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ミツナル短編集

「ああ……暇だ」
 某日、成歩堂法律事務所。本日も閑古鳥が鳴いており、ぼくは所長の椅子に座ってぼうっと天井を眺めていた。
「なるほどくん、ひまひま言ってないで片付けでもしたら?机の上、とんでもない事になってるじゃない」
「そうですとも!わたくしが触るわけにもいきませんし、なるほどくんが片付けるべきです!」
 真宵ちゃんと春美ちゃんが箒と雑巾を持って、頬っぺたを膨らませながらぼくに片付けをさせようとしてくる。片づけなければならないのは百も承知だが、そんな気分になれなくて二人を華麗にスルーし、狸寝入りをしてみた。
「ぐう……」
「こら!寝たふりするな!」
「いててて!」
 痺れを切らした真宵ちゃんに耳たぶを引っ張られて、仕方なく机を整理する事にした。のろのろ動き出したぼくを見て満足したのかうんうんと頷きながらにっこり、真宵ちゃんと春美ちゃんが微笑んだ。
「全く、こうもだらけてたらいよいよ愛想尽かされるんじゃない?みつるぎ検事に」
「なっ……!な、なんでアイツが出てくるんだよ!別に、関係ないし……」
 関係無い事は…無い。数か月前からぼくと御剣はその、交際を始めている。でもそれはまだ誰にも言っていないはずなのに、何で真宵ちゃんは知ってるんだ?
「二人の態度見てたら分かるよ。ね、はみちゃん」
「はい!それはもう、バレバレですとも!…真宵さまとではないのは、ちょっと残念ですけど……」
「は、春美ちゃんまで?ウソだろ……」
 衝撃の事実にわなわなと震え、持っていたファイルを床に落とす。慌てて春美ちゃんがファイルを拾ってくれるが受け取る事が出来ない。ぼくらの関係がバレていたのが恥ずかしく顔を覆ってしまった。きっと今、自分は耳までリンゴのように真っ赤な事だろう。
「みつるぎ検事さん、早く帰ってくるといいですね!」
「……うん」

 アイツは今、勉強の為に海外へ行っており、三週間は会っていない。それでもメールや電話でのやり取りは欠かさず、着実に愛を育んでいる。
「さあさあ!愛しの彼に呆れられる前に、さっさと片付けちゃおうよ!」
「わ、分かったよ」
 どこか楽し気に掃除を再開した二人に倣って、散らかり放題だった書類を整頓する。アイツが帰ってくるのは三日後だそうだ。もうすぐ会えるのだと思うと無意識に顔が綻ぶ。不必要と判断した書類をシュレッダーにかけようとしたその時、大きな音を立てて扉が開いた。
「ナルホドー!スクープやでぇ!スクープ!!」
 威勢のいい関西弁が事務所に響き渡る。目を輝かせながら入ってきたのは、名は体を表すという言葉が最もふさわしい人、ナツミさんであった。
「な、ナツミさん?どうしたんですか?」
「せやからスクープや!アンタに報告せなアカンと思ってな!わざわざ来たったんやで!ホンマ感謝しぃや!」
「痛い!」
 興奮気味のナツミさんに肩を強めに叩かれ、眉をひそめる。彼女が事務所に来るなんて珍しい、いったいどんな事件を持ってきたのだろうか…少し怖い。
「ええか?腰抜かすなよ……これや!」
 そう言ってバン!と机に勢いよく叩きつけたのは一枚の写真であった。そこに写っているのは…たった今話題に挙げていた人物、御剣であった。
「こ……これ、は」
写真を見た瞬間ぼくは凍り付き、頭が真っ白になってしまった。
写真は御剣がホテルに入っていく所をとらえていた。その隣には、後姿だったが明らかに女性がいて、御剣は彼女を見つめながら笑っていた。
 頭が真っ白になり、酷い耳鳴りがする。天地がひっくり返る感覚がして、全身かっかと熱いのに手だけは氷のように冷たく、浅い呼吸しかできない。
「な?ヤバいやろ?スクープやで!昨日の夕方にな、芸能人出てこうへんかな~思てホテルで張り込んでてん。そしたらその検事が女と入って行きよってん!こら大事件やって、慌てて撮ったんやで!まあそいつは芸能人ちゃうから記事には別にせえへんけどな!」
 凄いやろ?とニヤニヤしながら小突いてくるナツミさんだったが、返事をする余裕は無かった。震える手で写真に触れる。
「き、昨日?確かみつるぎ検事、帰ってくるのは三日後だって!」
「そんなん知らんわ。女と会うためにはよ帰って来たんちゃうか?ナルホドー、アンタ先越されたな!あ、その写真やるわ!次その検事に会うた時に見したり!ほな、またホテルで張り込んでくるわ!」
 ナツミさんは高らかに笑って帰っていった。何という爆弾を投下していったのだろう。ぼく達は写真を見つめたまま立ち尽くすしか無かった。

我に返って最初に脳内を埋め尽くしたのは、『裏切られた』という感覚だった。裏切りが一番許せないと言っているのに、アイツはまたぼくを裏切ったのかとマグマのように腹の底から怒りが沸き上がり、歯を食いしばる。
「御剣……!」
「な、なるほどくん!絶対何かの間違いだよ!みつるぎ検事が、こんな……!」
「そ、そうですとも!」
 二人が滝のような汗を流しながら、写真について異議を申し立ててきた。余りにも必死なその姿に少し落ち着く。そして冷静になって考えたのは、『ああ、やっぱりぼくじゃダメなんだ』という事だった。
「……ごめん、二人とも。ちょっと動揺しちゃって……ぼく、トイレ掃除してくるよ」
「えっ、なるほどくん!トイレ掃除ならさっきわたくしが……!」
 フラフラとおぼつかない足取りでトイレに向かい、無心で便器を磨いた。今は、アイツの事を考えたくなかった。

* * *

「ね、ねえはみちゃん。なるほどくん、もう二時間もトイレ掃除してるよ……?」
「はい……ゆゆしき事態、です……!」

 無心でとは言ったものの、やはり先ほどの写真が脳裏に焼き付いて離れない。ぐるぐると駆け巡る不安と疑心、そして悲しみに耐えきれず、自分の心を守る為、一心不乱にトイレ掃除を続けている。
「なるほどくん!なるほどくんってば!」
 ゆさゆさと肩が揺れ動く感覚がする。掃除を止め、虚ろな目で振り返ると、目を潤ませた真宵ちゃんがぼくの肩を掴んでいた。
「ああ……真宵ちゃん、どうしたの」
「どうしたのじゃないよ!さっきからずっとトイレ掃除ばっかりして…!ねえ、みつるぎ検事にホントの事、聞いてみようよ!絶対ナツミさんの勘違いだってば」
「……あんなに決定的な証拠があるのに?」
「そ、それは……でもでも!いつもそうじゃない!なるほどくんは、決定的な証拠からムジュンを見つけて、逆転してきたじゃない!今だって……」
「じっくり見たけど、あの写真にはなんのムジュンも無かったよ。目撃証言だってあるんだ。覆すなんて、できないよ」
「そ、そんなぁ」
「真宵さま……なるほどくん……」
 すっかりしょげてしまった真宵ちゃんに寄り添うように春美ちゃんがやって来た。狭いトイレに三人、すし詰め状態である。なんてシュールな光景なんだと苦笑いしながらトイレを流す。その音でかき消されるくらいの声量で、つい口に出してしまった。御剣への、今の思いを。

「……分かってたんだ。御剣が、ぼくなんかを好きになる訳無いって。いつまでもこの関係が続くはず無いって、知ってた。告白はアイツからだったけど、それはぼくがあの事件で弁護した事への恩と、恋愛感情をはき違えているんだと思う。あんなの気にする事無いのに」
 ゴム手袋を外し、手を洗いながらボソボソと心情を吐露する。一度口に出してしまったら止まらなかった。
「知ってたんだよ。ホントに。でも、それでも好きだったから……。告白されたとき、ホントに嬉しくて頷いちゃったんだ。御剣の為にならないって分かってたのに、ぼく……」
「なるほどくん……」
 真宵ちゃんはとうとう泣いてしまった。申し訳無くて、こんな自分が情けなくて心臓が苦しい。濡れた両手を腹の前で祈るように結び、血が止まるほど強く握る。もう堪えきれない。
「ごめん……こんなの、二人にする話じゃ無いよね……ごめん」
 ぽろ、と大粒の涙が頬を伝う。こんな風に泣いている姿なんて滅多に見せないからか、真宵ちゃんは自分も泣いているのに慌てて慰めてくれた。
「な、泣かないでなるほどくん!」
「……ません」
「えっ?は、はみちゃん?」

「ゆ……ゆ……ゆるせませーーーん!!!!」
 
 静かだった春美ちゃんが突如叫び、爆発音のような声が轟いた。その瞬間、再び勢いよく事務所の扉が開かれた。

「ど、どうしたのだ!何かあったのか!?」
「み、み、みつるぎ検事……!!」
 
* * *

昨夜、午後七時頃。

(ああ……成歩堂に会いたい)
 予定より早く研修が終わり、帰国できた事は喜ばしい。だが、局長から海外の話が聞きたいからと食事に誘われ、帰ってすぐホテルのレストランへ向かう事になってしまった。急な帰国だった為、まだ成歩堂には何も伝えられていない。早く彼に会って、抱きしめたい。
そうだ。発想を逆転させるのだ。サプライズと称して、明日海外土産を持って事務所に行こう。きっと成歩堂は驚く事だろう。その後は、私だけに優しく笑いかけてきて……

「あ、あの!すみません……」
「……ム?」
 
 妄想に耽っていると見知らぬ女性に声をかけられた。彼女は清楚なワンピースを着用し、バッチリ髪型もセットしてある。今から出かけます、と明らかに分かる身なりであった。
「あの、ホテル・バンドー12号店ってどこにあるか分かりますか?今から友達とディナーなんですけど迷ってしまって……」
「ああ、そこなら丁度、私も向かう所です。よろしければ一緒に行きましょう」
「本当ですか!助かります!」
 ホッとした様子の女性を先導し、ホテルへ向かう。無言が気まずく、また惚気たくて成歩堂の話をすると彼女は目を輝かせて相槌を打ってくれた。何でも漫画家の卵らしく、参考になると満面の笑みを浮かべていた。
 紳士たるもの女性をエスコートするのは当然である。ホテルの前に到着後、扉を開けて入店を促した。この瞬間がターニングポイントだったとは、思いもしなかったのである……

* * *

バチーーンッ!!

「ぬおおおおお!?」
「は、はみちゃん!」
 事務所から春美くんの大絶叫が聞こえ慌てて中へ入ると、トイレで三人話し込んでいたようで、何をしているのかと近付くと同時に頬に凄まじい衝撃が走り、後ろに吹っ飛んでしまった。
「み、みつるぎ検事さん……最低です!なるほどくんを、裏切って…!」
 ブルブル震えて地団駄を踏む春美くんの言葉の意味が分からず、目を白黒させ真っ赤に腫れているであろう頬に手を当てる。
「ま、待った!春美くん、なんの話だ!?私は成歩堂を裏切ったりなど……」
「この期に及んでとぼけるのですか!ご自分が何をなさったのか、分かっていないのですか!」
 本当に全く心当たりが無い。早めに帰国したにも関わらず、成歩堂に連絡をしなかった事か?いや、それだけでここまで激しく春美くんが怒るはずが無い。
「御剣……」
「!な、成歩堂…?泣いているのか?な、何があったのだ!」
「……」
 便器の近くにいた成歩堂は、目を真っ赤にして泣いていた。最愛の恋人が涙を流しているのを目撃して、冷静でいられる訳が無い。慌てて立ち上がりその涙を拭おうとすると、先ほどと反対の頬を張られた。…先ほどより、強く。
「ぐおおおおお!!」
「誰のせいだと思っているのですか!なるほどくんが、なるほどくんが……かわいそうです~!うわぁ~ん!!」
再度後ろに吹っ飛んだ私を睨みつけたかと思うと、春美くんは大声で泣き始めた。状況が一切把握できず、縋るように真宵くんに視線をやると彼女も泣いていた。
「ま、真宵くん、一体何が……」
「みつるぎ検事……ホントになるほどくんの事、裏切ったんですか?どうして、そんな!」
「本当に待ってくれ!心当たりが全く無いのだ!誓って言うが私は成歩堂を裏切ったりなど絶対にしない!」

 痛む両頬を無視して必死に弁明する。真宵くんと春美くんは、小さな身体で成歩堂を守るように私の目の前に立ち塞がっている。二人の後ろで成歩堂は俯いており、その表情は見えない。だが、悲しんでいるという事は十二分に伝わってくる。
「……二人ともありがとう。もう大丈夫だから」
「なるほどくん……!ですが!」
「辛いけど、ちゃんと話さなきゃいけないから」
 心配そうに見つめる二人に向け、無理やり笑顔を作った成歩堂は、震えながら私の近くへ寄る。尻もちをついたままの私は未だ混乱しており、頭いっぱいに疑問を浮かべて成歩堂を見つめた。
「成歩堂……?」
「御剣……今までありがとう。ごめんな。ずっとお前を縛り付けちゃって……別れよう」
「……??なっ、な……?」
 驚きすぎて言葉も出ない。何故だ…?つい先日まで電話やメールでいちゃついていたというのに、帰ってくるなり別れ話だと!?本当に何が起こっているのだ!?
「わ、別れんぞ!私はなんと言われようが絶対に別れん!」
よろめきながら立ち上がり、汗びっしょりの手で成歩堂の肩を掴み向き合うが、一向に目が合わない。彼の目は虚ろで、全てを諦めたように微笑んでいた。
「気にする事無いよ。最初から分かってたのに、ぼくが悪いんだ。ごめん、御剣……」
「先程から三人とも何を言っているのかさっぱり分からない!私は何をしてしまったんだ!?」
 悲しみを押し殺して笑う成歩堂、涙目で私を見つめる真宵くん、般若のような春美くん……この現状の原因はどうやら私らしいが身に覚えが無い。頼むから誰か説明してくれ!
「みつるぎ検事さん!」
 くらえ!と般若もとい春美くんが一枚の写真を突き付けてきた。困惑しながら目を凝らして写真を見ると、それは昨夜のあの一瞬をとらえたものであった。
「こ……これは……」
「これ、さっきナツミさんが持って来たんです。昨日の夜撮ったんだって…。なるほどくんにウソの帰国日を伝えて、女の人とホテルに行ってたんですか?」
「違う!決してそのようなアレでは無い!」
 そうか、これが原因か……!私が浮気をしたと思われているのだな!?ようやく状況が飲み込めた。すぐさま、迅速に、早急に誤解を解かなければ取り返しのつかない事になってしまう。粘つく唾を飲みこんで、説明の為に息を整えた。

「確かにこれは昨夜、私がホテルに女性と入っていく瞬間のものだ」
「!!」
 再び腕まくりをする春美くんに怯えつつ、弁解を続けた。
「しかし、断じて浮気などでは無いとここに宣言する」
「……どうだか。こんなにバッチリ撮られて、目撃証言まであるんだ。信じられないよ」
 自分を守るように腕を抱きしめる成歩堂に心が痛む。私の行動で、彼を傷つけてしまっている事が堪らなく辛い。
「成歩堂。早まった帰国をキミに報告しなかった事、心より謝罪する。本当に申し訳ない。キミを驚かせたかったのだ」
「……」
「昨夜は帰るや否や検事局長に呼び出され、食事に誘われたのだ。このホテル・バンドー12号店二階にあるレストランで、な」
「れすとらん……」
「レストランへ向かう道中、女性に道を尋ねられた。偶然にも彼女もこのホテルで食事をする予定だったのだ。そうなると、同行するに決まっているだろう?」
「うーん、確かに。向かう先が一緒なら、当然一緒に行きますよね」
 真宵くんがうんうんと頷く。よし、この調子なら誤解が解けるのももうすぐだろう。
「同時にホテルに到着したならば、入店するのだって同時だ。写真はその瞬間をとらえただけに過ぎないのだよ。分かってくれたか?」
「よかったー!あたし、みつるぎ検事の事信じてましたよ!なるほどくんの事が大切なの、よーく知ってるから!誤解でホント、よかった!」
 真宵くんは笑顔でパチン、と手を合わせた。その様子にホッと一息つく。これで成歩堂も春美くんも、納得を……

「異議あり!」

 鈴のような声で響く異議あり!に、私と真宵くんは衝撃を受けた。
「は、はみちゃん!どうしたの?」
「そ、そんなのわたくし、信じられません!みつるぎ検事さんが、ウソをついているかもしれないじゃないですか!」
「ええっ!みつるぎ検事、ウソなんですか……?」
「う、ウソでは無い!全て本当の事だ!」
 腕をブンブン振ってビンタの準備をする春美くんから少し距離を置いて、今言った事は真実だと告げる。ちらりと成歩堂を見ると、唇を噛んで涙を堪えているようだった。キミもウソだと思っているのか!?
「ウソじゃないとおっしゃるなら、証拠を見せてください!わたくし、納得できません!」
「ぐっ……!な、ならば、局長からのメールだ!昨日の午後、食事に誘われているだろう?」
「あっ……ホントです!」
  携帯を取り出し、局長とのメールを表示させる。確かに日時を指定して、私を食事に誘う内容の文面だ。
「まさか検事局長が一部下の秘匿に付き合うとは考えにくいだろう。いかがかな?」
「むむ……そう、ですね……」
 春美くんは口元に親指を当て考え込んでいる。彼女を納得させない限り、成歩堂と会話をすることもままならないだろう。祈るような気持ちで春美くんを見つめた。うんうん考え込む春美くんに痺れを切らし、ゴクリと唾を飲み提案する。
「信頼するに足らないのならば、今からホテルへ行って監視カメラの映像を見せてもらおう。検事の権限があれば多少の無理は……」
「いいよ。そんな事しなくても」
 黙りこくっていた成歩堂が小さく呟いた。眉を下げて優しく笑うその表情は慈愛に満ちていて、私はごくりと唾を飲み込んだ。
「ごめん、疑ったりして、こんなに騒いで。あまりにも必死なお前を見て、我に返ったよ。やっぱりぼく、恋するとちょっとおかしくなっちゃうみたいだ。……御剣がぼくを裏切るなんて、あり得ないって知ってたのにね」
 成歩堂は悲し気な顔から一転し、花が咲いたような笑顔で私を見つめている。その顔を見て、私は安堵と感動で打ち震えた。
「ああ、成歩堂……」
「御剣、疑ってホントにゴメン。別れたくなんて無いよ」
「私の方こそ迂闊だった。キミを、キミだけを愛している」
 堪らず抱き締めると成歩堂は嬉しそうに腕を回してくれた。久しぶりの恋人との触れ合いに、私の胸は甘く締め付けられた。このまま誤解されたまま、別れる事になってしまったら耐えられる気がしない。とりあえずこの後大沢木氏に連絡を取り、“話”をしなければと腹の中で炎を燃え上がらせ、抱き締める力を強めた。


「は、はみちゃんはまだ見ちゃダメだよ!シゲキが強いからね!」
「ああそんな!真宵さま~!」


(……まあ、サイコロックが出なかったから、最初に御剣が否定した時から分かってたけど。ちょっと反応が見たかったから黙ってたっていうのは秘密にしておこう……)


終わり!
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