ep.1 はじまり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
朝早くに家を出て稽古に向かう。
大学生にもなって早起きする羽目になるとは思っていなかったけれどうちの学校の特殊さを考えればそれも仕方がない。
乃木坂大学及び附属高等学校に芸能科として入学した私はかれこれ4年ほどアイドル業務と学生生活を兼任している。
その生活もはや3年となれば私も慣れてはきたが今期からはキャプテンにも就任した。
偉大なる先輩方は全員アイドル活動を終了し、そのまま大学生活を続けながら女優業やモデルへと飛び出して行った。
そんな今だからこそ弱った乃木坂なんて呼ばれたくないと一念発起新体制1回目の朝練へいの一番に飛び出した。
高校生組は寮からやってくるが大学組は近くに借りてある寮のようなところで集団生活を送っている。
私が朝出る頃にみんなチラホラ起きてきていたから今ならまだ一番乗りだろう。
道中で買ったコーヒーを飲みながらレッスン室へ向かうと何故かすでに電気がついている。
「あれ?誰かもう来てるの?」
そう言って扉を開けるとそこには1人の男の人がしゃがんで床を綺麗に拭いていた。
昨日帰った時はもっと汚かったはずのレッスン室の鏡、床の隅の埃も全て綺麗に掃除され磨き上げられている。
「……え?」
「……あ、すいません邪魔ですよね。」
そう言うとマスクをつけた彼はゆっくり立ち上がり掃除道具をまとめて立ち去っていく。
一体誰なのだろうか?
全く見たことがないというか、最早初顔と言っても過言じゃないはずの男性はゆっくりと出ていくとそのまま暗い廊下へ消えていく。
「え?お化けとかじゃないよね……?
ってか誰!?」
しばらく放心状態だったが慌てて廊下に飛び出すとすでに彼の姿はない。
一体誰だったのか?これはもしや侵入者じゃないか?と思いながらも今は追いかけるのは危険すぎる。
慌てて私は電話を開きコーチに連絡をする、朝早いが朝練もあるなら起きて向かってるだろう。
プルルルルとコールが3回ほどなると電話越しに「もしもし?」と聞こえて矢継ぎ早に確認する。
「すみません日村コーチ、朝来たら誰か男の人が掃除してたんですけど、あれ知ってる人ですか!?」
「ん?なんの話……あー。今日からか。」
「え?知ってる人ですか??」
「そうだね、ツーブロックでなんかこう、くらーい男でしょ?」
思い返した記憶の中では確かに髪をあげていたが横は刈り上げていた。
と言うことは本当に知り合いなのだろう。
「梅澤にも後で紹介するわな、今日の放課後レッスンには彼も参加するから。」
そう言って切れた電話を呆然と見つめる。
一体なんの話だろうか全く状況が理解できていないのだけれど、次々と入ってくるメンバーに挨拶を返しながら悶々としたままレッスンが始まる。
この日、私が出会ったのは本当にたまたまで、きっと彼がここに来たのもたまたま。
その出会いが縁となって話が進むなんて私は思ってもいなかった。
【ep.1 はじまり】
大学生にもなって早起きする羽目になるとは思っていなかったけれどうちの学校の特殊さを考えればそれも仕方がない。
乃木坂大学及び附属高等学校に芸能科として入学した私はかれこれ4年ほどアイドル業務と学生生活を兼任している。
その生活もはや3年となれば私も慣れてはきたが今期からはキャプテンにも就任した。
偉大なる先輩方は全員アイドル活動を終了し、そのまま大学生活を続けながら女優業やモデルへと飛び出して行った。
そんな今だからこそ弱った乃木坂なんて呼ばれたくないと一念発起新体制1回目の朝練へいの一番に飛び出した。
高校生組は寮からやってくるが大学組は近くに借りてある寮のようなところで集団生活を送っている。
私が朝出る頃にみんなチラホラ起きてきていたから今ならまだ一番乗りだろう。
道中で買ったコーヒーを飲みながらレッスン室へ向かうと何故かすでに電気がついている。
「あれ?誰かもう来てるの?」
そう言って扉を開けるとそこには1人の男の人がしゃがんで床を綺麗に拭いていた。
昨日帰った時はもっと汚かったはずのレッスン室の鏡、床の隅の埃も全て綺麗に掃除され磨き上げられている。
「……え?」
「……あ、すいません邪魔ですよね。」
そう言うとマスクをつけた彼はゆっくり立ち上がり掃除道具をまとめて立ち去っていく。
一体誰なのだろうか?
全く見たことがないというか、最早初顔と言っても過言じゃないはずの男性はゆっくりと出ていくとそのまま暗い廊下へ消えていく。
「え?お化けとかじゃないよね……?
ってか誰!?」
しばらく放心状態だったが慌てて廊下に飛び出すとすでに彼の姿はない。
一体誰だったのか?これはもしや侵入者じゃないか?と思いながらも今は追いかけるのは危険すぎる。
慌てて私は電話を開きコーチに連絡をする、朝早いが朝練もあるなら起きて向かってるだろう。
プルルルルとコールが3回ほどなると電話越しに「もしもし?」と聞こえて矢継ぎ早に確認する。
「すみません日村コーチ、朝来たら誰か男の人が掃除してたんですけど、あれ知ってる人ですか!?」
「ん?なんの話……あー。今日からか。」
「え?知ってる人ですか??」
「そうだね、ツーブロックでなんかこう、くらーい男でしょ?」
思い返した記憶の中では確かに髪をあげていたが横は刈り上げていた。
と言うことは本当に知り合いなのだろう。
「梅澤にも後で紹介するわな、今日の放課後レッスンには彼も参加するから。」
そう言って切れた電話を呆然と見つめる。
一体なんの話だろうか全く状況が理解できていないのだけれど、次々と入ってくるメンバーに挨拶を返しながら悶々としたままレッスンが始まる。
この日、私が出会ったのは本当にたまたまで、きっと彼がここに来たのもたまたま。
その出会いが縁となって話が進むなんて私は思ってもいなかった。
【ep.1 はじまり】