はちみつれもん




それから、体調も取り戻して彩さんは受験にも挑んだ。




努力をたくさんしたから、希望の難関大学に合格して僕たちは離ればなれの学校に通い始めた…











春休みもあるからは、入学準備に忙しそうであまり会えなくても我慢してた…



でも、彩さんはアルバイトをし始めたりサークルに入ったりして余計に忙しそうになった。






『ゆーりも同じ大学受けるんやろ?』



「うん、まぁそのつもりやけど…まだまだある。」



『2年は一緒に居られるもんね?嬉しい。』



「うん…」



『どうしたん?嬉しそうやないね…』



「やって、あんまり会えないやん。」


『バイトがあるねん、ごめんな?でも絶対に月記念日はデートするから!』



「わかった、なら我慢する。」



『ありがとう、ゆーり!』





彩さんの笑顔を見てると、愛おしくてなんでも許してしまうって思ってたんだ…














このままやったら順調にずっと変わらず居られるかなって思ったし。









でも、違ったんだ。










「あれ、遅いなぁ…」




月記念日は最初の2回目まで順調に会えた。






でも、3回目は体調崩して会えなくて…それは仕方なかった。



4回目はバイトで休みが出てどうしても代わって欲しいと言われたって、相談された。


楽しみにしてたけど、仕方ないって。



大丈夫だよって、言ったんだ。













そして、5回目も会えなかった…


彩さんが忘れてたから。



すごくすごく謝られて、大丈夫だよって…言えた。










でも、半年ぶりの今日は昨日まで連絡取れてたけど、時間がきても来ないし連絡も来てない。



「大丈夫かなぁ…」



心配しながらも少しの遅刻なら別に良いって思ってたんだ。






「もしもし?彩さん今どこ?」



『えっ、今日って…あっ!!今から行くから!、』



電話越しの慌てて切った彼女から…


「忘れてたんや。」




そうとしか思えなくて、もう僕は彼女にとって必要ないんやって思った。












1時間後、彩さんは慌てて走ってきた。




『ゆーりっ、!!』



「…ごめんね、慌てさせて、」



『そ、そんな謝ることやないやん。』




久しぶりに見た彩さんは高校生の時よりなんだか、もっと綺麗になってた。



もしかして、忙しいって言ってたけど、他に好きな人のできたから…僕との約束も全部破ってたんかなって思った。






「でも、もう良いよ。来月からは予定あけなくても。」




『え?』




「もう会わない、別れよう僕たち。」



『な、なんでよ…ごめんほんまに、今日はサークルの更新日でどうしてもいかなあかんかってん。』




「サークルなんや、そりゃ年下の彼氏より同い年の男の人の方が良いよね。」



『違うって、やから…』




「もう良いって、じゃあ元気でね。さよなら。」




『ゆーりっ!!、、待ってよ!!』



僕は彩さんが手を掴んだけど振り解いて、振り向かず、すぐに近くを曲がった。













「彩さん…」




別れたくなんかなかった。




まだ好きすぎるくらい彼女が好きで…



慌てて待ち合わせ場所に来てくれた姿を思い出すと今でも愛おしくなる。




でも、怒りが勝って…嫉妬になり呆れになった。





「やっぱりあかん。別れたくない…」






自分で言ったのに、またさっきの場所に戻った。




だいぶ歩いてたから、走って戻る。







「彩さん…!!」




でも、戻った頃にはもう居なかった。



そりゃそうだよな。酷いこと言ったし、きっと嫌われた…





彼女を自分から失って、僕は本当に何がしたいんやろうって深い自己嫌悪に陥った。













会えないから別れる、僕のこと好きやないから別れた方が彩さんが幸せになれる。












全部違う。












僕は彩さんが居ないとだめやったんや。
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