カモフラージュ
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『ねえ、アカリン。あれどう思う?』
「あれって?」
『あ!れ!』
今、私は楽屋の端っこのテーブルにいて、指さした先は奥のソファでゆーりちゃんの膝の上に彩が乗ってる状況。
しかも向かい合わせでゆーりちゃんの首に彩が腕を回してて今にもチューしそうな雰囲気。
更にそれを
「はぁぁぁぁ、さやゆーり!!尊い!!SNSに載せてもいいですかぁ?」
なんてまおきゅんが言いながら写真を撮ってる。
『彩と付き合ってるの私なんですけど』
「嫌なら嫌って言うたら?」
『うーん。なんか、それもどうかなって』
「なんでー?」
『束縛したいわけじゃないし、皆と仲良くしてほしいでしょ?』
「ほんなら、我慢やな」
『わかってる。。・・・むぅ・・・』
テーブルに突っ伏して項垂れる。
「・・・よし!葵、おいで」
『え?』
アカリンが膝を指さして両手を広げる。
これは乗れってこと?
アカリンを見ると無言で頷いてる。
せっかくだから甘えさせてもらうかと
アカリンの膝に跨がってみるけど
『これ、めっちゃ恥ずかしい』
アカリンの顔を見てられなくて鎖骨あたりにおでこをつけたらアカリンにギューッと抱きしめられた。
「葵、そのままやで」
『ん?』
「きたきた。やっぱ早いな」
「おい!何してんねん」
『えっ?彩?』
顔をあげようとしたのにアカリンに頭に手を乗せられて更にギューッとされる。
「さやゆーり仲良くしてたからうちらも仲良くしてたんやで。邪魔せんとって」
「はぁ?何言ってんねん・・葵は!」
「葵は・・・何?」
『うわっ』
急に彩に腕を捕まれて引っ張られて
私とアカリンにしか聞こえないくらい小声で
「あたしのや」
って。
腕を引っ張られたまま楽屋を出た私達。
無言で連れて来られたのは非常階段。
途中、美瑠とすれ違って
「さや姉めっちゃ怖い顔してる。葵、何かしたん~?」
って言われたから怒ってるのかな?
『あ、あの・・・彩?』
「朱里が好きなんか?」
『・・・・・へ?』
「そうなんか」
え?何何?何て?
『えっとぉ。言ってる意味が分かんないんだけど』
「朱里に抱っこされて・・・ニコニコして・・・真っ赤になってたやんか。嬉しかったんやろ?」
はぁ?
『違うよ!恥ずかしかっただけだし!』
「どーだか」
『違うってば!!・・そっちこそっ!!』
「は?あたしが何?」
『・・・いや。なんでもない』
「はぁ?言いかけたなら言えや!気持ち悪い」
『・・・ゆーりの方がいいん・・でしょ?』
彩の理不尽な言い方と、肯定されたらどうしようという不安が襲ってきて語尾が震えた。
涙は見せたくないから
『ごめん。先に楽屋戻るわ』
と、彩に背中を向けたら
「待って。・・・・ごめん。
泣かせるつもりじゃなかってん」
て、後ろから抱きしめられた。
『・・・泣いてないし』
「いやいや、泣いてるやん」
『ゆーりが好き?』
「好きやで。でも愛してるのは葵やから」
『っ!!・・・愛してるとか恥ずかしいんですけど』
「愛してる愛してる愛してる~」
って言いながらさっきよりギューッとされる。
『・・・いっぱい言うと嘘くさいよ』
「いっぱい言わな伝わらんやろ?それに、ふふっ。嘘くさいとか言うても耳真っ赤やで」
『っ!!う、うっさい!』
「ふふ。葵はかわいいなぁ。好きやなぁ」
『も、もう、わかったから。でもさ、、』
「ん?」
『ゆーりにはベタベタするのにあたしには全然来ないじゃんか』
「あー、それはあれや。カモフラージュ?」
『カモフラージュ?』
「メンバーやファンの人はまさかここがくっついてるとは思わんやろ?」
『なんでよー!あたしらも公認されようよ』
「あかん。葵のかわいさバレちゃうやん」
『・・・・はぁ?』
「ほら。すぐそうやって照れるやろ。付き合ってんのバレるんも時間の問題やで」
『いいじゃんか!バレよ』
「ダメに決まっとるやん!」
『・・・・じゃぁ、あたしもアカリンとカモフラ、、、』
「あかん!!」
急に体の向きを変えられて、両肩掴まれて真正面から言われた。
『なんでよ!自分はゆーりとイチャイチャするんでしょ!?』
「葵はそのまま朱里を好きになっちゃうかもしれんやん」
『はぁ?なんないし!
・・・あたしが好きなのは彩だけだよ
・・・・・・・・あ、愛してる』
「っ!!・・・・はぁ」
『恥ずかしいでしょ?愛してるって言われるの』
「あぁ、ヤバいな」
そう言いながらキスされた。
『ちょっとぉ!外ではバレたら危ないからしないんじゃなかったっけ?』
「ごめんて。我慢できんやった」
『もぅ~』
「ははっ」
『ゆーりとはほんとにカモフラなんだよね?』
「当たりまえやん!」
『じゃぁ、いいよ。これからもイチャイチャして』
付き合ってるのがバレてないと思ってますが、メンバーのほとんどが気づいてる事実を二人はまだ知らない。
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