Relieved
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理事長命令により逆らえず、
生徒達が3チームに分かれた事で、ジャズ・リード・ゴエモン・カムイのチームの引率となった。
一番楽しんだチームが優勝、しかも優勝チームには先生達が何か奢るというルールだ。
カルエゴは不承不承ながら認めたが、最下位チームには終末期の宿題倍増を言い渡したのだった。
「生徒さん達、大丈夫でしょうか?」
パーク内に突如出現した災害魔獣、
「手を貸すなよ、ルィエ」
「はい」
ルィエも、認識阻害グラスをかけて、ウォルターパークに来ていた。
その頭には、ウサギのような耳付きカチューシャが。楽しそうな写真を撮影しなければと生徒達に装着され、不機嫌極まりないカルエゴが、ルィエに押し付けたものだ。
ルィエは、崩壊したパーク内にテーブルと椅子を設置し、飲み物を用意した。
カルエゴが着席すると、マップを手に報告を始める。
「私の使い魔によれば、ウォルタースタッフの誘導により来場者の避難は始まっています。出口から遠いパーク中央付近の者達は、緊急
子犬サイズにもなり、探索や追跡が得意なクー・シー。そして、もう1体の使い魔――カラスの翼を持つ馬で、瞬発的な移動や運搬が得意なレイヴンホース。
それぞれを、魔獣の出現エリアに向かわせていた。
「災害魔獣3体のうち、
「奴らがいるなら問題は無い。放っておけ」
セーレ・ルィエ 家系能力〝
探し求める者が何処にいるのかを感知する事ができる。
「生徒さん達が、ちゃんと引率者の指示に従ってくれるといいのですが」
「何?」
その場に遣わせた使い魔の眼を通し、視認する事も可能だ。
「生徒会長のアザゼル・アメリさんが、オペラさんと共闘中。アブノーマルクラスのウァラク・クララさんが……魔獣の複尾に掴まって……楽しそうです」
「……放っておけ」
「仰せの通りに」
カルエゴチームの四人の生徒達は、連携し魔獣を倒したかに思えたが、やはりツメが甘かった。
すぐに意識を取り戻し、四人に向けて放たれた拳を、カルエゴが魔術の盾で防ぐ。
「ケルベリオン」
個々を採点した後、カルエゴは〝降手〟の一撃で青牛を倒した。
そう、たった一撃で。
立ち尽くす生徒達に「楽しかっただろ?」と言い、魔獣の前で椅子に座る。
「さっさと来い。写真撮るぞ」
ルィエは、カルエゴチーム勝利の写真を撮影した。
その後、各エリアの2体の魔獣も倒された。
バラムチームは特にいろいろあったので、一応簡潔にカルエゴに報告すると、「あの馬鹿共が」と吐き捨てた後、あとの事など知らんとばかりに寛いでいる。
しかし、倒れていた魔獣達が光り出し、バラムが倒した赤龍を元に合成魔獣となった直後――カルエゴが消えた。
「カルエゴ卿が使い魔として召喚されてしまったので、私があなた方の引率をします」
ルィエは、生徒達の前で認識阻害グラスを外した。
「セーレ先輩!!」
「嘘!いつからいたの!?」
「つけ耳……付けてるでござるな」
「レディに気づけないとは、何たる不覚……ッ!!」
何より……
俺/僕/拙者/私達が必死で戦ってる時に、配下の女性悪魔を侍らせて楽しんでたなんて!!あの陰湿教師ぃ~!!!!
「合成魔獣はお三方により瞬殺されたようですので、そちらに合流を……」
言いかけて、ルィエはその方角を凝視した。
合成魔獣は、まだ生きている。
体中の魔力を凝縮し、自滅覚悟で吐き出すつもりだ。
あの量の魔力が放出されれば、地上は焼きつくされ、ウォルターパークの半分は焦土と化すだろう。
射程範囲には避難所、その先には、この絶叫エリアがある。
直撃はせずとも、無事では済まない。
クー・シーの眼を通し、カルエゴの指示でアガレスが開けた地面の穴に入るのが視認できた。
「皆さん、乗ってください!」
呼び戻したレイヴンホースに、四人の生徒を射程範囲外まで運ばせる。
〝
自身は羽を広げ、それを追った。
しかし、途中で動きを止める。
「魔力を、食べた……」
ロノウェの家系能力〝
そして……――
「皆さん魔獣との戦闘でお疲れでしょうし、合流地点まで私の使い魔でお送りしますね」
「せ……先輩!」
「優しい……っ!!」
「かたじけない」
「ぜひ貴女と相乗りを!!!」
「先程のように、運搬に長けているのはレイヴンホースなのですが、今回はクー・シーが運びます」
再び召喚されたクー・シーが、低く唸る。
その巨体と炯眼、獰猛な爪や牙に、生徒達は嫌な予感がした。
「何故なら私は、陰湿教師の配下なので」
「聞かれてたーっ!!」
「やっぱこの
イヤだあああと叫ぶ彼らを乗せ、クー・シーは羽を広げる。
「速い!速いって!!」
「怖ぇ~!!降ろして~!!」
「落ちるござる~!」
「何故私だけ~~!?」
容赦なく運ぶクー・シーの背に、ジャズとリードがしがみつく。落ちかけたゴエモンは尻尾を巻き付けられ、カムイは服を咥えられ……。
「でも……っ」
「「「「楽しい~~!!!!」」」」
絶叫マシーンさながらのスリルを楽しみ始めた彼らの顔を、レイヴンホースに乗ったルィエが写真に収めた。
ルィエは認識阻害グラスをかけ直し、パレードには参加しなかった(流石につけ耳は外した)。
ウォルターパーク襲撃事件の概要を調べ、ロノウェ(父)が手配したローズベルトホテルにいるカルエゴに情報を渡す。
バイキングでは、カルエゴに命じられ二人分の夕食を盛り、ワゴンに乗せバラムの部屋へ。
彼らが食事をしている間に、生徒達に荒らされたカルエゴの部屋を整えた。
「その花、可愛らしいですね」
「え?」
一通りの仕事が終わり廊下を歩いていると、オペラが待っていて驚いた。
ルィエの髪には、花が飾られている。
それは当初、生徒達がカルエゴに付けたもので、カララギ通りについて忠告した際、花に言及され苛立った事もあり、カルエゴにとっては邪魔な物。
その花を、ルィエの髪に挿したのだ。
「女性悪魔の方々に、オーナーから服のプレゼントがあるようですよ」
「私にはいただく理由が……。今回の件、特に何をしたわけでもありませんし」
「そうでしょうか」
瞬時に間合いを詰められ、認識阻害グラスを奪われる。
「カルエゴくんが私の後輩である事は、知っていますよね?」
「は、はい。勿論です」
「では…カルエゴくんの配下であるあなたは、私に逆らえる立場ですか?」
無表情なのに、有無を言わせぬ威圧感。
ルィエの返答は、一つしか無かった。
連れて来られたのは、ホテルの一室。ローズベルトからの礼だとして、大量の服に迎えられた。
「彼女にも、似合うものを見繕って差し上げてあげてください。随分と遠慮しているようなので」
「え"っ!?」
オペラは従業員らしき女性悪魔にそう告げると、ルィエを放り込んで扉を閉めた。
従業員にすすめられるまま着替えを済ませ、オペラによりバイキングの会場へとエスコート……というより連行された。
「セーレ先輩だ!」
「そのお姿、よくお似合いです!!」
「素敵ね~」
ささやかな抵抗で髪型はそのままに、華やかなマキシワンピースで着飾ったルィエは、生徒達に囲まれる。
戦闘で私服が汚れたアメリと、チョコレートファウンテンの滝に打たれたクララも、それぞれ綺麗なワンピースに着替えていた。
特大ケーキを食べていた入間も気付き、笑顔を向けてくる。
「ルィエ先輩、初めて会った時はオペラさんと似てるなって思いましたけど、そういう服装だと雰囲気変わりますね」
「誰が、誰に似てるって……!?」
そう返したのは、もちろんルィエではない。
いつの間にか戻って来ていた、カルエゴだった。
「せ、先生!」
「何処へ行ったのかと思えば……何だ、その格好は?」
「っ……申し訳ありません。カルエゴ卿」
「おや~?カルエゴくんは普段の服の方が好みですか?私と、似た、格好が」
ルィエの背後から、オペラがカルエゴに詰め寄った。
「な……ッ!?」
「かわいい教え子に、いつでも私のようでいろと?」
「そんな事は言っとらん!」
「そうですか。カルエゴくんは私のような側近が欲しかったんですね」
「違う!断じて違う!!」
「照れずともよいのに」
「全く似とらん!!!」
生徒達も、先輩綺麗だよな~ワンピース可愛いのにね~などと話している。
「……今日はもう下がっていい。お前も食事を……って、オイ!!」
「ルィルィ先輩ゲットーッ!!」
言い終わる前に、生徒達がルィエを連れて行った。
「あのね!こっちにケーキもあってね!ルィルィ先輩何好き!?私はシュークリーム!!」
「フ、フルーツタルト……」
「こら、ウァラク!!セーレ先輩が困っておられるだろう!」
「クララ、ごはんもね!?」
カルエゴは頭を抱え、溜息を吐く。
「仲良しだね」と、律儀にワゴンを返しに来たバラムが言った。
「アホがうつる」