疑惑
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部屋に戻ると葵の姿は無くて寝室のベッドに横になってて、あたしが近づくと布団を被って顔が見えないようにして。
「もう、なんなん?」
『彩も帰って』
「なんで~?」
『・・・帰って』
「帰るとこ、ここやもん」
いい加減顔が見たいから強引に布団をはいだら
『うわっ』
ってあっち向いたから仕方なく馬乗りになって葵を押さえつけてみた
『ちょっ、何すんの!』
「ちゃんと話して」
マスクをした口元を手で押さえながら
『はぁ。もう。話すから離れて』
「嫌や」
『・・・風邪移るから。彩だってそんなに身体強くないし、今は休み無いくらい忙しいから抵抗力落ちてるし、すぐ移っちゃうもん』
「はぁ?そんなんで来るなって言うたん?」
『そんなん、じゃないもん!彩にはいっぱいファンの人がいて週末には必ず握手会でしょ。元気な彩と会ってほしいじゃん。それにTVや雑誌のお仕事にも穴あけるわけには・・・いや、彩は穴あけないか。無理してでも行くよね。そんなふうにさせたくないもん』
「葵・・・」
『だから帰って』
「わかった」
そう言って立ち上がりバッグの中からマスクを取り出して付けて戻れば、自分で帰れって言ったくせに目をうるうるさせてこっちを見る
「マスクしとけば大丈夫やろ」
『・・・・・でも』
「それに葵と一緒にいれない方が具合悪くなるわ」
ベッドに座って頭を撫でてやると目をつぶって涙を流す葵。
指で涙をぬぐってやりながらキスしたら
『ちょっ、ダメだって!!』
「いいやん、ちょっとくらい。ケチ!」
『んなっ。ケチって』
「大丈夫やって。お互いマスクしてるんやし」
『・・・マスクへの信頼度すごいな』
「なぁ。バイト先の大島さんやなくて、あたしをもっと頼ってよ。仕事で来られへんかもしれんけど心配くらいさせてや。何も知らんのは嫌や」
『うん・・・わかった。ちゃんと言う』
「ふふっ。素直でよろしい」
『・・・ねぇ、彩。わがまま言ってい?』
「なんや?どした?」
『・・・ギュってして』
え?かわいい
「ははっ。お安い御用やで」
一緒に布団に入ってぎゅうぅぅっとしてやると、あたしの胸元に顔をうずめてくる
「はぁ~、あったかいな」
『はぁ。安心する』
「ほんじゃもうこのまま寝よか」
『ん。・・・でも彩、ご飯は?』
「お腹すいてへんし明日でいいわ」
『そう?じゃぁ寝ちゃうよ』
「おぅ」
こんなに弱ってて甘えてくる葵が珍しくてかわいくてめいっぱい甘えさせたくなる。
きっと今回みたいにあたしのためを思って我慢してることあるんやろうな。でも葵だけに我慢はさせたくない。いつの間にか我慢の限界が来ていきなり破局なんて嫌やから。
わがままさえも愛しいし、むしろ、わがままとは思わへんからさ。
「おやすみ、葵」
葵の寝息につられてあたしも目を閉じた。