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短編百合

片思いの友達の話を聞いてていつもわからなかった。
なんで告白するって言っても何週間も進展がないのか。
話を聞いてると相手もその子のことが好きなのわかりきってるんだから早く告白してくっつけばいいのになんて思ってた。
けど、最近ようやくわかるようになったよ。
そして今、
「ねえ、千穂ちゃん」
「何?」
下校中の道でそっけなく答えるあなた。
何もないいつも通りの下校風景。
中学校から一緒に歩いて今年で4年目。
最初は友達だったけど、いつからか思いは変わってこれが友愛じゃないって気づいたのが1年前。
告白しようと決意して今日で1か月。
「……何でもない」
「そう」
そのまま先を進んでいっちゃう千穂ちゃん。
ずっとこんな感じでそっけなくって最初は嫌われてるのかとか思ったけど、遅れたらちょっと先で待っててくれるしどうやらそうでもないみたい。
毎朝今日こそ告白するって覚悟を決めるんだけどどうしてもたった2文字が出てこない。
また今日もこのまま別れちゃうんだろうな。
明日こそは勇気も出せるといいな。

そんなことを考えつつかれこれ一週間、結局告白はできてない。
告白しようとすると嫌われたらどうしようとか思うと結局声に出せない。
「……舞衣最近どうかしたの?」
会話のない通学路で千穂ちゃんは振り返って覗き込んできた。
「なんにもないよ。」
「じゃあなんで毎日何か言いたそうな顔してるのに何も言わないの」
「そんなことないよいつも通りだもん」
千穂ちゃんはしばらく考え込むそぶりをしていたけどふっと顔を上げて
「じゃあ私が舞衣に言いたいことがあるの。言ってもいい?」
「いいよ」
「もしも私が舞衣のことを好きって言ったらどうする?」
千穂ちゃんはまっすぐに目を合わせてくる。
どっちの意味だかわからないけど自分の想いを伝えるのは今だって直感で思った。
「私も好きだよ。っていう」
目を合わせるように意識して言う。
千穂ちゃんは目を見開いて驚いたようにしばらく私を見つめると目をそらして問いかけた。
「それは、どっちの意味?」
「多分、普通じゃないほうの意味……って言ったら伝わるかなあ」
言った後は千穂ちゃんは
「普通じゃないって言い方好きじゃない」
ってじゃあなんていえばいいのって聞いた。
千穂ちゃんは視線をさまよわせて
「愛してる……でいいんじゃない?」
「そっか。……千穂ちゃん、愛してます。」
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