ep.1 はじまり
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翌日から本格的にマネージャーとして活動を始めた……とは言っても彼も学生であることに変わりはない。
朝練が終わると講義を受けて、終わればレッスンの手伝いをして掃除をして帰るそんな日々。
一週間が過ぎ日に日に溶け込んでいく彼の姿に大半のメンバーは慣れていったようだけれど、その中で1人だけは警戒心マックスというか……もはや半径3メートルほどに近寄ろうともしない。
「ねぇ、さく大丈夫?」
「えぇ……まあ……はい。」
いつもよりどんよりとした居づらそうな空気を纏いながら俯き気味に彼女が返事をする。
うちのメンバーの中でも特に警戒心が強いというか……男の人が苦手というか、関わるのを嫌っている彼女は一週間が経った今も一度も話しかけてる姿を見かけない。
まあ美緒や和、美空が代わる代わる彼女に引っ付いてるから機会がないと言えばないのだけれど意図的に彼を避けてる節はある。
と言っても別に個人マネージャーとしてつくわけじゃないし、全体で着くのなら特に問題はない……業務連絡くらいできれば充分。
「まあ業務連絡くらいはできる程度に話せばいいと思うよ。」
「はい……すみません気を遣わせて……。」
申し訳なさそうにする彼女を尻目に掃除中の彼を見ると既に5期生が周りに集まり話しながら掃除を進めている。
だいぶ掃除仲間というのもあってか5期生はとっつきやすいのか良き兄のようにみんなが集まる……こんなことを言うのもアレだけど乃木坂保育園の先生?みたいな?
割と不思議な空間を見ているとうちのあざといプロ美空が仕掛ける。
「私、今日も可愛いです?」
「えぇもちろん。
今日はアイラインがいつもよりいい感じに引けたんじゃないです?」
「え?!やだっ、なんでわかるんですか!?!?」
「そりゃ目元みてたらわかりますよ。」
「えぇ……やだぁ。」
美空は赤くなってスッと輪から消えていく。
それを見た他の5期生メンバーは我先にと聞きに行きその度に的確に答える彼はまるで歴戦のホストとでも言うべきか。
的確にみんなのことを褒めながらそれでいて手は止まらない。
掃除をしながら1人また1人と輪から離れていき満足そうに笑っているが1人だけその輪から離れることなく黙々と一緒に掃除をしている。
「井上さん、そろそろ……。」
「あ、はい!これですね!」
「助かります……。」
彼も和が近くで手伝ってるのがわかっているのか見ることもなく声をかけてモップを交換する。
一週間で一番仲良くなったのは他でもない和だと思う。
「みんなが嫌がることこそ率先して」とでも言うべきか、彼女は必ず先頭に立って掃除を念入りにする。
実際5期生の中では多分一番和が誠実な人間というのも変だけど、レッスン室にいる間は一番目立つ。
人柄も相まって周りには誰かがいるけれど、今はむしろ彼の周りにはいつも和がいる感じ。
「ありがとうございます、じゃあ片付けてきますので。」
「わかりました!いつもありがとうございます!」
そう言って和が挨拶すると彼はまた廊下にスーッと消えていく。
いつものことなんだけど……あの人廊下に消えると本当に存在感ごと無くなるのなんなのだろう?
足音がしないし、荷物を運ぶ音もない……ただ本当にスーッといなくなってはスーッと戻ってくる。
一度聞いた時は「邪魔になるかもなんで音は立てないよう努力してます。」とか言っていたけれどもはや忍者みたいな域で不思議な感じは一週間が過ぎても慣れやしない。
「梅澤ー、今日撮影だよね?」
「はい!」
日村コーチに声をかけられ慌てて返事をすると少し考え込むようにしたあといつの間にか戻った彼を呼ぶ。
「稲葉、梅澤スタジオまで送れるか?」
「えっと……はい、道わかります。」
「車使っていいからスタジオまで、終わったら送りまでしてもらえるか?」
「わかりました。」
頷くと彼は部屋を出て車を取りにいくためにレッスン室を出ていく。
「あれ?稲葉さんって大一ですよね僕たちと同じ。」
不思議そうに尋ねる理々杏だが別に取れる年齢ではあるのだからなんら不思議ではないが気にはなるのだろう。
そう言えば理々杏も取りたいとかなんとか言ってたような気がするから、私たちも取らせろ!的なことをごねるつもりなのだろう。
「あの子16で二輪取ったから高校卒業してすぐ取らせてきたのよマネージャー業務やるなら!って。
はい、梅澤以外レッスン再開するぞー?さっきの曲通しで、足並み揃えること意識して、まずそこからだから!」
「じゃあ行ってきます!」
そう言ってレッスン室を出て更衣室の横についたシャワー室でシャワーを浴びて汗を流して着替える。
今日は割と長丁場の撮影の予定になると聞いていて少し緊張が強い。
ましてや今この雑誌から専属でモデルさせてもらってるのはうちのメンバーだと私だけ……もしかしたら後輩たちが後々専属になる可能性も考えたら下手なことはできやしない。
「ちゃんと……しないと。」
気合を入れすぎても空回りするのはわかってる。
それでも私はあくまでもアイドル……モデルはモデルさんたちには敵わない。
そんな中知名度で選んでもらってる以上は半端なことはできないという思いが強く、最近は少しこの仕事が億劫だ。
服を着て校門の前に行くと彼が立っておりそのまま後部座席の扉を開けてくれる。
「どうぞ、梅澤さん。」
「あ、はい!」
そのまま乗り込みシートベルトをするとゆっくりと車が動き始める。
見慣れた景色になった車移動も彼と2人なのが少し空気が硬い。
何か話題を探しながら私は街並みを眺めるのだった。
朝練が終わると講義を受けて、終わればレッスンの手伝いをして掃除をして帰るそんな日々。
一週間が過ぎ日に日に溶け込んでいく彼の姿に大半のメンバーは慣れていったようだけれど、その中で1人だけは警戒心マックスというか……もはや半径3メートルほどに近寄ろうともしない。
「ねぇ、さく大丈夫?」
「えぇ……まあ……はい。」
いつもよりどんよりとした居づらそうな空気を纏いながら俯き気味に彼女が返事をする。
うちのメンバーの中でも特に警戒心が強いというか……男の人が苦手というか、関わるのを嫌っている彼女は一週間が経った今も一度も話しかけてる姿を見かけない。
まあ美緒や和、美空が代わる代わる彼女に引っ付いてるから機会がないと言えばないのだけれど意図的に彼を避けてる節はある。
と言っても別に個人マネージャーとしてつくわけじゃないし、全体で着くのなら特に問題はない……業務連絡くらいできれば充分。
「まあ業務連絡くらいはできる程度に話せばいいと思うよ。」
「はい……すみません気を遣わせて……。」
申し訳なさそうにする彼女を尻目に掃除中の彼を見ると既に5期生が周りに集まり話しながら掃除を進めている。
だいぶ掃除仲間というのもあってか5期生はとっつきやすいのか良き兄のようにみんなが集まる……こんなことを言うのもアレだけど乃木坂保育園の先生?みたいな?
割と不思議な空間を見ているとうちのあざといプロ美空が仕掛ける。
「私、今日も可愛いです?」
「えぇもちろん。
今日はアイラインがいつもよりいい感じに引けたんじゃないです?」
「え?!やだっ、なんでわかるんですか!?!?」
「そりゃ目元みてたらわかりますよ。」
「えぇ……やだぁ。」
美空は赤くなってスッと輪から消えていく。
それを見た他の5期生メンバーは我先にと聞きに行きその度に的確に答える彼はまるで歴戦のホストとでも言うべきか。
的確にみんなのことを褒めながらそれでいて手は止まらない。
掃除をしながら1人また1人と輪から離れていき満足そうに笑っているが1人だけその輪から離れることなく黙々と一緒に掃除をしている。
「井上さん、そろそろ……。」
「あ、はい!これですね!」
「助かります……。」
彼も和が近くで手伝ってるのがわかっているのか見ることもなく声をかけてモップを交換する。
一週間で一番仲良くなったのは他でもない和だと思う。
「みんなが嫌がることこそ率先して」とでも言うべきか、彼女は必ず先頭に立って掃除を念入りにする。
実際5期生の中では多分一番和が誠実な人間というのも変だけど、レッスン室にいる間は一番目立つ。
人柄も相まって周りには誰かがいるけれど、今はむしろ彼の周りにはいつも和がいる感じ。
「ありがとうございます、じゃあ片付けてきますので。」
「わかりました!いつもありがとうございます!」
そう言って和が挨拶すると彼はまた廊下にスーッと消えていく。
いつものことなんだけど……あの人廊下に消えると本当に存在感ごと無くなるのなんなのだろう?
足音がしないし、荷物を運ぶ音もない……ただ本当にスーッといなくなってはスーッと戻ってくる。
一度聞いた時は「邪魔になるかもなんで音は立てないよう努力してます。」とか言っていたけれどもはや忍者みたいな域で不思議な感じは一週間が過ぎても慣れやしない。
「梅澤ー、今日撮影だよね?」
「はい!」
日村コーチに声をかけられ慌てて返事をすると少し考え込むようにしたあといつの間にか戻った彼を呼ぶ。
「稲葉、梅澤スタジオまで送れるか?」
「えっと……はい、道わかります。」
「車使っていいからスタジオまで、終わったら送りまでしてもらえるか?」
「わかりました。」
頷くと彼は部屋を出て車を取りにいくためにレッスン室を出ていく。
「あれ?稲葉さんって大一ですよね僕たちと同じ。」
不思議そうに尋ねる理々杏だが別に取れる年齢ではあるのだからなんら不思議ではないが気にはなるのだろう。
そう言えば理々杏も取りたいとかなんとか言ってたような気がするから、私たちも取らせろ!的なことをごねるつもりなのだろう。
「あの子16で二輪取ったから高校卒業してすぐ取らせてきたのよマネージャー業務やるなら!って。
はい、梅澤以外レッスン再開するぞー?さっきの曲通しで、足並み揃えること意識して、まずそこからだから!」
「じゃあ行ってきます!」
そう言ってレッスン室を出て更衣室の横についたシャワー室でシャワーを浴びて汗を流して着替える。
今日は割と長丁場の撮影の予定になると聞いていて少し緊張が強い。
ましてや今この雑誌から専属でモデルさせてもらってるのはうちのメンバーだと私だけ……もしかしたら後輩たちが後々専属になる可能性も考えたら下手なことはできやしない。
「ちゃんと……しないと。」
気合を入れすぎても空回りするのはわかってる。
それでも私はあくまでもアイドル……モデルはモデルさんたちには敵わない。
そんな中知名度で選んでもらってる以上は半端なことはできないという思いが強く、最近は少しこの仕事が億劫だ。
服を着て校門の前に行くと彼が立っておりそのまま後部座席の扉を開けてくれる。
「どうぞ、梅澤さん。」
「あ、はい!」
そのまま乗り込みシートベルトをするとゆっくりと車が動き始める。
見慣れた景色になった車移動も彼と2人なのが少し空気が硬い。
何か話題を探しながら私は街並みを眺めるのだった。