ep.1 はじまり
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「今日から歌唱レッスンも入れるんだけど……その前に稲葉からお話がありまーす。」
夕方のレッスン。
今日はみんなが揃う日でもあるから少し狭く感じるレッスン室で日村コーチの声が響くとみんながパッと注目が集まる。
「えっと、半月が過ぎてメンバーの方々からも親切にいただいてありがとうございます。
部外者で男ともなるときっと警戒してる人たちも多いと思うんですけど、それでも仲良くしてくれたり輪に溶け込めるようにいろいろ話しかけてくれてる人たちには感謝でいっぱいです。」
ゆっくり話しながら頭を下げる彼に視線が集まる。
普段より真剣に見た彼は私たちと同じ歳とは思えないくらい落ち着いていて、初めて人前で話した時の自分とはまるで違うように落ち着いている。
「よければ、名前で呼んでいただけますか?
無理強いはしません……でも俺は俺でここに本気でいます。」
優しい声に力がこもる。
不思議と威圧感もなく真っ直ぐレッスン室に響き渡り、私たちは気づけば彼から目を離せない。
「みなさんが作る一つの作品を支えるお手伝いを本気でやりますので、俺もスタッフの1人として頑張りますので。
もっとみなさんを知って、みなさんに合わせたサポートをできるようにするために少しだけ、仲良くなりたいなと思うので。
よろしくお願いします。」
またゆっくり頭を下げると彼は真っ直ぐこっちを見てくる。
誰も話さない静寂が少し続いたかと思うとこういう時に先陣を切るのは決まって
「はーーい!龍馬さん!よろしくお願いしまーーす!
私も奈於でも弓木でも奈於ちゃんでも!なんでも大丈夫です!!」
彼女のこういう時の明るさはほんと強い。
どうしたら良いかわからない空気に風穴を空けて風通しが良くなる。
「僕も呼ぶよー、ね!龍馬くん!」
「伊藤さん、ありがとう。」
「理々杏でいいよ!ほら僕ら友達じゃん!」
続けて笑う理々杏に空気がどんどん良くなっていく。
なんだ、私が悩む必要もなかったのかもしれない。
こうやって、誰かがいつか呼び始める日が来て……自然とこういう風になっていたかもしれない。
私たちだって同期と初めて会った時仲間なんて言われてもピンと来なかった。
だってただ同じ時にオーディションにいて、偶然合格して芸能科に編入してアイドルになった。
見知らぬ私たちでも仲間になったのはいつから?と聞かれたらイマイチ思い出せなくて自然になっていった。
それは同性だからで、きっと異性なら誰かが始めないと変わらなかったし、変える必要はなかったのかもしれないけれど、彼を二週間見て分かったのは誠実な人なんだなーってこと。
それに遅かれ早かれ理々杏や奈於みたいな子が呼び始めて気づいたらそんな空気ができたと思うし、むしろそうなった時に私なら「どうして名前で呼んでるの?」と言ってしまい揉めてたかもしれない。
「私もいいですよ美波で……龍馬さん。」
流れの中で私もそう言って笑う。
誠実な彼を信じてみようじゃないか。
一番早く来て、一番遅く帰る彼だって立派なスタッフで、マネージャーで、私たちのクラスメイト。
異性かどうか、メンバーの影響ばかり考えてたけど、難しいことは無く真っ直ぐぶつかろうじゃないか。
遠慮なく言える仲にはきっとなれない子もいる。
それでも良い、だって別に友人関係ってわけじゃないのだから。
「ありがとう……えっと、美波さん?」
「はい、これから乃木坂をよろしくお願いしますね。」
そう言ってお辞儀をした彼に手を挙げて話すメンバーを日村コーチが手を止める。
「はいはいはい、稲葉とは後で話して伝えてもらって……そして稲葉が前に出たタイミングで伝えるぞー。
実はマネージャーと同時に彼には一つだけ仕事があります。
それは……。」
みんなが息を呑み日村コーチの言葉を待つ。
またピンと張った空気の中で固唾を飲んで見守る中で彼はゆっくり口を開いた。
「歌唱方面、アドバイスだけにはなりますけど参加します……つまりサブコーチになります。」
そう言って頭を下げてる彼の姿を見て少し驚くのだった。
--続く--
夕方のレッスン。
今日はみんなが揃う日でもあるから少し狭く感じるレッスン室で日村コーチの声が響くとみんながパッと注目が集まる。
「えっと、半月が過ぎてメンバーの方々からも親切にいただいてありがとうございます。
部外者で男ともなるときっと警戒してる人たちも多いと思うんですけど、それでも仲良くしてくれたり輪に溶け込めるようにいろいろ話しかけてくれてる人たちには感謝でいっぱいです。」
ゆっくり話しながら頭を下げる彼に視線が集まる。
普段より真剣に見た彼は私たちと同じ歳とは思えないくらい落ち着いていて、初めて人前で話した時の自分とはまるで違うように落ち着いている。
「よければ、名前で呼んでいただけますか?
無理強いはしません……でも俺は俺でここに本気でいます。」
優しい声に力がこもる。
不思議と威圧感もなく真っ直ぐレッスン室に響き渡り、私たちは気づけば彼から目を離せない。
「みなさんが作る一つの作品を支えるお手伝いを本気でやりますので、俺もスタッフの1人として頑張りますので。
もっとみなさんを知って、みなさんに合わせたサポートをできるようにするために少しだけ、仲良くなりたいなと思うので。
よろしくお願いします。」
またゆっくり頭を下げると彼は真っ直ぐこっちを見てくる。
誰も話さない静寂が少し続いたかと思うとこういう時に先陣を切るのは決まって
「はーーい!龍馬さん!よろしくお願いしまーーす!
私も奈於でも弓木でも奈於ちゃんでも!なんでも大丈夫です!!」
彼女のこういう時の明るさはほんと強い。
どうしたら良いかわからない空気に風穴を空けて風通しが良くなる。
「僕も呼ぶよー、ね!龍馬くん!」
「伊藤さん、ありがとう。」
「理々杏でいいよ!ほら僕ら友達じゃん!」
続けて笑う理々杏に空気がどんどん良くなっていく。
なんだ、私が悩む必要もなかったのかもしれない。
こうやって、誰かがいつか呼び始める日が来て……自然とこういう風になっていたかもしれない。
私たちだって同期と初めて会った時仲間なんて言われてもピンと来なかった。
だってただ同じ時にオーディションにいて、偶然合格して芸能科に編入してアイドルになった。
見知らぬ私たちでも仲間になったのはいつから?と聞かれたらイマイチ思い出せなくて自然になっていった。
それは同性だからで、きっと異性なら誰かが始めないと変わらなかったし、変える必要はなかったのかもしれないけれど、彼を二週間見て分かったのは誠実な人なんだなーってこと。
それに遅かれ早かれ理々杏や奈於みたいな子が呼び始めて気づいたらそんな空気ができたと思うし、むしろそうなった時に私なら「どうして名前で呼んでるの?」と言ってしまい揉めてたかもしれない。
「私もいいですよ美波で……龍馬さん。」
流れの中で私もそう言って笑う。
誠実な彼を信じてみようじゃないか。
一番早く来て、一番遅く帰る彼だって立派なスタッフで、マネージャーで、私たちのクラスメイト。
異性かどうか、メンバーの影響ばかり考えてたけど、難しいことは無く真っ直ぐぶつかろうじゃないか。
遠慮なく言える仲にはきっとなれない子もいる。
それでも良い、だって別に友人関係ってわけじゃないのだから。
「ありがとう……えっと、美波さん?」
「はい、これから乃木坂をよろしくお願いしますね。」
そう言ってお辞儀をした彼に手を挙げて話すメンバーを日村コーチが手を止める。
「はいはいはい、稲葉とは後で話して伝えてもらって……そして稲葉が前に出たタイミングで伝えるぞー。
実はマネージャーと同時に彼には一つだけ仕事があります。
それは……。」
みんなが息を呑み日村コーチの言葉を待つ。
またピンと張った空気の中で固唾を飲んで見守る中で彼はゆっくり口を開いた。
「歌唱方面、アドバイスだけにはなりますけど参加します……つまりサブコーチになります。」
そう言って頭を下げてる彼の姿を見て少し驚くのだった。
--続く--