はちみつれもん
「やーだぁ!こわぃぃ」
「怖くないよ、大丈夫だよ?」
『ふふっ、暗いのが怖いんかな?』
初めての水族館に、少し薄暗いのが怖いらしくもともと夢莉に抱っこをしてもらってたけどしがみついてる。
「ほら、みてみて夢乃ちゃん。お魚いるよ?」
『ゆーりも、夢乃って呼ばなあかんね?』
「あー!そっか!」
『パパやもんね。』
「ふふっ、なんか慣れないなぁ〜。」
そう言いつつも嬉しそうな夢莉に、まだ怖がってしがみついてる夢乃を見ていると親子にしか見えなかった。
『ふふっ、無理に呼び捨てせんでもええけどね?』
「でも、夢乃ちゃんにパパって言ってもらいたいんだよなぁ。お兄ちゃんだと少し遠く感じる…」
『遠くないよ、ゆーりは。』
「そう?夢乃ちゃんにとって…どういう存在なんやろ。」
『お兄ちゃんって言ってるけど、パパやと思ってる。』
私がそう言うと嬉しそうにしがみついてる夢乃を見てた。
またその表情も優しくて、2人ともめちゃくちゃ可愛かった…
「おおきぃねえ〜!!」
「あ、待って待って夢乃ちゃん!!」
少し慣れてくると夢莉の抱っこからも降りられて、大群の魚に興奮して走り出した。
『こら、夢乃!!』
「あははっ、おしゃかな〜!!ぱぱ〜みてぇ!」
「『えっ!?』」
「い、いまさ…」
『パパって言ったよ!』
夢莉はすごく嬉しそうに泣きそうやった。
『ふふっ、ここで泣いたらあかんよ?不審者やで。』
「な、泣かないよ…泣きそうなったけど!!待って夢乃…!」
すると夢莉も心に決めたみたいやった。
私たちきっと幸せな家族になれるね。
ーーー
「ゆの、寝ちゃったね。」
『ふふっ、楽しかったんやろうな?ずっと笑ってたもん。可愛いな。』
「でも、こういう時はやっぱりママなんだね!」
『抱っこする?』
「ううん、彩さんの腰が大丈夫なら僕はこの光景をしっかり目に焼き付けたい。明日からまた仕事やし…毎日は会えないからね。」
『ゆーり…』
今日付けたお揃いの光ってる指輪がお互いの手にあるのが嬉しくて…でもなにより彩さんと夢乃の2人をこうやって見られるのが僕の幸せ。
1日でも早く一緒に暮らしたい。
1人は寂しいんだよな…
こうやって楽しい日を過ごした後に一人暮らしの家に帰るのは本当に嫌だ。
『でもな、山田にもちゃんと話しをしたいねん…ずっと一緒にこの子を育ててくれたから。夢乃にも改めて話さんとあかんし、なにより山田と離れることもちゃんと話さんと。』
「うん、分かってるよ。僕は言ったじゃん。彩と一緒にいられるなら永遠に待つって。」
『でも、結婚ってなったら永遠に別居はなぁ…?』
「あははっ、だいぶ悲しくて寂しいけど…仕方ないよ。それも僕が選んだんやもん。彩さんと夢莉ちゃんとこうやって家族になれただけでも幸せやし、一緒に居られるなら、我慢するよ。」
1人が寂しくても、引き裂かれたもう会えないってなった日々を思い返すと…全然我慢する。
僕は頑張るよ。
『私らさ、学生時代に別れたのが本当にトラウマになってんな?ふふっ。』
「そうだよ…地獄だったもん。彩さんと別れてから。」
『ゆーりなら、たくさん良い女の人いるやろ?』
「いるわけないやん!彩さん以外になんとも思わないんだよ…もうだめなんだよ彩さんやないと。なんていうんやろ、めちゃくちゃ優しくて僕を包み込んでくれて、でもお姉さんって感じで甘やかすことはしない。で、かっこいいのにどうにもならないくらいにこれまた全てが可愛いんだ……」
『ゆーり…』
「あ、ごめん…つい。」
『ふふっ、やから私もゆーり以外ダメやったんやね?こんなに私を愛してくれるのはゆーりだけやもん。』
僕だけが彼女をずっと想ってたんやないって、身をもって実感できるのがすごく嬉しくて幸せだった。
「もうずっと一緒だよ。」
手を繋いで、夢乃の寝顔を繋いで見て笑いながら帰った。
