ep.3 始まり
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期別ライブ。
それは全体ライブとは違い期ごとに色を出せる貴重な機会。
普段は後ろに一歩引く5期生や、まだまだ慣れないながら先輩をしてる4期生も、後輩たちに気を遣う3期生も自分達の同期だけで行うそのライブは一つ大切なものであると同時に、自分達の色を出して誰かに見てもらえる良い機会だ。
今回はセットリストに縛りもないため自由度は高いけれど、その分だけ早めに全て決めて時間内に収まるかどうかの確認が必要で……その中でも大切なのは何期生からスタートするかというところ。
そしてそれを今から決めるのだ。
「では、代表前出てきて。」
日村コーチの一言を受け3期生から梅さん、4期生から賀喜さん、そして5期生からは咲月が前に出る。
3人の前に置かれたのは小さな箱、もちろん外から中が見えることはないし誰かが不正をする事もない……と言ってももちろん誰かするわけなんてないんだけれど。
「この中には数字を書いたボールが入ってる、1.2.3って書いてある順番に期別ライブが行われるから、気を引き締めてな!」
そう言って日村コーチが箱を混ぜながら3人の前に立つ。
ガシャガシャと音が立ち混ざっていき、そのまま咲月の前に立つ。
「引いてすぐ見るなー、全員引いてからだからな菅原。」
「は、はいっ!!」
片手で一つボールを掴み目を閉じたままボールを両手で握りしめた咲月に祈るようにみんなで手を合わせる。
私たちの理想はできれば2番目、先輩たちのを見て自分達の演出を修正したり少し変えてみたらいい部分が出たら改善していきたい、もちろん大トリは嫌だし、先頭は荷が重い。
できれば2番を引いてきてもらいたいところでだが……正直期待がしづらい。
なぜなら咲月は運が良くない。
それでも私たちの代のリーダーは咲月だから任せるしかないのだ。
続いて賀喜さんが引いて自動的に最後の一つを梅さんが引いて3人で横に並ぶ。
梅さんと咲月は緊張してるけれど賀喜さんはやけに堂々として目につく。
それは日村さんも同じようで不思議そうに尋ねる。
「賀喜、どうした?なんでそんな勝ち誇った顔してんの?」
「……え?あー……まあ勝ったなと。」
一瞬間が空いたあと慌てたように話し始めニヤリと笑う。
たまに賀喜さんは意識が飛んでいく時があるとは聞いていたが確かにこれは……不思議だ。
「いや賀喜みたの?」
「うぇ?いやいや見てませんよ、でもまあ……もう引いたら変わんないんで。」
やけに堂々とした賀喜さんに対して他2人は少し申し訳なさそうな顔をして自身の同期を見ている。
「じゃあ3人ともみんなに見えるように前に掲げてください……どうぞ!!」
日村コーチの掛け声と同時に3人が持ったボールを前に差し出す。
咲月の手に掲げられたボールは……
「い……1番。」
「ぎゃあああああ!!!」
咲月の部屋を劈くような絶叫と共に5期生が崩れ落ちる。
やってしまったというべきか、はたまたやってしまうのが彼女……小吉という人間の運命なのか、兎にも角にも決まってしまった一番手に私の心臓が一気に早くなる。
「2番!いぇーい!」
「いぇーい!ナイス美波ー、さすがキャプテン!」
「……。」
「ねえ、何の自信だったの遥香。」
「……。」
3期生は狂喜乱舞、4期生は大トリが決まり頭を抱えた松尾さんに片手でごめんごめんと言った感じに頭を下げる賀喜さん。
つまり順番は5→3→4……もう決まってしまったものは仕方ない。
それでも正直やり直しを求めたいくらいには辛い。
歓声が少しおさまった頃日村コーチが手を叩いてみんなの注目を集める。
「はいはいはい、じゃあ座長3人前出てこーい。」
その声に咲月と入れ替わりで前に立つ。
3期生は梅さんとハイタッチして久保さんが出てきて、4期生は賀喜さんを睨みつけながらさくらさんが出てくる。
この3人が今回の期別ライブの座長になるらしく、3人横並びで立つとそのまま日村コーチから挨拶を求められる。
「そうですね、キャプテンがいい数字引いてくれたんで……気負わず、ベテランの味を出していけたらと思います。」
そう言って久保さんが頭を下げてみんなが拍手をする。
流石にコメントが手慣れているけれど、私はまだ決まっていないので話半分に聞きながら必死に頭で組み立てる。
「えっと……かっきーが……やってしまったので、トリ頑張ります……。」
さくらさんは本当に嫌そうにしながらそう言って頭を下げていよいよ私の番が回ってくる。
何を話そうか、何を話せばいいのか慌てて考えながら何とか言葉を紡ぐ。
「初めての期別ライブなので……あの、全力で頑張りたいと思います。」
頭を下げると拍手をもらって3人で列に戻る、もう今更どうこう言っても変わることはないから腹を括ってやるしかない。
咲月はまだ凹んでいるが、むしろプラス思考で考えれば
「1回目の公演を1番手でこなせるのはハードルが無いのと同じ」と思えば気負いも減るのではないか?
そう腹を括ると列の間を抜けてカメラを撮っていた彼が日村コーチの横に立つ。
「そして今回の期別前一週間、稲葉はライブ用にその期に着くことになる。
スタッフとして参加すると同時にライブスタッフとの連携を担当してもらう事になる。
つまり稲葉、お前にとっても大きな仕事だからな。」
「ですね、頑張ります。」
あくまで飄々としたように答えて頭を下げるとそのまま最後方へ戻りカメラのチェックに戻る。
どうやらさっきの撮影は今度SNSでライブ告知用に使うらしいから、さっきのオドオドした私が映されると思うともう少し上手くやっておけばよかったとも思う。
でもまあ……ここまできたらあとはやるだけ。
私は今からみんなで話すセットリストを考えながら前を見るのだった。
それは全体ライブとは違い期ごとに色を出せる貴重な機会。
普段は後ろに一歩引く5期生や、まだまだ慣れないながら先輩をしてる4期生も、後輩たちに気を遣う3期生も自分達の同期だけで行うそのライブは一つ大切なものであると同時に、自分達の色を出して誰かに見てもらえる良い機会だ。
今回はセットリストに縛りもないため自由度は高いけれど、その分だけ早めに全て決めて時間内に収まるかどうかの確認が必要で……その中でも大切なのは何期生からスタートするかというところ。
そしてそれを今から決めるのだ。
「では、代表前出てきて。」
日村コーチの一言を受け3期生から梅さん、4期生から賀喜さん、そして5期生からは咲月が前に出る。
3人の前に置かれたのは小さな箱、もちろん外から中が見えることはないし誰かが不正をする事もない……と言ってももちろん誰かするわけなんてないんだけれど。
「この中には数字を書いたボールが入ってる、1.2.3って書いてある順番に期別ライブが行われるから、気を引き締めてな!」
そう言って日村コーチが箱を混ぜながら3人の前に立つ。
ガシャガシャと音が立ち混ざっていき、そのまま咲月の前に立つ。
「引いてすぐ見るなー、全員引いてからだからな菅原。」
「は、はいっ!!」
片手で一つボールを掴み目を閉じたままボールを両手で握りしめた咲月に祈るようにみんなで手を合わせる。
私たちの理想はできれば2番目、先輩たちのを見て自分達の演出を修正したり少し変えてみたらいい部分が出たら改善していきたい、もちろん大トリは嫌だし、先頭は荷が重い。
できれば2番を引いてきてもらいたいところでだが……正直期待がしづらい。
なぜなら咲月は運が良くない。
それでも私たちの代のリーダーは咲月だから任せるしかないのだ。
続いて賀喜さんが引いて自動的に最後の一つを梅さんが引いて3人で横に並ぶ。
梅さんと咲月は緊張してるけれど賀喜さんはやけに堂々として目につく。
それは日村さんも同じようで不思議そうに尋ねる。
「賀喜、どうした?なんでそんな勝ち誇った顔してんの?」
「……え?あー……まあ勝ったなと。」
一瞬間が空いたあと慌てたように話し始めニヤリと笑う。
たまに賀喜さんは意識が飛んでいく時があるとは聞いていたが確かにこれは……不思議だ。
「いや賀喜みたの?」
「うぇ?いやいや見てませんよ、でもまあ……もう引いたら変わんないんで。」
やけに堂々とした賀喜さんに対して他2人は少し申し訳なさそうな顔をして自身の同期を見ている。
「じゃあ3人ともみんなに見えるように前に掲げてください……どうぞ!!」
日村コーチの掛け声と同時に3人が持ったボールを前に差し出す。
咲月の手に掲げられたボールは……
「い……1番。」
「ぎゃあああああ!!!」
咲月の部屋を劈くような絶叫と共に5期生が崩れ落ちる。
やってしまったというべきか、はたまたやってしまうのが彼女……小吉という人間の運命なのか、兎にも角にも決まってしまった一番手に私の心臓が一気に早くなる。
「2番!いぇーい!」
「いぇーい!ナイス美波ー、さすがキャプテン!」
「……。」
「ねえ、何の自信だったの遥香。」
「……。」
3期生は狂喜乱舞、4期生は大トリが決まり頭を抱えた松尾さんに片手でごめんごめんと言った感じに頭を下げる賀喜さん。
つまり順番は5→3→4……もう決まってしまったものは仕方ない。
それでも正直やり直しを求めたいくらいには辛い。
歓声が少しおさまった頃日村コーチが手を叩いてみんなの注目を集める。
「はいはいはい、じゃあ座長3人前出てこーい。」
その声に咲月と入れ替わりで前に立つ。
3期生は梅さんとハイタッチして久保さんが出てきて、4期生は賀喜さんを睨みつけながらさくらさんが出てくる。
この3人が今回の期別ライブの座長になるらしく、3人横並びで立つとそのまま日村コーチから挨拶を求められる。
「そうですね、キャプテンがいい数字引いてくれたんで……気負わず、ベテランの味を出していけたらと思います。」
そう言って久保さんが頭を下げてみんなが拍手をする。
流石にコメントが手慣れているけれど、私はまだ決まっていないので話半分に聞きながら必死に頭で組み立てる。
「えっと……かっきーが……やってしまったので、トリ頑張ります……。」
さくらさんは本当に嫌そうにしながらそう言って頭を下げていよいよ私の番が回ってくる。
何を話そうか、何を話せばいいのか慌てて考えながら何とか言葉を紡ぐ。
「初めての期別ライブなので……あの、全力で頑張りたいと思います。」
頭を下げると拍手をもらって3人で列に戻る、もう今更どうこう言っても変わることはないから腹を括ってやるしかない。
咲月はまだ凹んでいるが、むしろプラス思考で考えれば
「1回目の公演を1番手でこなせるのはハードルが無いのと同じ」と思えば気負いも減るのではないか?
そう腹を括ると列の間を抜けてカメラを撮っていた彼が日村コーチの横に立つ。
「そして今回の期別前一週間、稲葉はライブ用にその期に着くことになる。
スタッフとして参加すると同時にライブスタッフとの連携を担当してもらう事になる。
つまり稲葉、お前にとっても大きな仕事だからな。」
「ですね、頑張ります。」
あくまで飄々としたように答えて頭を下げるとそのまま最後方へ戻りカメラのチェックに戻る。
どうやらさっきの撮影は今度SNSでライブ告知用に使うらしいから、さっきのオドオドした私が映されると思うともう少し上手くやっておけばよかったとも思う。
でもまあ……ここまできたらあとはやるだけ。
私は今からみんなで話すセットリストを考えながら前を見るのだった。