ep.4 僕が手を叩く方へ
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「梅さん!やっぱりすごかったですね!」
「うん、史緒里ほんと演技できるんだよね……感慨深い。」
日もすっかり落ちて都内の空にうっすら星が見える。
月並みな言葉かもしれないけど、史緒里の輝きはあの星より眩しかったとしか言い表せないくらい良い刺激をもらった。
感想を話し合いながらすっかり暗くなったので彼女をご飯に誘って道すがら歩いていく。
ここから徒歩10分ほどにある和食のお店へ彼女を一度連れてってあげたかったのでそれも都合が良かった。
実は彼女とは少しシンパシーを感じる部分も多くて、その中の一つが料理が好きだということ。
彼女は和食が好きなのかそういう料理が多いし、一回乃木tubeで一緒に料理撮影なんてできたら良いなと思う。
「じゃ、お姉さまおすすめのお店に行きましょう!」
「はい!梅さんオススメなんて絶対正解じゃないですか!
もう私映画の前から楽しみで楽しみで……。」
少し恥ずかしそうに笑う彼女を思わず抱きしめそうになるが流石に大通りだからと自粛して道を歩く。
小さな暖簾を潜るとそこは本当にいい意味で少し年季の入った和食のお店で店内に入るとふわっと出汁のいい香りが漂ってきて空腹を刺激する。
「いらっしゃ……あら美波ちゃん!また来てくれたの!」
「はい!今日は後輩も連れてきました!」
「あら!可愛らしい子ねぇ……。」
「井上和って言います!」
「和ちゃんね、ゆっくり食べていってね!」
そう言って水を置かれてメニューを広げてもらうと2人で見ながら何にするかを考える。
「おすすめって何ですか?」
「んー……初めてならこの和食御膳とか鉄板だよ。」
「じゃあ私はそれで!梅さんは?」
「私も原点回帰でそうしよっかな……すみません!和食御膳二つ!」
「はーい!」というお母さんの声が聞こえて水を一口飲むと2人で一昨日のライブの話を始める。
「どうだった?初の期別ライブだったけど。」
「すごい緊張しましたね……座長って言われても正直実感がなくて。」
「まあ、今回は特に期別だから名ばかりってのもアレだけど……本番の夏冬にあるのは座長はすごい大変だと思う。」
「やっぱりそうですよね……。」
今回のライブは期別、つまり同級生だけで固まってるから遠慮なくいけるかもしれないけれど、どうしても先輩が混じるとその負担は計り知れないものになる。
亀裂が走ったり、先輩たちが作ったものを壊してはいけないなんて想いはよくないとわかっていてもどうしたって重荷は背負わないといけないし背負ってもらわないといけない。
それ故に今から一度経験してるのは大きいことでもある。
去年は美月が担当したけど、先輩が混じっていたから尚更プレッシャーもひとしおで、みんなの前で泣かなかったはずの彼女がライブ中に流した涙を見て私も思わずもらい泣きをしたのを覚えている。
今年はましてや経験者が少ない大変な年になるから私も今から少し緊張している。
「はいお待たせ!」
「わっ!すごい!美味しそう!」
「ふふふっ、和ちゃん美味しそうじゃなくてうちのは美味しいわよー?」
「あ、ごめんなさい。」
「なんてね、ほらゆっくり食べて!」
お母さんが運んできた御膳は相変わらず小さな小鉢がたくさんついた豪華なもので、真ん中にある鰆の西京焼きだけでも豪華なので心が躍る。
全く……こんなの毎日食べれるなら食べたいのにお財布より体型維持が不安になるレベル。
「いただきます!」
嬉しそうに目を見開きながら美味しい美味しいと連呼する彼女は本当に素直で良い子だ。
本当は今日聴きたかったことがいくつかあったけどそんなことも忘れて私も料理に舌鼓を打つ。
家では味わえないこの深い味を楽しみながら少し落ち着いた頃ようやく私が切り出そうとした時彼女が先に話し始めた。
「何か聞きたいことあるんですよね?」
「あ、うん。」
「どの件でしょう……やっぱりこの前の……。」
「いやいや、多分違う違う!
5期生ライブで気になったところあったらと思ってさ!」
「で、ですよね!」
慌てるように箸を置いた彼女は一体何の話をしたかったのだろうか?
不審に思いながらも本題に入りライブについてのお話をする。
何でここをこうしてみようと思ったのか?
新しくスポットを当てた子達の得意なことの再確認をしたりしながら時が流れる。
そして一応最後に聞きたかった事は
「龍馬さんどうだった?」
「どう……とは?」
「初でしょ?チーフで動くの。」
「あー……正直言って良いです?」
お茶を緊張したように一口飲むと真剣な顔でこちらを見つめてくる。
綺麗なまんまるお目目に見つめられて生唾をゴクリと飲み込んで少し前傾姿勢を取る。
一息呼吸をした後彼女が口を開く。
「助かりますの一言ですね、今回私たちって初めてでしたからどこまでがスタッフさんの領分でどこからが違うのかって正直違いがうまくわからなかったんです。
例えばライトの当て方とか少し眩しいなって思った時、照明さんと演出さんのどちらに言うべきかって考えてしまった時も、さりげなく「伝えとくから大丈夫。」って言って話に行ってくれたり、休憩に行くと必ずドアの前におやつや飲み物が置いてありましたし、タオルも毎回用意してくれてて、衣装のチェックまでしてくれますし、ステージの上を当日まで欠かさず危険なところがないか、場ミリは剥がれてないか、角度は合ってるかとか全部真剣に確認してくれてました。
龍馬さん自身も結構気を張ってたので目に隈もできてたのに私たちには隠してましたし、実際私もたまたま見かけなかったら気づきませんでした。
そういえば梅さんが教えたコンシーラー助かったって言ってましたよ!
目元に塗ったら隠せるからって。
あとは」
「うんごめん、ちょっと落ち着こっか。」
「あ。す、すみません。」
とりあえず大活躍だった事はわかるが、正直こんなに矢継ぎ早に褒められてるとなんかこう……私もむず痒くなる。
いつも落ち着いて話してくれる和も言われてみればヲタクの部分があって、好きなものを話す時はよく喋るとは聞いてたけどここまでとは思ってなくて正直驚いた。
それにしてもなかなか彼は大活躍だったと聞いて少し安心すると同時に3期生ライブもそこまで頑張られると多分4期生まで保たない気がする。そこはうまくメンバーで相談しながら私たちも進めていくべきだと改めて再認識しながら向き直る。
「つまり、大活躍?」
「はい!本当に助かりました!」
「良かった良かった……心配だったけどあれだね、5期生のみんなは掃除とかでも話してたもんね。」
「ですね、なのであまり抵抗感なく受け入れられたんですけど……4期生のみなさんがどうかは少し心配ですね。」
「あー……やっぱり?」
「はい、さくらさんとか警戒してると言うか怯えてると言うか……だいぶ気にしてますから、多分矢久保さんとか林さんも警戒してる気がしますね。」
「よく見てるねぇ……。」
私が思っていた事は間違いじゃないようで、多分ここまでレッスンでしか関わりのない4期生が少し不安な部分が大きいのは間違いじゃないらしい。
5期は掃除、3期は同級生。図らずも関わりが持ててるがいまいち4期生組は距離感を掴みかねてる部分が多い……とはいえ、弓木とかガンガンいってるし、美佑とかもガンガン聞きにいく性格をしてコミュニケーションを取っているが良くも悪くも4期生ってさくとかっきーが中心になってる節はあるからその辺は少し心配。
その2人との絡みがないのが少し気がかりではあるけど、まあ彼の良さは誠意として多分理解はされてる。
そう考えればまあ何とか……なるかな?って感じはするけどまあ要警戒ってことは変わらない。
フォローをしていかなければなーなんて思いながら食べ終えた食器をお母さんが下げていくのを見て私たちも席を立つ。
時計を見れば21時を回っている、これ以上遅くなると彼女にも門限があるから早めに出た私たちは歩きながら話を続ける。
流石にここまで褒めまくりだと少し心配なところもあるけど、まあ打ち解けられてると思えば良いことだと思う。
そんなことを考えながら彼女を送ってシェアハウスに帰る。
みんななんだかんだ言いながらシアタールームに集まって確認をしてるあたり心配はいらないから余裕を持ってもらえると助かるなと思いながら私も合流するのだった。
「うん、史緒里ほんと演技できるんだよね……感慨深い。」
日もすっかり落ちて都内の空にうっすら星が見える。
月並みな言葉かもしれないけど、史緒里の輝きはあの星より眩しかったとしか言い表せないくらい良い刺激をもらった。
感想を話し合いながらすっかり暗くなったので彼女をご飯に誘って道すがら歩いていく。
ここから徒歩10分ほどにある和食のお店へ彼女を一度連れてってあげたかったのでそれも都合が良かった。
実は彼女とは少しシンパシーを感じる部分も多くて、その中の一つが料理が好きだということ。
彼女は和食が好きなのかそういう料理が多いし、一回乃木tubeで一緒に料理撮影なんてできたら良いなと思う。
「じゃ、お姉さまおすすめのお店に行きましょう!」
「はい!梅さんオススメなんて絶対正解じゃないですか!
もう私映画の前から楽しみで楽しみで……。」
少し恥ずかしそうに笑う彼女を思わず抱きしめそうになるが流石に大通りだからと自粛して道を歩く。
小さな暖簾を潜るとそこは本当にいい意味で少し年季の入った和食のお店で店内に入るとふわっと出汁のいい香りが漂ってきて空腹を刺激する。
「いらっしゃ……あら美波ちゃん!また来てくれたの!」
「はい!今日は後輩も連れてきました!」
「あら!可愛らしい子ねぇ……。」
「井上和って言います!」
「和ちゃんね、ゆっくり食べていってね!」
そう言って水を置かれてメニューを広げてもらうと2人で見ながら何にするかを考える。
「おすすめって何ですか?」
「んー……初めてならこの和食御膳とか鉄板だよ。」
「じゃあ私はそれで!梅さんは?」
「私も原点回帰でそうしよっかな……すみません!和食御膳二つ!」
「はーい!」というお母さんの声が聞こえて水を一口飲むと2人で一昨日のライブの話を始める。
「どうだった?初の期別ライブだったけど。」
「すごい緊張しましたね……座長って言われても正直実感がなくて。」
「まあ、今回は特に期別だから名ばかりってのもアレだけど……本番の夏冬にあるのは座長はすごい大変だと思う。」
「やっぱりそうですよね……。」
今回のライブは期別、つまり同級生だけで固まってるから遠慮なくいけるかもしれないけれど、どうしても先輩が混じるとその負担は計り知れないものになる。
亀裂が走ったり、先輩たちが作ったものを壊してはいけないなんて想いはよくないとわかっていてもどうしたって重荷は背負わないといけないし背負ってもらわないといけない。
それ故に今から一度経験してるのは大きいことでもある。
去年は美月が担当したけど、先輩が混じっていたから尚更プレッシャーもひとしおで、みんなの前で泣かなかったはずの彼女がライブ中に流した涙を見て私も思わずもらい泣きをしたのを覚えている。
今年はましてや経験者が少ない大変な年になるから私も今から少し緊張している。
「はいお待たせ!」
「わっ!すごい!美味しそう!」
「ふふふっ、和ちゃん美味しそうじゃなくてうちのは美味しいわよー?」
「あ、ごめんなさい。」
「なんてね、ほらゆっくり食べて!」
お母さんが運んできた御膳は相変わらず小さな小鉢がたくさんついた豪華なもので、真ん中にある鰆の西京焼きだけでも豪華なので心が躍る。
全く……こんなの毎日食べれるなら食べたいのにお財布より体型維持が不安になるレベル。
「いただきます!」
嬉しそうに目を見開きながら美味しい美味しいと連呼する彼女は本当に素直で良い子だ。
本当は今日聴きたかったことがいくつかあったけどそんなことも忘れて私も料理に舌鼓を打つ。
家では味わえないこの深い味を楽しみながら少し落ち着いた頃ようやく私が切り出そうとした時彼女が先に話し始めた。
「何か聞きたいことあるんですよね?」
「あ、うん。」
「どの件でしょう……やっぱりこの前の……。」
「いやいや、多分違う違う!
5期生ライブで気になったところあったらと思ってさ!」
「で、ですよね!」
慌てるように箸を置いた彼女は一体何の話をしたかったのだろうか?
不審に思いながらも本題に入りライブについてのお話をする。
何でここをこうしてみようと思ったのか?
新しくスポットを当てた子達の得意なことの再確認をしたりしながら時が流れる。
そして一応最後に聞きたかった事は
「龍馬さんどうだった?」
「どう……とは?」
「初でしょ?チーフで動くの。」
「あー……正直言って良いです?」
お茶を緊張したように一口飲むと真剣な顔でこちらを見つめてくる。
綺麗なまんまるお目目に見つめられて生唾をゴクリと飲み込んで少し前傾姿勢を取る。
一息呼吸をした後彼女が口を開く。
「助かりますの一言ですね、今回私たちって初めてでしたからどこまでがスタッフさんの領分でどこからが違うのかって正直違いがうまくわからなかったんです。
例えばライトの当て方とか少し眩しいなって思った時、照明さんと演出さんのどちらに言うべきかって考えてしまった時も、さりげなく「伝えとくから大丈夫。」って言って話に行ってくれたり、休憩に行くと必ずドアの前におやつや飲み物が置いてありましたし、タオルも毎回用意してくれてて、衣装のチェックまでしてくれますし、ステージの上を当日まで欠かさず危険なところがないか、場ミリは剥がれてないか、角度は合ってるかとか全部真剣に確認してくれてました。
龍馬さん自身も結構気を張ってたので目に隈もできてたのに私たちには隠してましたし、実際私もたまたま見かけなかったら気づきませんでした。
そういえば梅さんが教えたコンシーラー助かったって言ってましたよ!
目元に塗ったら隠せるからって。
あとは」
「うんごめん、ちょっと落ち着こっか。」
「あ。す、すみません。」
とりあえず大活躍だった事はわかるが、正直こんなに矢継ぎ早に褒められてるとなんかこう……私もむず痒くなる。
いつも落ち着いて話してくれる和も言われてみればヲタクの部分があって、好きなものを話す時はよく喋るとは聞いてたけどここまでとは思ってなくて正直驚いた。
それにしてもなかなか彼は大活躍だったと聞いて少し安心すると同時に3期生ライブもそこまで頑張られると多分4期生まで保たない気がする。そこはうまくメンバーで相談しながら私たちも進めていくべきだと改めて再認識しながら向き直る。
「つまり、大活躍?」
「はい!本当に助かりました!」
「良かった良かった……心配だったけどあれだね、5期生のみんなは掃除とかでも話してたもんね。」
「ですね、なのであまり抵抗感なく受け入れられたんですけど……4期生のみなさんがどうかは少し心配ですね。」
「あー……やっぱり?」
「はい、さくらさんとか警戒してると言うか怯えてると言うか……だいぶ気にしてますから、多分矢久保さんとか林さんも警戒してる気がしますね。」
「よく見てるねぇ……。」
私が思っていた事は間違いじゃないようで、多分ここまでレッスンでしか関わりのない4期生が少し不安な部分が大きいのは間違いじゃないらしい。
5期は掃除、3期は同級生。図らずも関わりが持ててるがいまいち4期生組は距離感を掴みかねてる部分が多い……とはいえ、弓木とかガンガンいってるし、美佑とかもガンガン聞きにいく性格をしてコミュニケーションを取っているが良くも悪くも4期生ってさくとかっきーが中心になってる節はあるからその辺は少し心配。
その2人との絡みがないのが少し気がかりではあるけど、まあ彼の良さは誠意として多分理解はされてる。
そう考えればまあ何とか……なるかな?って感じはするけどまあ要警戒ってことは変わらない。
フォローをしていかなければなーなんて思いながら食べ終えた食器をお母さんが下げていくのを見て私たちも席を立つ。
時計を見れば21時を回っている、これ以上遅くなると彼女にも門限があるから早めに出た私たちは歩きながら話を続ける。
流石にここまで褒めまくりだと少し心配なところもあるけど、まあ打ち解けられてると思えば良いことだと思う。
そんなことを考えながら彼女を送ってシェアハウスに帰る。
みんななんだかんだ言いながらシアタールームに集まって確認をしてるあたり心配はいらないから余裕を持ってもらえると助かるなと思いながら私も合流するのだった。