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ミツナルワンライまとめ

「相棒」

 そう呼びかけると彼は照れたように笑って、なんだよ、と返してくれる。その顔を見ていると、ムショウに胸が苦しくなるのだ。
成歩堂が私に向けてくれる信頼を裏切るような下心。この腕で抱きしめてみたい、優しくキスをしたい、全てを私のモノにしたい。……そのような想いが許されるはずがないのだ。この気持ちは墓まで持っていこう。そう決めていた。それなのに!
「好きだ……」
 思わず出てきたのはそんな言葉で、私はすぐに顔を青くして口を塞ぐがもう遅い。成歩堂はぽかんと口を開け、二度瞬いた。身体が震え、恐怖が襲いかかってくる。
 私の執務室に資料を貰いに来た成歩堂は、悪いな、などと言いながらいつものようにふてぶてしく笑っていた。それが腹立たしくもあり、どうにも愛おしかった。伝えるつもりなど無かったのに、つい、ポロッと零してしまったのだ。
「み、みつるぎ」
「すまない。今のは忘れてくれ……聞かなかったことにしてくれ」
 頼む、と呟き立ち上がる。成歩堂の顔が見れない。見れる訳が無い。親友、ライバル、相棒という関係を崩してしまうこの気持ちは、持ってはいけないものなのだ。固まったままの成歩堂を置き去りに、泣きたいのを堪えて執務室を出ようとしたその時、強く腕を引かれて後ろに倒れそうになった。
「な!なにを……」
 頬に柔らかい何かがぶつかり、呼吸が止まる。触れていたのは一秒にも満たない時間だったが、私には永遠のように長く感じられた。
「ぼ、ぼくが……同じ気持ちって言ったらどうするんだよ」
 真っ赤な顔で私を睨みつける成歩堂は、震える手でしっかりと私の腕を掴んでいた。
「聞かなかったことになんてできない。ぼくは、お前の言葉を何より信じてるんだよ。相棒」

「…………私から、もう一度しても?」
「……好きにすれば」
 そっと手を握って、唇を寄せた。
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