃないのかしら?』と、そう哀は言う。


「別に、蘭は彼女じゃねーえからな…。」と、そうコナンは言う。

『あら、そうなのね!』と、そう哀は言ってキッチンの方へと行ってしまった。

そう、時間的に夕食を作らないといけない時間帯になっていた。

コナンは、蘭へのメールを考えていた。

「とりあえず、蘭からのメールでも読んで…。返信はそれからだな」と、そうコナンは携帯を開きメールを確認する。

蘭からのメールには、以下のような内容が書かれていた。

『コナンくんへ 今日は、お母さんたちと食事会だから…。早く帰ってきてね』と、そう蘭からのメールには書かれていた。

「ったく、蘭の母さんと食事会かよ…。オレ、苦手なんだよなぁ…。行くのは、辞めておこう」と、そうコナンは思ったのだった。

だから、メールは返信しないでいた。

「灰原、悪いんだけど…。オレの分も、作ってくれないか?」と、そうコナンはキッチンの方にいる哀に頼むのだった。

『あら、蘭さんから早く帰ってくるように言われたんじゃないの?』と、そう哀は片手にはお玉を持って鍋をかき混ぜていた。

「イヤ、蘭の母さんと…。食事会だから、断ったんだよ」と、そうコナンは言う。

『そうだったのね…。もしかして、妃さんと昔 何かあったの?』と、そう哀はちょっと気になるようなことがあるのでないかと思った。

「昔な…。蘭と探検して、遅くなった際に怒られたことがあったから苦手なんだよ」と、そうコナンはそっぽ向いて言う。


『そんなことがあったのね、工藤くん…。』と、そう哀は言うだけだった。

「まぁな…。」と、そうコナンは言ってまた推理小説を読み始めてしまったのだった。
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