会話文たち

「さあやって参りました御剣怜侍のデート待ち合わせRTA。実況は私、宝月茜が務めさせて頂きます。また解説として綾里真宵さんをお呼びしております。本日はよろしくお願い致します」
「よろしくお願いします!」
「それではスリーカウント異議あり!で始めていきたいと思います。3、2、1」
「「異議あり!!」」

「時刻は9時20分、御剣検事さんゆっくりと起床です。目の下にクマが出来ていますね」
「きっと今日のデートが楽しみすぎて寝付けなかったんでしょうね。案外こどもっぽいので」
「時計を見て青ざめます。それもそのはず待ち合わせ時刻は10時!あと1時間もありません」
「慌てて着替えてますねー、ここは我々目を閉じておきましょう…茜ちゃん!」
「ギクッ!は、はい…」
「…着替え終わったみたいですね!前日に服を決めておいたのが功を奏したようです」
「顔を洗い歯磨きを済ませ、急ぎながらも大きな鏡で身だしなみをチェック。キまってますね!カバンを引っ掴んでいよいよ外へ出ます。現在時刻は9時35分です」
「待ち合わせ場所は幸い近場なので、この調子なら間に合いますね。本当はもっと早めに到着したかったでしょうが仕方ありません」
「相手より早く着いて、悔しげな顔を見るのがお好きな御剣検事さん。いつも法廷でしてやられているので意趣返しなのでしょうか…。ああっ!女の人にぶつかってしまいました!お互いカバンを落とします」
「これはタイムロスですね~」

『も、申し訳ない。急いでいたもので…お怪我はありませんか?』
『ええ…こちらこそ前をよく見てなくてごめんなさい、失礼します』

「おや、いつもなら相手の女性がよければお茶でも…と誘ってくるのですが、今回はそのまま別れましたね」
「お姉さんも急いでたみたいですね、不幸中の幸いと言えるでしょう」
「時刻は9時40分、長い信号待ちで足止めをくらいます。腕を組んでちょっとイライラしているようです。信号待ちの間、真宵さんに待ち合わせ相手のお話を伺いたいと思います」
「はい!相手の方も今日のデートを本当に楽しみにしてました。1週間前からソワソワしていて、ケータイを開いて閉じてため息をつき、赤いものを見る度にため息をつき…検事局に会いに行けば?と言うと顔を真っ赤にして否定するので、いい加減呆れちゃいました」
「ラブラブなようで微笑ましいですね。と、信号がようやく青に変わりました。さあ御剣検事さん走る…と思いきや?」
「隣のお婆さんが重い荷物を背負ってよたよた歩いていますね…」
「この信号は赤が長くて青は短い。この調子だと渡り切れそうにありません…ああっ!御剣検事さん、汗をかきながらお婆さんに話しかけます!」

『失礼。ここの信号は変わるのが早い為、手をお貸ししてもよろしいか?』
『まあまあ、ありがとうねぇ』

「さ、さすがみつるぎ検事…!紳士です!急いでいても紳士です!」
「す、素敵~!荷物とお婆さんを支えて、向こうまでエスコートしております!無事渡り切れたようです」

『本当にありがとうねぇ、なんて親切でハンサムなのかしら』
『いえ、当然のことをしたまでです。では…』
『まあまあ、こんな素敵な方が孫のお婿さんになってくれたらどれだけ嬉しいでしょう。どうかしら、是非家まで…』

「出ましたね、『孫の婿になってくれ』が」
「オバチャンしかり、女性の押しに弱いみつるぎ検事。時間は有限ですが、果たして…」

『も、申し訳ない。私には生涯を共にすると決めた最愛のパートナーがおりますので』
『あらぁ、残念ねぇ。そうよね、こんなに素敵な方だもの、お相手がいるわよねぇ…』
『ええ、私の人生を変えてくれた人なのです』
『まあ、素敵』
『出会いは小学生のとき、当時は…』

「ああーっと!キッパリ断ったはいいものの、惚気を自分から開始してしまったー!」
「これは痛いですねぇ、二つの意味で」
「お婆さんも微笑んでますね。御剣検事さん、見るからにデレデレしてますから」
「あ、自分が急いでたことに気付いたみたいです。慌てて一礼して再び走り出しました」
「時刻は9時45分。もう相手は到着しているでしょうか?」
「そうですねぇ。負けじと早めに到着するよう心がけてるみたいなので、多分…」
「やはり先程の惚気が痛かったですね…二つの意味で。おや?なにやら女性が叫んでますね」

『キャー!ひったくりよ!誰かー!!』
『邪魔だ!どけぇ!』
『邪魔なのはキサマだ!!』
『お、おぉお!?!?』

「おお~!!みつるぎ検事、ひったくり犯を投げ飛ばしました!目を回して気絶しているようです!」
「きゃあ!すごーい!」
「なんでも恋人を守れるように護身術を習い始めたとか」
「さすがですね!あの人、いつも危険な目にあってるから…」

『あの!ありがとうございました…!』
『いえ。今警察に連絡しておきましたので、後のことは…』
『あのぉ、本当にかっこよかったです~!よかったらお礼をさせて下さい!』

「で、出たァ~!お礼と称した逆ナン!」
「お姉さん目がハートになってますね」
「キレイな方ですが、御剣検事さん眉間にシワが寄ってますね。度重なる足止めにイライラしているようです」

『礼には及びません。本当に。急いでいるのでこれで』
『ええー!そんなぁ』

「あ!お姉さん、みつるぎ検事の腕を掴みました!」
「な!なんてことを!」

『ヒィッ!?』
『急いでいるので、申し訳ない』
『あ、ハイ…』

「「顔怖っ!!」」
「紳士だけど短気ですからねぇ。これは仕方ない」
「普段から机バンバン叩いてますもんね…」
「まあそれはこっちもそうなんですけどね」
「そうこうしてるうちに時刻は9時52分。5分前集合はできそうですね!」
「あれ?みつるぎ検事、カバンを見て愕然としてます…」
「…あ、ああっ!朝持っていたカバンとちょっとだけ違います!」
「ええええ!!じゃあじゃあ、あの最初のお姉さんとぶつかった時に取り違えちゃったんじゃ…!」
「み、御剣検事さんもそう思ってるみたいです…雄叫びをあげてますね…」

ガチャ
『そこまでよ』

「「え?」」
「な、なんと!絶望する御剣検事さんの後ろ頭に拳銃が当てられてます!!証拠品を突きつけられるのはなれっこでも、まさか拳銃を突きつけられるなんて!」
「あ、あれ、この人…最初のお姉さんだ!」
「ええ!?ほ、ホントだ…サングラスかけてますね…」

『貴方、わたしがスパイだと見抜いていたんでしょう?だからわざとぶつかってカバンを入れ替え、組織にタレこもうとしていた…わたしにはお見通しよ!さあ、カバンを返しなさい!』

「ええええ!?ス、スパイ!?なんの!?」
「東西の問題を解決するために、ニセの家族を演じてるんでしょうか…」
「(茜ちゃん、スパイ○ァミリー知ってるんだ…)」

『…いい加減に』
『え!?ちょ、ちょっと!』
『いい加減にしたまえ!!キサマら、なぜ私の邪魔をするのだ!?もう我慢できん!』

「あっ、みつるぎ検事、拳銃を奪いました!!どうして逆転裁判の男は拳銃を握ってしまうんでしょうか!」
「ていうかこの女スパイ迂闊すぎるのでは…」

『あっ、ちょ、返して…!』
『…モデルガンではないか!!ふざけているのか!?』
『しょうがないでしょ!?わたしまだ下っ端なんだから本物には触らせて貰えないの!』
『知ったことではない!』
『ああー!!』

「すごい、片手でモデルガン握りつぶしましたよ…」
「ゴリラ検事…」

『えーん!』
『私はキミの言う組織とは無関係だ。だが"検察"という組織に属している。この意味が分かるな?』
『え、検察…!』
『御剣検事ー!!ごブジっスか~!!』

「あっ!イトノコ刑事だ!」
「どうやらひったくり犯を捕まえたようですね。後のことはジブンに任せるっス!とキレイな敬礼をしています」
「イトノコ刑事も今日がデートって知ってますからね。加えてみつるぎ検事のこの怒りよう…早く送り出してあげたいんでしょう」
「うーん、泣かせますねぇ」

『ハァ…ハァ…』

「時刻は…あっ!9時59分です!あと1分で待ち合わせ時間になってしまいます!」
「わー!頑張れ!」
「あっ!あの青いギザギザ頭は…!」

「なるほどくんだ~!!みつるぎ検事に気が付いたみたいですね、大きく手を振ってます!」
「ここでタイマーストップ!時刻は…10時ジャスト!!すごーい!なんとか間に合いました!」
「でも息が上がってるし、汗だくで、髪もボサボサですね…完璧でありたいみつるぎ検事にとって、これは…」
「あっ、成歩堂さん、御剣検事さんの頭を撫でてます!」

『時間ピッタリだな、そんなになるまで急がなくてもよかったのに…』
『き、キミに…早く会いたかったのだっ…ハァ、ハァ』
『…へへ、ぼくも会いたかったよ。すごい汗だ』

「成歩堂さん、ニッコリ笑いながらハンカチで汗を拭いてあげてますね。御剣検事さんは息を整えながらも見惚れています」
「うーん、なるほどくんはみつるぎ検事の完璧じゃないところが好きなんでしょうね!」

グギュウウゥ…!
『…腹の中のケモノが鳴いてるぞ、御剣』
『う、うム…』
『ぼくもちょっと今日は時間なくて、朝ごはん食べ損ねたんだ。とりあえず何か食べに行こう』
『ああ、そうしよう…』
『!』

「自然な流れでなるほどくんの手を握りました!最後に挽回した模様です。よかったですね、みつるぎ検事!」
「幸せそうですね~!さあ、2人の世界に入ってしまったので我々はここでお別れとしましょう。真宵さん、ありがとうございました!」
「茜ちゃん、ありがとうございました~!」
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