君のために
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それから少しして外がガヤガヤしだした。
「そろそろか」
この部屋にもダサい制服が10人くらい増えた。
物が壊れる音、叫ぶ声が近づいてきてガターン!と乱暴にドアが開けられて見覚えのある顔が
「葵さん!大丈夫っすか?」
ツリシとザコボスと数人の激尾古メンバーが入ってきてその後
「・・・・・葵?」
アントニオがあたしを見て目つきが変わった。
「姐さん早速やっちまいますか」
「・・・ちょっと、待て」
「いらっしゃいませ、アントニオさん。待ってましたよ」
そう言うとまた血を抜かれてるようでもうだいぶヤバい。意識をギリギリ保ててるくらい気持ち悪い。
その行為に激尾古メンバーは声も出ない。
『はぁ。・・・ふぅ。アン・・・トニオ』
そんなあたしを見て
「ツリシ。カタハバ(肩幅)に車出すように連絡しとけ」
「えっ。今っすか?」
ジロリと冷たい目でツリシを見るアントニオ。
「はっ。か、しこまり、です」
「おいおい。もう帰る気かよ?」
「あぁ。帰る」
「はぁっ?こいつ置いていくっすか?」
「いや、連れて帰るから解放してや」
「あははは。はい、どうぞってなると思ってんすか?」
「これでどうか頼む」
そう言って膝をついた。
当たり前だが、周りがざわざわする。
『や・・めろ』
「はっ。土下座かよ」
まさか頭まで床につけるなんて。
「萎えるっすわぁ~。今までこんなやついなかったっすよ。とんだ腰抜けっすね、お頭」
『や・・めろっ!!アントニオ!・・・うぅ』
激尾古の子らもかなり戸惑ってるようでアントニオの姿を見て引いてるのもいる。
それでも頭をあげようとしないアントニオ。ダサい制服のやつらもアントニオを立たせようと引っ張ったり、蹴ったりしてるけど全然動じてない。
『な・・・・んで』
そんな姿を見て涙が止まらない。悔しい?悲しい?なんの涙かわかんない。ただ、アントニオのそんな姿見たくなかった。
お頭、とかいうやつがアントニオに近づいてアントニオの頭を踏みつけた。
「てめえっ!!」
さすがに激尾古メンバーが殴りかかろうとしたらアントニオが
「やめろ」
って言う。
『ア・・・・オ』
「こいつ、ダメだわ。強いって噂だったけどとんだハッタリだな。戦わないで土下座だぞ?激尾古はこんな情けないやつトップにしといていいのかよ?はい。今日は解散!はぁ~あ。無駄な時間だったな」
「お頭、こいつはどうするっすか?」
「そいつはアントニオのエサだったからもう用はないしほっとけ。もう行くぞ」
「いえっさぁ」
やつらが出ていって激尾古のみんなが寄ってきて拘束を解いてくれた。
「さ、帰ろか。ほら」
アントニオはそう言って背を向けてしゃがむ。おぶってくれるつもりらしい。
あたしは首を振って立ち上がる。
でも当たり前にフラついて倒れる・・・とこをアントニオに支えられた。
「・・・無理やろ。ほら、ええから乗り」
もう、立ち上がれないから仕方ない。他に選択肢はないからアントニオの背中に乗る。正確には周りのみんなに乗せられた、って感じなのが情けない。
アントニオにおぶられてるとアントニオの匂いを吸い込んで妙に落ちつく。
『はぁ・・・ご・・・め・ん』
そう言って意識が遠のいた。
すごーく遠くでアントニオが名前を呼んでる気がするけどどうにも戻れそうもない。