ep.1 はじまり
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「……なるほど。」
「まあ小テストなので、丸暗記でもいけると思いますよ。」
「頑張ります……。」
お昼ご飯を食べた後私たちは彼の前に座って教えてもらいながら黙々と暗記を続ける。
麗乃は初めて見る問題に頭を抱えていたが、一つずつ説明を聞くうちに次第に笑顔を取り戻していき今はすっかり落ち着いている。
理々杏はもうノートに何度も同じ単語を出そうなところだけ繰り返し書いて丸暗記モード。
私はとりあえずレジュメを見ながら大事だと言っていたところに目を通している。
「やっぱり教えてもらうほどじゃないと思うんですよねみなさん。」
「えー?そうかなぁ、僕とか大分怪しいんだけど。」
「……経営学の父と呼ばれる科学的管理法を提唱したのは?」
「えーっと……フレデリックテイラー!」
「ほら大丈夫です。
小テストならそんな感じでしか聞かれませんよ……実際教授と話して聞いてますし。」
「え!?そうなの!?」
「ええ、講義終わりにしに話に行ったら
『とりあえず基礎確認だけしてるだけだよ、芸能科組は小テストとかでも評価つけなきゃだからね。』って言ってましたし。」
「なんだよー……身構えちゃったなぁ。」
ボールペンを置いて伸びをする理々杏に彼がクスクス笑いながら麗乃に目をやる。
「難しく考えすぎるより、台本のセリフと同じ!ってくらい覚えちゃったら良いと思います。
試験にも今回の小テストの内容は出ると思いますから、なんとなく頭に入ってると楽ですからね。」
「わかりました。」
「梅澤さんは大丈夫です?」
「え?あ、はい……なんとかなりますねこれなら。」
突然話を振られて慌てて彼に返事をすると「よかったです。」とだけ言って自分のノートを見る。
この調子なら別に私もなんとか6〜7割は取れるはず。
そう思いながら暗記に戻ると理々杏が突然口を開く。
「そういえばさ!稲葉さんってよそよそしいから龍馬くんでもいいかな?」
「……。」
突然のことに目を見開く彼に慌てて理々杏の方を見るが不思議そうに言葉を続ける。
「だって仲間になったわけでしょ?
同い年なのによそよそしいのなんか変じゃない?……って思ったの僕だけ?」
「いや、まあ……別にいいですけど、なんか距離近いと問題とかないんです?」
申し訳なさそうに言う彼にまた理々杏は不思議そうに首を傾げ。
「え?別に良くない?
マネージャーさんだし、同級生だし……後何年いるか僕らもわかんないけどさー、よそよそしいままさよならってのも変じゃない?」
「……梅澤さん的にはどうです?」
「え?私?」
突然また話を振られ少し考え込む。
確かに変に近い距離感はアイドルをしてる私たちには良くないものだとも思う。
でもどうせイベントとかにも帯同したりこの前の私みたいに撮影に帯同してたら遅かれ早かれファンの人たちにはバレる日が来る。
その時に私たちとは一定の距離を保っています!ってアピールをするためには名前呼びは辞めた方がいい。
とはいえ、ここで断って溝を作るのは作るので不誠実な気もして、私は少し考え込む。
多分どっちをとってもメリットがあって
どっちをとってもデメリットがある。
そう考えれば思うように言葉が出てこない。
「呼びたいメンバーだけにしたら良いんじゃない?」
レジュメを見ながら麗乃がボソッと呟く。
「別に強制はしなくて良いし、多分他のメンバーにも稲葉さんと距離を掴みかねてる子も、もっと話をして知りたいと思う子もいると思う。」
「それいいね!」
楽しそうに返す理々杏と真剣そうに読み込む麗乃。
確かに……自己責任という形なら悪くはない。
でも……それってどうなのだろう?
呼ばないメンバーと呼ぶメンバーに溝ができたり、呼ばないメンバーの方は扱いが悪くなったりとかしたら……。
そんなことを考えると余計に頭がこんがらがるが彼は気にしない様子で少し考え込むようにした後
「じゃあ、呼びたい人だけにして……呼びたいメンバーは別ににそうしましょう。
だからってメンバー同士に優劣をつける気もありませんし、夕方のレッスンで僕からお願いすればマシでしょうから。」
「……わかりました。
じゃあそうしましょう。」
私の目を見て伝えられたので頷くと彼はまた何もなかったかのようにレジュメに目を戻す。
あまり考えすぎても良くないけれど、なんか心を見透かされたような気もする。
でも真夏さんからも言われた「迷って迷って、出した答えは正解にしちゃえば良いんだよ!」という言葉を思い出す。
(そうだ……溝ができないように私がすれば良いだけ。)
そう思いながら決意を固めると講義のチャイムが鳴ってレジュメをしまう。
遠目に見た楓は蓮加と横並びで頭を抱えていて少し笑みが溢れる。
「アレはやばいやつかなぁ。」
なんて言いながら私はそのまま最後まで覚えた単語を頭で反芻するのだった。
「まあ小テストなので、丸暗記でもいけると思いますよ。」
「頑張ります……。」
お昼ご飯を食べた後私たちは彼の前に座って教えてもらいながら黙々と暗記を続ける。
麗乃は初めて見る問題に頭を抱えていたが、一つずつ説明を聞くうちに次第に笑顔を取り戻していき今はすっかり落ち着いている。
理々杏はもうノートに何度も同じ単語を出そうなところだけ繰り返し書いて丸暗記モード。
私はとりあえずレジュメを見ながら大事だと言っていたところに目を通している。
「やっぱり教えてもらうほどじゃないと思うんですよねみなさん。」
「えー?そうかなぁ、僕とか大分怪しいんだけど。」
「……経営学の父と呼ばれる科学的管理法を提唱したのは?」
「えーっと……フレデリックテイラー!」
「ほら大丈夫です。
小テストならそんな感じでしか聞かれませんよ……実際教授と話して聞いてますし。」
「え!?そうなの!?」
「ええ、講義終わりにしに話に行ったら
『とりあえず基礎確認だけしてるだけだよ、芸能科組は小テストとかでも評価つけなきゃだからね。』って言ってましたし。」
「なんだよー……身構えちゃったなぁ。」
ボールペンを置いて伸びをする理々杏に彼がクスクス笑いながら麗乃に目をやる。
「難しく考えすぎるより、台本のセリフと同じ!ってくらい覚えちゃったら良いと思います。
試験にも今回の小テストの内容は出ると思いますから、なんとなく頭に入ってると楽ですからね。」
「わかりました。」
「梅澤さんは大丈夫です?」
「え?あ、はい……なんとかなりますねこれなら。」
突然話を振られて慌てて彼に返事をすると「よかったです。」とだけ言って自分のノートを見る。
この調子なら別に私もなんとか6〜7割は取れるはず。
そう思いながら暗記に戻ると理々杏が突然口を開く。
「そういえばさ!稲葉さんってよそよそしいから龍馬くんでもいいかな?」
「……。」
突然のことに目を見開く彼に慌てて理々杏の方を見るが不思議そうに言葉を続ける。
「だって仲間になったわけでしょ?
同い年なのによそよそしいのなんか変じゃない?……って思ったの僕だけ?」
「いや、まあ……別にいいですけど、なんか距離近いと問題とかないんです?」
申し訳なさそうに言う彼にまた理々杏は不思議そうに首を傾げ。
「え?別に良くない?
マネージャーさんだし、同級生だし……後何年いるか僕らもわかんないけどさー、よそよそしいままさよならってのも変じゃない?」
「……梅澤さん的にはどうです?」
「え?私?」
突然また話を振られ少し考え込む。
確かに変に近い距離感はアイドルをしてる私たちには良くないものだとも思う。
でもどうせイベントとかにも帯同したりこの前の私みたいに撮影に帯同してたら遅かれ早かれファンの人たちにはバレる日が来る。
その時に私たちとは一定の距離を保っています!ってアピールをするためには名前呼びは辞めた方がいい。
とはいえ、ここで断って溝を作るのは作るので不誠実な気もして、私は少し考え込む。
多分どっちをとってもメリットがあって
どっちをとってもデメリットがある。
そう考えれば思うように言葉が出てこない。
「呼びたいメンバーだけにしたら良いんじゃない?」
レジュメを見ながら麗乃がボソッと呟く。
「別に強制はしなくて良いし、多分他のメンバーにも稲葉さんと距離を掴みかねてる子も、もっと話をして知りたいと思う子もいると思う。」
「それいいね!」
楽しそうに返す理々杏と真剣そうに読み込む麗乃。
確かに……自己責任という形なら悪くはない。
でも……それってどうなのだろう?
呼ばないメンバーと呼ぶメンバーに溝ができたり、呼ばないメンバーの方は扱いが悪くなったりとかしたら……。
そんなことを考えると余計に頭がこんがらがるが彼は気にしない様子で少し考え込むようにした後
「じゃあ、呼びたい人だけにして……呼びたいメンバーは別ににそうしましょう。
だからってメンバー同士に優劣をつける気もありませんし、夕方のレッスンで僕からお願いすればマシでしょうから。」
「……わかりました。
じゃあそうしましょう。」
私の目を見て伝えられたので頷くと彼はまた何もなかったかのようにレジュメに目を戻す。
あまり考えすぎても良くないけれど、なんか心を見透かされたような気もする。
でも真夏さんからも言われた「迷って迷って、出した答えは正解にしちゃえば良いんだよ!」という言葉を思い出す。
(そうだ……溝ができないように私がすれば良いだけ。)
そう思いながら決意を固めると講義のチャイムが鳴ってレジュメをしまう。
遠目に見た楓は蓮加と横並びで頭を抱えていて少し笑みが溢れる。
「アレはやばいやつかなぁ。」
なんて言いながら私はそのまま最後まで覚えた単語を頭で反芻するのだった。