02.あなたの傍にいられたら

そして、その日の夜

哀は、親友である歩美に連絡をした。

『もしもし、歩美…。私、報告したいことがあって連絡したんだけども…。』と、そう哀が歩美と呼ぶようになったのは些細なことだった。

それは、過去のことで小学3年か4年のときだった。

『哀ちゃん~♪』と、そう歩美はいつものように哀のことを呼ぶ。

『あら、どうかしたの?吉田さん』と、そう哀は読んでいた本に栞を挟んで言うと…。『どうして、哀ちゃんは歩美のことを『吉田さん』と、呼ぶのかな?って、思ってね!』と、そう歩美は疑問に持っていたことを言う。

『特に意味はないわよ、どうしても名前で呼ばないとダメなのかしら?』と、そう哀は言う。

哀は、今までに…。志保の時さえも、下の名前で呼ぶと言うことはなかった。そう、あのときはコードネームで呼び合うのが習慣だった。

『哀ちゃんは、歩美と親友じゃないの?歩美は、哀ちゃんのことは一番の親友だと思っているよ』と、そう歩美は言うのだった。『私も、吉田さんのことは…。一番の親友だと思っているわ!だけど、今さら呼ぶには緊張するのよ』と、そう哀は言う。

『哀ちゃんらしいかもね!』と、そう歩美は言うだけだった。

そして、突然と変わることが起きる。

それは、歩美が帰りに誘拐されそうになったときだ。

いつものように、コナンたちと帰っている途中で誘拐されそうになったからである。

『イヤ、辞めてよ』と、そう歩美が見知らぬ男に持ち上げられ『ちょっと、アナタ…。歩美を放してくれない?』と、そう哀は言ったのだった。

「あっ、はい…。」と、言って男は逃げていた。まぁ、後日逮捕されたが…。

その数日後

『哀ちゃん、こないだ…。歩美が誘拐されそうになったときに、歩美と呼んでくれたでしょ!』と、そう歩美が言うと『ええ、呼んだわね』と、そう哀は言う『これからも、その『歩美』って呼んでくれない?』と、そう歩美は言うのだった。

『ええ、分かったわ!これからも、よろしく歩美』と、そう哀は歩美に言うのである。


そんな過去があった。

『哀、何かあったの?改めて、連絡してくるなんて…。』と、そう歩美は哀のことになると気になってしょうがなかった。

『実は、今日…。江戸川くんに、告白されたの』と、そう哀は言う。

『良かったじゃない!哀は、コナンくんのこと好きなんでしょ!幸せになってもいいと思うんだ(やっぱり、コナンくんは哀のことが好きなんだ)』と、そう歩美は自分のように喜ぶのだった。

『ええ、彼のことを好きよ…。歩美だって、彼のことを好きなんでしょ』と、そう哀は歩美に問い出すのである。

『好きだよ、でも…。歩美じゃダメだから、哀じゃなきゃダメなんだよ』と、そう歩美は言う。

『今日は、それだけ報告したかっただけ…。ねぇ、歩美ならきっと彼よりもいい人が見つかるわ』と、そう哀は歩美に言うのだった。

『哀、報告してくれてありがとう…。じゃあ、また明日ね』と、そう歩美は言う。


そう、歩美は哀からの電話の後 誰にも気がつかないように声を殺して泣いた。

『初恋が終わっちゃった…。コナンくんには、歩美じゃなくて哀が傍にいるんだ…。』と、そう歩美は1人で納得してしまった。
その日の夜は、なかなか寝つけなかった。

その頃 コナンと哀は…。

「哀、電話中だったか?」と、そうコナンはひょっと顔を出して言う。

『いいえ、終わったあとだから…。遅くなってごめんなさい、それにご飯の用意しないといけないでしょ』と、そう哀は言うのだった。


「なぁ、哀…。今日、買ったのは明日食べようぜ」と、そうコナンは哀に言うが『あら、何か企んでいるのかしら?名探偵さん!』と、そう哀はコナンに問い出す。

「せっかく、2人だけなんだし…。どこか、食べに行こうか?」と、そうコナンは哀を誘う。

『ええ、構わないわよ…。アナタのおごりならね』と、そう哀はにこっとして言う。

その笑みは誰も見たことがないぐらい、キレイな笑みだった。

「しゃねーえな、おごってやるよ」と、そうコナンが言うが…。『別に、おごりじゃなくても行くから心配なんてしないで…。』と、そう哀は言う。





哀にとって、コナンは初恋の相手 きっと、何があっても…。あなたの傍にいれたら、幸せなのかも知れない。
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