ep.4 僕が手を叩く方へ
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本番当日は流れるようにやってくる。
別に特段酷い緊張もなく、かと言って過度に緩んだ空気もない。
経験だけは今のメンバーの中で1番多くなった私たちは程よい緊張感の中で裾から観客席を見つめていた。
「おー?僕のタオルじゃん!」
「私のもあるよ〜。」
理々杏と綾乃が楽しそうに指差しながら観客席の人たちを眺める。
蓮加と麗乃も席を見つめ気合を入れ直していて、楓は……絶賛こぼした水を裏で拭いている。
史緒里はスタッフさんと途中でやるソロの最終確認、祐希は先ほど仮眠から起きてメイクを直してパイプ椅子に座ってる。
その姿は歴戦の猛者のような堂々とした座り方でアイドルらしさはどこへやらといった感じだがいつも通りっちゃいつも通り。
私はもう一度観客席を隅から隅まで見渡す。
初めてのライブの日、ちょうどここから観てた景色はとんでもなく多くて全員が敵に見えたのを覚えてる。
全員が全員じゃないけど、それでも見定めると言わんばかりの強い眼差しに少し気圧されたのを覚えてる。
良くも悪くもファンって素直な気持ちで私たちを見ている。加入した私たちが本当に乃木坂の一員になっていいのか?どの子がどんなパフォーマンスをするのか?この子は歌は得意なんだな。とかとにかくこれから応援していくメンバーたちを見定めるような視線があった。
でも今は違う、私たちの努力を一目見ようとワクワクした目ばかりで、あの日気圧された目線も今ならワクワクだったと思える。
そう考えれば先週の5期生も同じような感じがしたのかな?なんて思えて、後で聞いてみようかななんて思える。
「8人でやるの楽しみじゃない?」
「あれ?祐希もういいの座ってなくて?」
「うん……スイッチ入ったから。」
座ってた祐希が隣に立ち観客席を見る。
じーっと真剣な目で見た後に「ふぅ」と一息つくと振り向いて裏へ戻っていく。
やけにその目が真剣で決意を固めたような気がして少し気になったけど、祐希のやることだ考えるだけ無駄な気もして私ももう一回だけ観客席を見た後裏に戻る。
「いい顔してますね。」
「龍馬さんこそ、2回目だけあって落ち着いてますね。」
頭に巻いたタオルを外しながら声をかけた彼は今朝ももちろんと言わんばかりに朝イチに来てステージの確認をしていた。
ステージに立てない代わりにみんなの万全を守るのが俺の仕事だって言わんばかりのその熱を見せられて心が熱くなる。
今までのマネージャーさんたちと何ら変わらないその行動も同年代がやってると思うと自然と意識が強くなり、ほかのマネージャーさんたちにもより一層感謝が強くなる。
「まあ、コーチたちの言うとおりで俺は心配してないんで。」
「信頼されてます?」
「もちろん。」
笑いながらハイタッチだけして裏へと消えていく彼と入れ替わりで楓がやってくる。
「ヤラカシタヤラカシタ。」
「ヤラカシタヤラカシタぁ。」
「もう!真似しない!」
「ふふふ、はーい。」
笑いながらみんなで揃って袖に立つ。
みんなで顔を見合わせ、慣れた円陣が終わると私たちにはステージに飛び出す。
大歓声と一面のサイリウム。
きっと隅には後輩たちが見てる。
(まあ見てなさいって……私たちが"乃木坂46"ってとこ!)
驕りではない、先輩たちから受け継いだその熱が胸の中に宿る。
きっとそれを後輩に受け継いでいく方法はこの熱が誰かに伝わるようにあの頃と変わらない全力で尽くすだけ。
そんな思いと共にステージは幕開けたのだった。
別に特段酷い緊張もなく、かと言って過度に緩んだ空気もない。
経験だけは今のメンバーの中で1番多くなった私たちは程よい緊張感の中で裾から観客席を見つめていた。
「おー?僕のタオルじゃん!」
「私のもあるよ〜。」
理々杏と綾乃が楽しそうに指差しながら観客席の人たちを眺める。
蓮加と麗乃も席を見つめ気合を入れ直していて、楓は……絶賛こぼした水を裏で拭いている。
史緒里はスタッフさんと途中でやるソロの最終確認、祐希は先ほど仮眠から起きてメイクを直してパイプ椅子に座ってる。
その姿は歴戦の猛者のような堂々とした座り方でアイドルらしさはどこへやらといった感じだがいつも通りっちゃいつも通り。
私はもう一度観客席を隅から隅まで見渡す。
初めてのライブの日、ちょうどここから観てた景色はとんでもなく多くて全員が敵に見えたのを覚えてる。
全員が全員じゃないけど、それでも見定めると言わんばかりの強い眼差しに少し気圧されたのを覚えてる。
良くも悪くもファンって素直な気持ちで私たちを見ている。加入した私たちが本当に乃木坂の一員になっていいのか?どの子がどんなパフォーマンスをするのか?この子は歌は得意なんだな。とかとにかくこれから応援していくメンバーたちを見定めるような視線があった。
でも今は違う、私たちの努力を一目見ようとワクワクした目ばかりで、あの日気圧された目線も今ならワクワクだったと思える。
そう考えれば先週の5期生も同じような感じがしたのかな?なんて思えて、後で聞いてみようかななんて思える。
「8人でやるの楽しみじゃない?」
「あれ?祐希もういいの座ってなくて?」
「うん……スイッチ入ったから。」
座ってた祐希が隣に立ち観客席を見る。
じーっと真剣な目で見た後に「ふぅ」と一息つくと振り向いて裏へ戻っていく。
やけにその目が真剣で決意を固めたような気がして少し気になったけど、祐希のやることだ考えるだけ無駄な気もして私ももう一回だけ観客席を見た後裏に戻る。
「いい顔してますね。」
「龍馬さんこそ、2回目だけあって落ち着いてますね。」
頭に巻いたタオルを外しながら声をかけた彼は今朝ももちろんと言わんばかりに朝イチに来てステージの確認をしていた。
ステージに立てない代わりにみんなの万全を守るのが俺の仕事だって言わんばかりのその熱を見せられて心が熱くなる。
今までのマネージャーさんたちと何ら変わらないその行動も同年代がやってると思うと自然と意識が強くなり、ほかのマネージャーさんたちにもより一層感謝が強くなる。
「まあ、コーチたちの言うとおりで俺は心配してないんで。」
「信頼されてます?」
「もちろん。」
笑いながらハイタッチだけして裏へと消えていく彼と入れ替わりで楓がやってくる。
「ヤラカシタヤラカシタ。」
「ヤラカシタヤラカシタぁ。」
「もう!真似しない!」
「ふふふ、はーい。」
笑いながらみんなで揃って袖に立つ。
みんなで顔を見合わせ、慣れた円陣が終わると私たちにはステージに飛び出す。
大歓声と一面のサイリウム。
きっと隅には後輩たちが見てる。
(まあ見てなさいって……私たちが"乃木坂46"ってとこ!)
驕りではない、先輩たちから受け継いだその熱が胸の中に宿る。
きっとそれを後輩に受け継いでいく方法はこの熱が誰かに伝わるようにあの頃と変わらない全力で尽くすだけ。
そんな思いと共にステージは幕開けたのだった。