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ミツナルワンライまとめ

 じっとり、という擬音が聞こえるほど汗ばんだ身体を縮こませ、これまたじっとりと恨みがましく海の方に視線を向ける。楽しそうにはしゃぐ真宵ちゃんと春美ちゃんに着用を義務付けられたピンクのビキニは、太陽に反射してギラギラと輝きを放ち異様に目立っていた。こんな格好ではとてもじゃないが泳ぐ気分にはなれず、深く深くため息をつきながら体育座りをして、寂しく荷物番をしているという訳だ。
「はあ……それにしても暑いな」
 パラソルの下にいるとはいえ完全に暑さをしのげるという事は無く、じわじわと熱が身体を蝕んでくる。額から一滴の汗が零れ、目に入ってしまい慌てて拭った。
「い、いててて……」
「一人で何をしている」
「うげ!」
 ゴシゴシ目を擦っていると呆れたような声が上から降ってきた。二人分のかき氷を手にした御剣は辺りを見渡し、いつものように眉間にシワを寄せる。
「……糸鋸刑事の姿が見えないが」
「イトノコ刑事はあっち。流石に暑すぎるッス~!って言いながら海に飛び込んでったよ」
「全く……成歩堂を一人にするなと言っておいたのに」
「だからそんなに心配しなくてもいいって」
 来月の給与査定を云々言い始めたので、こんな事でイトノコ刑事の給料が下がってしまうなんて、と同情してしまう。乾いた笑みを浮かべてまあ座れよと隣のシートを叩いた。御剣はブルーハワイシロップのかかったかき氷をぼくに手渡しながらゆっくりとシートに座り込む。
 キミが浜辺の王様だなんだと言っておきながら御剣は大変ぼくの格好を心配しており、やれ上着を羽織れだの一人になるなだの、過保護なまでに世話を焼いてきた。
「だいたいこの海にいるのはぼくらだけじゃないか。お前が心配するような事なんて絶対無いって」
「いつ他の人間が来ないとも限らないだろう。用心に越したことはない」
「はぁ……」
 そんなに言うならお前の水着と交換しろよと言いたくなるが、この光り輝くピンクビキニを身に付け堂々と仁王立ちする御剣を想像して口を噤む。腹が立つほど似合いそうで、げんなりしてかき氷を一口、しゃくりと口に運んだ。
「……なんだよ」
 かき氷が溶けるほどの熱視線を感じ、じろりと睨み返す。ぼくの全身を眺める御剣は、うむ、と納得したように呟いてかき氷を食した。
「いや……キミはいやらしい身体をしているなと思ってな」
「ブッ!は、はぁ!?」
 爆弾発言に青い氷を吹き出してしまった。大丈夫か、等と言いながら御剣はぼくの背中を軽く叩いてくる。
「お、お前!ななな何言ってんだよこんな所で!」
 御剣の熱い手を振り払い、小声で糾弾する。ぼくの顔はみるみる真っ赤になるが、御剣は至って冷静に自身の赤いシャツを脱ぎながら笑った。
「思った事を言ったまでだ。じっとりと汗ばんだ身体と上気した顔は情事を思わせ、極限まで布面積を少なくした水着姿は淫靡としか言いようが無い」
「ば、バカかお前!変態!」
「だから……心配なのだよ」
 羞恥に震えるぼくの身体に赤いシャツをふわりとかけながら、御剣は眉を下げて微笑んだ。熱を孕んだ目が、まっすぐぼくだけを見つめている。ドキドキと心臓が音を立て、頭がぼうっとしてきた。これ以上見ていられなくて、見られるのが恥ずかしくて、優しくかけられたシャツをしっかり着用して身体を隠した。御剣は満足気に頷き、またかき氷を一口食べる。
「しばらくそうしていたまえ。本当は私以外の誰にも、キミのそんな姿を見られたくないのだ」
「……ムッツリすけべ」 
 じっとり、太陽と御剣の視線を集めながら、やけくそのようにかき氷をかきこんで頭を悩ませる。
 楽しいな。と呟いた御剣をそっと見つめながら、こいつが喜ぶならまあいいかと再び大きく息を吐き出して、眩しく光る海を眺めていた。
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