ep.2 勘違いと誠実さ
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「理々杏さん、もう少し音聞いて。」
「はーい。」
「五百城さんは落ち着いて。
1回目だからずれても仕方ないから、堂々と歌ってこう。」
「は、はい。」
「和さんと、美空ちゃんは良い感じですよ。」
「ありがとうございます!」
歌唱レッスンが始まると基本的に最初1時間はダンス組と歌組に分かれて交代でレッスンになる。
私は歌唱組で2人ずつ設楽コーチの前で歌ってアドバイスを受けながら、残ったメンバーがこっちで龍馬さんに先に聞いてもらってアドバイスを受ける。
「和、今日気分乗ってるね!」
「そう?みっくもノリノリじゃない?」
「そりゃもう、龍馬さんが歌の方担当してくれるとか楽しくない?」
「それはそう!」
美空と話しながら周りを見渡すと今は梅さんと蓮加さんが設楽コーチと真剣に話しながら何度も確認をしてるのが見える。
私たちあいうえお順だと美空と茉央、後瑛紗が一緒になることが多いから自然と歌に関しての話は多いのだけれど、今日は特に気合が入ってしまう。
だってさっきあんな挨拶をされてしまっては熱も入るのも仕方ないだろう。
「にしても、龍馬さんが歌担当なんて思わなかったよ。」
チラッと横目に見ながら美空がそう言って笑う。
確かにただのマネージャー枠だと思ってもいたし、彼とは掃除で話すくらいだったけど、真剣で真面目な人だったから好感も持っている。
それでもやっぱり年上とも会って話す機会は少ないし、高校と大学じゃキャンパスも違うから会う機会も必然的に少ない。
これでも私や咲月、美空は話しかけてる方だから良いけれど、問題はむしろ……
「池田さん、大丈夫?」
「は、はい……すみません。」
「いや、謝らなくて大丈夫ですよ。
まだ今日始まったばかりですし。」
「はい……。」
瑛紗は歌が苦手、知らない人が苦手。
自分のホームグラウンドに引き摺り込めば面白いしよく話すし、なんなら5期生の中でも割と変わったことをして笑わせてくれるが、いつも見ていてわかるように実は彼のことがちょっぴり……いや大分苦手な方だ。
それに彼も彼で距離感をまだ測りかねてて、イマイチギクシャクした空気が溶けない。
茉央も苦手な方だけど、彼女はやる時はやる!ってスイッチが入ればなんとかなるけど瑛紗はそれすら入らない。
「……瑛紗?」
「はい……大丈夫ですよ。」
「慣れないうちは難しいよね。」
「ですね……またジメジメした私になりそうです。」
酷く暗い空気の彼女の周りが湿度が上がったようにジメジメとしていく。
もしここが森ならキノコまみれになりそうなくらいの空気に思わず一歩下がってしまうがこればかりは本人が慣れていくしかない。
「和は怖くないの?」
しゃがみ込んだ瑛紗が目だけこちらに向けて話しかけてくる。
怖くないかと言われたら、別にそこまで怖いと感じたことはない。
実際話してみると優しいし聞き上手、咲月の変な話にも合わせる器用さもあるし……むしろ私としては話しやすい。
初日の時も私たちを気遣って掃除を率先してくれたし、自主練で残ることが多い私としては必然的に後片付けや居残り中に話すことも多いし、あまり苦手意識はない。
「怖くはないかな。
いい人って言っても伝わりにくいけど、真剣な人だしね。」
「そうですよね……そのいい人感というか陽のオーラが池田には眩しくて眩しくて……。」
「次池田と五百城!」
「あ、行ってきます。」
どんよりとしたまま設楽コーチの方に向かう瑛紗を見送りながらなんとかできないかを考えるけれど、正直私には荷が重い。
別に瑛紗が苦手だとか言うわけじゃない、休み時間はよく一緒に落書きして話をしたりするし、彼女は彼女なりに歌もダンスも苦手だからとレッスンには真剣。
だからこそ、今後を考えると彼とはもう少し仲良くなったほうがいいとも思う。
こうして歌のアドバイスがもらえる相手が増えるし、何より設楽コーチに聞くのにも限界はある。
歌レッスンの機会を除けば連絡すればいろいろアドバイスをくれるけどメンバー全員となるとやっぱり遅くなる事もあるし、妻と子供がいるから帰る時もさっと帰ってしまう。
その点彼は最後まで残ってるから自主練中にも聞きやすい。
なんとかならないものかと頭を抱えていると美空が顎に手を当て考え込んだ後、ゆっくりと口を開く。
「ここにいる5期生って私と和、茉央と瑛紗だよね?」
「そうだね。」
「今日の帰りご飯行かない?龍馬さんも一緒に!
瑛紗ご飯食べてたらよく話すじゃん?」
「それいいかも!」
美空の発言に同意しながら私は今日のお店を考える。
瑛紗だし焼肉がいいだろう。
この前行ったお店は美味しくて瑛紗もすごく気に入ってたことを思い出し、好きなものを食べながらなら少しくらい打ち解けられるだろうか?
「みっく、終わったらこの前のお店連絡してくれる?」
「はーい、和は?」
「私は2人と龍馬さんに話してくる。」
「はーい、任せて!」
そう言ってレッスンに戻る彼女に続いて一緒についていく。
これを機に仲良くなってくれるといいなと思いながら私はレッスンに戻るのだった。
「はーい。」
「五百城さんは落ち着いて。
1回目だからずれても仕方ないから、堂々と歌ってこう。」
「は、はい。」
「和さんと、美空ちゃんは良い感じですよ。」
「ありがとうございます!」
歌唱レッスンが始まると基本的に最初1時間はダンス組と歌組に分かれて交代でレッスンになる。
私は歌唱組で2人ずつ設楽コーチの前で歌ってアドバイスを受けながら、残ったメンバーがこっちで龍馬さんに先に聞いてもらってアドバイスを受ける。
「和、今日気分乗ってるね!」
「そう?みっくもノリノリじゃない?」
「そりゃもう、龍馬さんが歌の方担当してくれるとか楽しくない?」
「それはそう!」
美空と話しながら周りを見渡すと今は梅さんと蓮加さんが設楽コーチと真剣に話しながら何度も確認をしてるのが見える。
私たちあいうえお順だと美空と茉央、後瑛紗が一緒になることが多いから自然と歌に関しての話は多いのだけれど、今日は特に気合が入ってしまう。
だってさっきあんな挨拶をされてしまっては熱も入るのも仕方ないだろう。
「にしても、龍馬さんが歌担当なんて思わなかったよ。」
チラッと横目に見ながら美空がそう言って笑う。
確かにただのマネージャー枠だと思ってもいたし、彼とは掃除で話すくらいだったけど、真剣で真面目な人だったから好感も持っている。
それでもやっぱり年上とも会って話す機会は少ないし、高校と大学じゃキャンパスも違うから会う機会も必然的に少ない。
これでも私や咲月、美空は話しかけてる方だから良いけれど、問題はむしろ……
「池田さん、大丈夫?」
「は、はい……すみません。」
「いや、謝らなくて大丈夫ですよ。
まだ今日始まったばかりですし。」
「はい……。」
瑛紗は歌が苦手、知らない人が苦手。
自分のホームグラウンドに引き摺り込めば面白いしよく話すし、なんなら5期生の中でも割と変わったことをして笑わせてくれるが、いつも見ていてわかるように実は彼のことがちょっぴり……いや大分苦手な方だ。
それに彼も彼で距離感をまだ測りかねてて、イマイチギクシャクした空気が溶けない。
茉央も苦手な方だけど、彼女はやる時はやる!ってスイッチが入ればなんとかなるけど瑛紗はそれすら入らない。
「……瑛紗?」
「はい……大丈夫ですよ。」
「慣れないうちは難しいよね。」
「ですね……またジメジメした私になりそうです。」
酷く暗い空気の彼女の周りが湿度が上がったようにジメジメとしていく。
もしここが森ならキノコまみれになりそうなくらいの空気に思わず一歩下がってしまうがこればかりは本人が慣れていくしかない。
「和は怖くないの?」
しゃがみ込んだ瑛紗が目だけこちらに向けて話しかけてくる。
怖くないかと言われたら、別にそこまで怖いと感じたことはない。
実際話してみると優しいし聞き上手、咲月の変な話にも合わせる器用さもあるし……むしろ私としては話しやすい。
初日の時も私たちを気遣って掃除を率先してくれたし、自主練で残ることが多い私としては必然的に後片付けや居残り中に話すことも多いし、あまり苦手意識はない。
「怖くはないかな。
いい人って言っても伝わりにくいけど、真剣な人だしね。」
「そうですよね……そのいい人感というか陽のオーラが池田には眩しくて眩しくて……。」
「次池田と五百城!」
「あ、行ってきます。」
どんよりとしたまま設楽コーチの方に向かう瑛紗を見送りながらなんとかできないかを考えるけれど、正直私には荷が重い。
別に瑛紗が苦手だとか言うわけじゃない、休み時間はよく一緒に落書きして話をしたりするし、彼女は彼女なりに歌もダンスも苦手だからとレッスンには真剣。
だからこそ、今後を考えると彼とはもう少し仲良くなったほうがいいとも思う。
こうして歌のアドバイスがもらえる相手が増えるし、何より設楽コーチに聞くのにも限界はある。
歌レッスンの機会を除けば連絡すればいろいろアドバイスをくれるけどメンバー全員となるとやっぱり遅くなる事もあるし、妻と子供がいるから帰る時もさっと帰ってしまう。
その点彼は最後まで残ってるから自主練中にも聞きやすい。
なんとかならないものかと頭を抱えていると美空が顎に手を当て考え込んだ後、ゆっくりと口を開く。
「ここにいる5期生って私と和、茉央と瑛紗だよね?」
「そうだね。」
「今日の帰りご飯行かない?龍馬さんも一緒に!
瑛紗ご飯食べてたらよく話すじゃん?」
「それいいかも!」
美空の発言に同意しながら私は今日のお店を考える。
瑛紗だし焼肉がいいだろう。
この前行ったお店は美味しくて瑛紗もすごく気に入ってたことを思い出し、好きなものを食べながらなら少しくらい打ち解けられるだろうか?
「みっく、終わったらこの前のお店連絡してくれる?」
「はーい、和は?」
「私は2人と龍馬さんに話してくる。」
「はーい、任せて!」
そう言ってレッスンに戻る彼女に続いて一緒についていく。
これを機に仲良くなってくれるといいなと思いながら私はレッスンに戻るのだった。