ミツナルワンライまとめ
ソワソワ、ウロウロ、トントン……
事務所内に響く数々の音は、全て"落ち着きがない"事を表すものであった。
そう、真っ赤なスーツに身を包み、白いヒラヒラを靡かせたこの男、ぼくの恋人である御剣怜侍は落ち着きがなかった。ソファに座りながらソワソワしたり、立ち上がって事務所内を意味もなくウロウロしたり、またソファに座って忙しなく指をトントン腕に打ち付けたりしている。インスタントの紅茶を振舞ってからずっとこの調子で、たまに「ムゥ」とか「ぐぬ……」とかいう声が漏れ出ており、何かに悩んでいる様子でもあった。何だか顔も赤い気がするし、チラチラぼくを見ている気もする。
ぼくの心には、ひとつの疑惑が芽生えていた。紅茶、ソワソワ落ち着かない行動、赤い顔、ぼくの方を気にしている……頭の中でロジックを組んでいく。
───御剣、もしかしてトイレ我慢してるのか?
アキラカにいつもの御剣とは違った様子に、きっとそうだと確信した。ぼくだっていつもハッタリに頼りきりではないのだ。プライドの高いコイツの事だ、中々言い出せないのも頷ける。だけど別にトイレくらい行けばいいのになとも思い、御剣の熱い視線を感じながら再び思考を巡らせた。
……思い出した。先日珍しく依頼人が来たと思ったら依頼ではなく、トイレを貸してくれと言われて、それはもう慌てていたのだろうあちこち汚して帰られて散々だったと御剣に話したんだった。まさかコイツ、ぼくがトイレを使われるのが嫌だと思って我慢してるのか?
なんてこった。全く、ぼくなんかよりよっぽど潔癖でキレイ好きなんだから、御剣がトイレを汚すなんて思うわけないだろうとため息をついた。
「御剣」
「ム!な、なんだろうか」
なるべく優しく呼びかけると、御剣はビクリと肩を震わせた。その間もずっと貧乏ゆすりをしていて、どれだけ溜め込んでるんだと呆れ果ててしまった。
「お前、ソワソワしすぎ。したいならしてこいよ。我慢は身体に良くないぞ」
「……!?な、な……!」
湯気が出るんじゃないかというほど顔を真っ赤にさせ、御剣はガタガタと震え出した。指摘されたのがそんなに恥ずかしかったのか?やれやれ、世話のやける男だなと口角を上げた。
「ためらうことなんてないよ。お前にならいいよ。ほら、さっさとスッキリしてこい」
ぼくが笑顔を見せると御剣は覚悟を決めたようで、喉仏が大きく動くのが見えた。ここまでお膳立てしてやったんだから、後はもう心配する事などないだろう。
「で、では……お言葉に甘えて」
御剣がゆっくりと立ち上がり、ぼくの横へと移動してくる。……ぼくの横に?後ろのトイレではなくて?
「んむ……!?」
グイ、と顔を持ち上げられ、目の前が御剣でいっぱいになったかと思えば唇を奪われていた。あまりにも突然の事に脳内は真っ白になり、先程組み立てたロジックは砕け散ってしまった。
「っ、は……ずっと我慢していたのだ。キミから言ってくれるなんて、嬉しいぞ」
唇を離し、うっとりと笑う御剣はキレイさっぱりスッキリした様子で、ぼくの頬を親指で優しく擦った。ぼくは呆然と口を開け、間抜けな声で呟いた。
「……トイレじゃなかったのか」
「は?トイレがどうした?」
勘違いから来る羞恥と、キスされた歓喜で赤くなった顔を隠すように、なんでもないよと今度はぼくからキスをした。
事務所内に響く数々の音は、全て"落ち着きがない"事を表すものであった。
そう、真っ赤なスーツに身を包み、白いヒラヒラを靡かせたこの男、ぼくの恋人である御剣怜侍は落ち着きがなかった。ソファに座りながらソワソワしたり、立ち上がって事務所内を意味もなくウロウロしたり、またソファに座って忙しなく指をトントン腕に打ち付けたりしている。インスタントの紅茶を振舞ってからずっとこの調子で、たまに「ムゥ」とか「ぐぬ……」とかいう声が漏れ出ており、何かに悩んでいる様子でもあった。何だか顔も赤い気がするし、チラチラぼくを見ている気もする。
ぼくの心には、ひとつの疑惑が芽生えていた。紅茶、ソワソワ落ち着かない行動、赤い顔、ぼくの方を気にしている……頭の中でロジックを組んでいく。
───御剣、もしかしてトイレ我慢してるのか?
アキラカにいつもの御剣とは違った様子に、きっとそうだと確信した。ぼくだっていつもハッタリに頼りきりではないのだ。プライドの高いコイツの事だ、中々言い出せないのも頷ける。だけど別にトイレくらい行けばいいのになとも思い、御剣の熱い視線を感じながら再び思考を巡らせた。
……思い出した。先日珍しく依頼人が来たと思ったら依頼ではなく、トイレを貸してくれと言われて、それはもう慌てていたのだろうあちこち汚して帰られて散々だったと御剣に話したんだった。まさかコイツ、ぼくがトイレを使われるのが嫌だと思って我慢してるのか?
なんてこった。全く、ぼくなんかよりよっぽど潔癖でキレイ好きなんだから、御剣がトイレを汚すなんて思うわけないだろうとため息をついた。
「御剣」
「ム!な、なんだろうか」
なるべく優しく呼びかけると、御剣はビクリと肩を震わせた。その間もずっと貧乏ゆすりをしていて、どれだけ溜め込んでるんだと呆れ果ててしまった。
「お前、ソワソワしすぎ。したいならしてこいよ。我慢は身体に良くないぞ」
「……!?な、な……!」
湯気が出るんじゃないかというほど顔を真っ赤にさせ、御剣はガタガタと震え出した。指摘されたのがそんなに恥ずかしかったのか?やれやれ、世話のやける男だなと口角を上げた。
「ためらうことなんてないよ。お前にならいいよ。ほら、さっさとスッキリしてこい」
ぼくが笑顔を見せると御剣は覚悟を決めたようで、喉仏が大きく動くのが見えた。ここまでお膳立てしてやったんだから、後はもう心配する事などないだろう。
「で、では……お言葉に甘えて」
御剣がゆっくりと立ち上がり、ぼくの横へと移動してくる。……ぼくの横に?後ろのトイレではなくて?
「んむ……!?」
グイ、と顔を持ち上げられ、目の前が御剣でいっぱいになったかと思えば唇を奪われていた。あまりにも突然の事に脳内は真っ白になり、先程組み立てたロジックは砕け散ってしまった。
「っ、は……ずっと我慢していたのだ。キミから言ってくれるなんて、嬉しいぞ」
唇を離し、うっとりと笑う御剣はキレイさっぱりスッキリした様子で、ぼくの頬を親指で優しく擦った。ぼくは呆然と口を開け、間抜けな声で呟いた。
「……トイレじゃなかったのか」
「は?トイレがどうした?」
勘違いから来る羞恥と、キスされた歓喜で赤くなった顔を隠すように、なんでもないよと今度はぼくからキスをした。