思考


今にして思えば
僕は毎日原稿用紙に向かっている
不可思議な生徒だったと思う

授業を聞く素振りもなく
ましてやノートを取るでもない

ただ毎日毎日
只管原稿用紙に向かい
自身の抱く幻想を
そのキャンバスに描いていた

一緒になって語り合った友も
今や立派な社会人

しかし僕はどうだろう?
あの頃と同じ様に
また原稿用紙に向かっている

移り変る世界の中で
唯一変わらぬ僕というものは
あの日と同じように
幻想の海に溺れるので或る
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