すき。
『ぅゔ…な、なんで、いま、、』
教室移動をしていると、また胸の痛みに座り込んでしまった…
『はあっ、、はあっ、、んぅゔ…』
我慢して歩き出そうとしても、痛過ぎて足元もフラフラする…
こんな時にどうしろっていうねん。
泣きそうになりながら、また蹲ってた。
「大丈夫?」
ふと、声を掛けてくれた人がいた。
でも…どう助けを求めても良いか分からずで。
『はぁっ、、はぁっ…だ、いじょう…ぶ…』
話すのもやっとで、誰かも見上げられない。
「先生呼んでくる!」
ばたん!!
その声のすぐに私は身体の力が抜けた。
ーーーー
「えっ!!ちょっと、しっかり!!」
廊下を歩いてると、女の子が苦しみながら蹲ってた。
声を掛けると、『大丈夫』の一点張りだったけど…どう見ても大丈夫やなかった。
質問もダメやったんだけど。
他に人を呼びに行こうとすると、その瞬間に倒れてしまってさらに大パニックにだった。
その子は何かの発作を起こしていたらしく、救急車で運ばれた。
近くにいたから、後から他の先生と病院に向かった。
倒れる前の様子を細かく聞かれて、帰っても良いと言われたけど気になって帰れなかった…
ーーー
目が覚めると、見たことのある天井が見えて救急車で運ばれたんやって分かった。
「あの…」
すると、聞いたことある?
たぶん意識失う前に聞いたかもって思う声が微かに聞こえた。
『あ…』
気まずそうに、でも心配そうにこっちを見てる彼女はすごく綺麗な子やった。
透き通るように肌が白くて猫のような目やけど、瞳はすごく綺麗だった。
「すみません、心配で来ちゃって…」
『ありがとう、助けてくれて。』
「いえ、そんな…」
『同じ学年?だよね。』
見たことなかったけど、名札を見ると同じ学年やった。
「あ、そうみたいだね…私は太田夢莉です。よろしくね?」
『私は…』
ガラガラ…
自分の名前を言いかけた時、誰か入ってきた。
(彩ちゃん、1週間ほど入院になったからね。安静にするのよ。)
担当の看護師さんだった。
『入院はしないって言ってるやろ。』
(何言ってんの、このままやと手術になるんやから!)
『そんなのしないって。私はもう帰るから!』
(ダメに決まってるやろ!!)
ーーー
彩ちゃんはその看護師さんとも親しいのか?いや仲悪いのか?そう言って点滴を外し出した。
「ちょっと待って!だめだよ、看護師さんの言うこと聞かないと。」
『ええねん、どうせ治らんねんから。』
(ちょっとだめだって!!彩ちゃん!!)
そう言うと、私の手を握って病室を飛び出すように走った。
『はあっ、はあっ!、、ちょっ…と、走り過ぎた、、』
「大丈夫!?やっぱり戻ったほうがええんやないん?」
『大丈夫や…いつものことやし、、はぁ…はぁ…』
人気のないところまで少し走ると、また少し苦しそうにしてた。
「ほんまに?」
『うん…大丈夫や、私は山本彩。助けてくれてありがとうね。』
「あ、ううん…」
お礼を言われただけやのに、私はなんだか感じたことのない…
これが恋っていうんかな。
『どうしたん?』
彩ちゃんは、すごく綺麗やのに笑顔はとんでもないくらい可愛らしくて一瞬で私を魅了した。
「あ、あの…好きになっちゃった。」
『えっ?なに言ってんの?』
「ご、ごめんなさい…ほんまなに言ってんやろ。」
『ふふっ、変な子やなぁ。ゆーりって呼んでも良い?』
「もちろん、気持ち悪いって思わないの?」
『思うわけないやん、助けてくれたのに。命の恩人やで。』
「そ、そんな大袈裟な…」
鈴が転がるように笑う彩ちゃんを見て、なんだか嬉しくて嬉しくて幸せやった…
『私のことも彩でええんやで?』
「呼び捨てはしたくないな…」
『じゃあ私もゆーりちゃんにしようっと。』
「えぇ〜」
『じゃあ彩って呼ぶんやで?』
「分かった、彩ね。」
『うん!』
「そういえば何組?」
『私はB組やで?』
「えっ、私もなんやけど…」
『あれ?会ったことある?』
「実は…私、保健室登校やねん。」
自分で聞いたのに、まさかの同じクラスで気まずさは半端なかったし…嫌われたかなって引かれたかもって思った。
『そうなんや?なぁ、この後どっか行こっか!』
「えっ!」
『どうしたん?』
「いや…なんとも思わんの?」
『何を?あ、保健室?』
「うん…」
『思わんというか、これからはさ一緒にクラスに登校できるやん?楽しみやな…とかしか、思わんなぁ…』
「そ、そっか…なら良かった。」
彩がすごく明るくて、私が悩んでることとか考えてることはちっぽけに感じた。
『行こっか!』
「うん!」
彩が手を出してくれて、ぎゅっと握って歩き出そうとした。
「ちょっと待たんかい。」
「あっ…」
その声で私は思わず止まった。
彩は振り向いてなくて、そのまま行こうとしてた。
「おい、なにしてんねん。」
「あっ、えっと…彩?私らにこの人、言ってるんやない?」
『なにしてようが、勝手やろ。』
そうすると、彩はさっきとは雰囲気がガラッと変わって言った。
「医者の言うことは絶対や、なに勝手にどっか行こうとしてんねん。」
『うるさいわ、治らんのに言うこと聞いてもええことないやろ。』
「は?お前ほんまに生意気やねん!」
『うるさい〜、ももかになに言われても響かんねんから仕方ないやろ?医者やめたほうがええんちゃう?』
耳を両手で塞ぎながら彩は明らかに喧嘩を打ってるような言い方をしてた。
「はぁ?!お前ちょっとこっち来いや!!」
やからその人もヒートアップして彩の腕を思い切り掴んだ。
「ちょっと待ってください、その手は離して。」
「は?なんやねんお前。」
「女の子の手をそんな強く握ったら跡がつくんですよ?ほら離して。」
『ゆーり…』
「ちっ、なんや…彩に珍しく友達か?」
すると、すぐに離した。
『そうやで、友達や!なんか悪いか!いったいわ、女の子にそんな乱暴したらあかんねんからな。あほももか!』
「この…お前、まじで!!」
『行こう、ゆーり。こんなバカ医者ほっといて。』
「ば、ばかってお前!」
「う、うん…ええの?ほんまに無視して。」
『うん!ええのええの。』
また手を繋いで彩が歩き出したから私もついて行った。
「あの人ってさ…」
しばらく歩いてから、彩に聞いた。
『あの人は…私の主治医やねん。』
「えっ、やっぱりそうだよね?!あんなこと言って大丈夫なの?」
『大丈夫や、長年の付き合いやし。』
「そっか…」
主治医と長年の付き合いって、どういうことやろ?前から何かの病気でかかってるから?
でも、主治医の先生は若そうやったけどなぁ…
まぁそんなことは置いておいとくしかないスピードで、そのあとは彩に連れられて家に行った。
「おじゃましまーす。」
『狭いけど、ゆっくりしてな?』
「一人暮らしなん?」
『そうやで、親が離婚して母親の方におったんやけど…再婚相手と私が合わんくてさ。』
「そうなんや…」
彩はアパートに一人暮らしみたいで、部屋はきっちりと片付いてて綺麗やった。
「ん?これって…」
ふと、棚に飾られてる何個かある写真立てを見ると見たことある人がいた。
それはすごく仲良さそうでどう見ても恋人同士?
『あっ、見ちゃだめや。』
「ごめんっ!」
『ううん、飾ってるのに見ちゃダメっていうのがおかしいねんな。』
そう言いながら、彩はその写真立てから手を離した。
「ん?この人って…」
『………』
「誰やろ?思い出さへん。」
『思い出せんでええねん、ほら紅茶入れたからお菓子もあるよ。』
「うん!ありがと〜」
友達の家に来るなんて初めてのことだから嬉しくて仕方なかった。
「今日はなんか初めて学校サボった感じで、ワクワクする。」
『ふふっ、ごめんな?巻き込んじゃって…』
「巻き込んでなんてないよ、友達といられるのって私には特別やから嬉しい。」
『ゆーりは友達おらんの?』
彩は私にぐさっとくる質問した。
でも、本当に悪気はないみたいやからまぁいいか…
「うん…いない、彩が初めて。」
『そうなんや!嬉しい。』
「ほんまに、私なんかでいいん?たまたま会っての偶然続きなんやけど…」
『反対にダメな理由あるん?今日初めてお互いに知ったけど、なんか初めてやない気がする。』
「ふふっ、それなら良かった。」
その言葉にほんと救われて私は幸せやった。
がちゃん!
「あれ?誰か帰ってきた?」
『あ…』
ドアが開いて誰か帰ってきたみたいやった。
「おい、寝てなあかんやろ。」
「あ、さっきの先生!」
やっと思い出した、あの写真はこの人やって。
ん?でもなんで?
『大丈夫やって。』
「大丈夫やないから言ってんねん、で…君もちゃんと止めて。」
「あ、すみません…」
『なんでゆーりにまで言うんよ!関係ないやろ。』
「ええから、入院しないなら早くベットに横になって安静にしろ。」
『いやだ。』
「ほら、早く!!」
『嫌やって言ってるやろ!!まず、百花に関係ない。』
「は?関係あるに決まってるやろ?」
『うるさい。』
「ほんまにあかんから!彩!!」
『ゆーり、どっか遊びに行こうか。ここおったら話しもできん。』
「で、でも…」
『良いからっ、はやく!!』
私は彩に手を掴まれて引っ張られた。
「彩っ!!」
がちゃん。
「ど、どこ行くの?」
『分からへん、どこが良い?』
歩く足はすごく早くて、とにかくあの先生から逃げてる感じな気がした。
『はぁっ、はぁっ、、、』
「大丈夫?!彩…やっぱり帰った方が、」
『だ、だいじょうぶ…や…はぁっ、はあっ、、』
少し離れたところにゲームセンターがあって、そこに2人で入ったけど…
彩は息切れが止まらなくて、やっぱりしんどいみたい。
「えっと座れるところ…あ!あったよ!歩ける?」
『う、ゔん…』
彩を支えながらベンチまで行った。
座ってからは胸の辺りを抑えてしばらく俯いてた。
心配で本当にソワソワした、何かあったらどうしようって…でも言っても聞かないし。
『はぁ…もう、大丈夫や。ごめんな?』
「私はええんやけど、もう帰ろう?おんぶするよ。」
『なに言ってるんよ、大丈夫や!ほら遊ぼう。』
「ちょっと、彩…」
彩はまた元気に歩き出した。
でも、さっきのお医者さんも寝てないとダメやった家に追いかけてきてでも言ったのに…
だんだんと事の重大さが分かってきた。
『んー、取れへんなぁ。』
それでも彩はそんなの気にせずにクレーンゲームをしてた。
「ちゃうよ、ほら貸して?これ取ったら帰るんやで?」
『え〜、できるん?』
「あんま得意やないけど。」
でも、一発で取れた。
実は唯一の得意なジャンル…
『え!すごいやん!!』
「えへへ、ほんまに?」
『すごいよ!ほんならもう一個取って?』
チャラン!
「えー!帰るって言ったやん?」
『言ってないよ、ほら早く!お金入れたんやから。』
「ん〜、もう。」
『すっご!!取れたやん!!プロや!』
一つ取ると彩は子どもみたいにはしゃいで喜んでくれて可愛くて…
彩がお金入れくれて私が欲しいもの全部取ってあげた。
『ゆーり、ほんまにすごいな?こんなに取れた!』
「でも、彩のお金で取ったんやから全部が彩のやで。」
私に袋を渡してくれたから、ちゃんと言った。
『なに言ってるんよ、全部ゆーりとお揃いやで?色違いもあるけど取ってくれたんやから持って帰って!あ、これは学校の鞄に付けるんやで?』
「でも…」
『でもは禁止!!ほら、プリクラ撮りたい〜!』
「ちょ、ちょっと彩…」
私が話す前に今度はちゃんと手を繋いでくれて引っ張られた…
『ほら、笑って〜?』
「こ、こういうのさ…」
『苦手なんやろ?』
「うん…分かってるやん。」
『笑ってって、撮られちゃうよ。』
「う、うん…」
自分なりに笑ってみた。
『笑って!』
「笑ってるって…」
『ぜんぜんやん!もうこちょこちょ〜』
「きゃあ!!あはは、、やめて〜」
かしゃ。
「あっ…」
『めっちゃいい笑顔やん、ほらその調子で。』
それからプリクラを撮り終えた。
『なぁ、この顔…』
「だから苦手なんやって!」
『あははっ!!可愛すぎやん。』
彩がくすぐるのをやめると、一気に笑えなくなって手を繋いだまま固まってる私と最後は嫌になって変顔した私の顔…
彩は嬉しそうに笑ってくれた。
「もう、嫌なんやって…」
『ふふっ、ごめんって。でも良い記念になったね。スマホケースに挟んでおこうっと。』
「うん、そうやね。私も…」
なんだかんだ嬉しくて、初めて友達と撮ったプリクラを見るたびにニヤけてた。
「そろそろ帰ろっか。」
『え〜』
「さすがに遊びすぎやって、帰ろう?」
『まだお金あるし、遊ぼうよ。』
彩はお金持ちの家の子なのか?結構クレーンゲームとかで使ったのに…
「だめだめ無駄遣いしたら、欲しい時に買えなくなっちゃうよ?ほら行こっか。」
『うん…』
今度は私から手を繋いでゲームセンターを出ようと歩き出した。
でも、タバコ吸ってる人とか夜やから大人が多くて空気も悪かったから彩の体調もあるし…
早く出ようと歩いてた。
『ゆーり…ちょ、っと、止まって良い?』
「あ、うん…どうしたの?」
『はぁっ、はぁっ…ゔぅっ、、、』
「大丈夫?苦しい?」
彩はまたさっきみたいに胸の辺りを抑えてた。
『はぁっ、はぁっ、、ちょっと休めば…』
近くの柱を片手で自分を支えるように持ってた。
「彩?無理したらだめだよ、私が誰か呼んでくる。」
『はぁっ、、はぁっ、、』
だんだんと彩は話さなくなってきて、息もさっきより荒くて辛そうやった。
「あ、彩っ!!」
私も支えてたけど一気に彩の力が抜けて倒れそうになった…
がしっ!!
「あっ…」
「やから、寝とかなあかんって言ったやろ。」
「さっきのお医者さん!」
『はあっ、はあっ、、ももか…?』
「あほやな、ほんまに…手をかけさせやがって。」
心配して探してくれてたのか、主治医の先生が来てくれた。
「よいしょっ、ごめんけど君はこの袋持ってやってくれるか?」
「あ、はい!」
彩を軽々いわゆるお姫様抱っこして、彩の袋を持った。
また家に帰ってそのまま彩はベットに寝かされた。
そこに点滴のセットがあってすぐに処置されてた…
「あの…彩は、病気なんですか?」
「あー、聞いてへんか。こいつ自分に都合が悪いことはなーんにも言わんねん。」
「そうなんですね…」
なんて返事したら良いのか分からなくて、そっけない返事になる。
「心臓に病気を持っててな、軽い運動でも命に関わるねん。」
「えっ!」
「でも、こいつ全く言うこと聞かんねん。」
走ったり歩いたりしてたから、驚いた。
でもね確かにさっきもゲームセンターに着いた時も辛そうにしてた。
「ごめんなさい、私…止められへんで。」
「あー、気にせんでええ。やからこいつは言うこと聞かんねんて。」
「………」
「でも、頼みたいことがあるんやけどええか?」
「なんですか?」
もう彩に関わらないで欲しいって言われるのかなってすごく怖かった。
今日何回も2人の喧嘩を見てて、今の話を聞いてたら百花さんの言うことを聞くべきやったって…分かったから。
「彩と一緒におってやって欲しいねん…」
「え?それが頼みごとですか?」
「うん…嫌か?」
「嫌なわけないですよ、言われなくても一緒に居ますよ。」
「ありがとう。」
その日は、お医者さん…じゃなくて百花さんが家まで送ってくれて私は家に帰った。
「ごめんな?夜遅くまで。親御さん怒ってないかな…」
「怒ってないですよ、私になんて興味ないし…送ってくださってありがとうございました。」
「そんなことないやろ、子供に興味ない親なんておらんで。まぁ、怒られたら俺に言ってな?事情話すから…じゃあ今日は遅いから。また!」
「はい、ありがとうございました。おやすみなさい。」
降りても窓を開けて手を振ってくれた。
怖そうやなって思ってたのが申し訳ないくらい…優しい人ってことが分かった。
明日また彩に会うのが楽しみだな。
