君のために
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「染みるけど我慢しぃや」
アントニオにケガの治療をされている。
『・・・・・っ』
消毒が傷に染みて顔をしかめる。
そのあとは無言で、でも丁寧に優しく湿布を貼ったり包帯を巻いてくれた。
『ありがと。・・・・それじゃ』
誰も喋らないからなんだか居心地が悪くて立ち上がれば
「どこ行くねん」
アントニオに腕を掴まれた。
そんな優しい声で、そんな優しい力で掴まれたら振り払うなんてできない。今、アントニオと目が合ったらきっと泣いてしまうから背中を向けたまま下を向く
『あ、たしの居場所はもうここには無いから』
「は?誰が決めたんや、そんなこと」
『・・・・・・』
「誰かに言われたんか?」
「え、あたし言ってないっすよ!!」
ツリシが急に答えたからきっとアントニオがツリシを睨み付けたんだろう。
『・・・もうアントニオの彼女でもないし』
「はぁ?今それは」
『それに・・・』
言うのが怖くなって躊躇すればまた優しい声で
「それに?」
促してくる。
しかもくるっとアントニオの方に向かせられた。
もうダメだ。涙が溢れる。
なんて優しい顔で見てくんだ。
『アントニオの名前に傷・・・つけた』
「は?別についてへんよ?」
『だ、だって土下座』
「葵の命の為なら土下座くらい大したことやないわ」
『アントニオ弱いって広まっちゃった』
「それであたしのためにいっぱい戦ってくれたん?」
一瞬迷って首を横に振る。
『・・・別にアントニオのためじゃ』
「はぁ~あ」
こびーがわざとらしくため息をつく。
「全部お見通しなんやて」
『え?』
「こびー!!」
アントニオが止めに入るけど
「葵がアントニオのために別れるって言ったことも、アントニオがそれを承知で同意したことも、葵がアントニオのために戦い出したことも、ツリシに脅しかけたフリしてうちらにあとから来させたことも、全部知ってんねん」
『え?・・・え?』
「あぁっ!!イライラする。じゃぶじゃぶしてくるわ!!」
そう言うと乱暴にドアを開けて出て行った。
「え?こびーさん?・・・ちょっと待ってくださいよ~。うちらも行きますって」
「そ、そうだな」
「うんうん」
他のみんなもゾロゾロと出て行ってしまった。