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これからも君となら




「橙真、今日はありがとう」

星空が輝くこの夜。
僕は一生この時のことを忘れる事はないだろう。
「楽しかった。ひゅーいとプリマジが出来て。ただ、ちょっと息が切れてしまったのが今後の課題かな」
ステージから降りた時僕達は汗だくのくたくただった。彼女たちもこの熱気と興奮の中でパフォーマンスしていたのだと思うとプリマジスタって本当に凄いや。
でもすごく楽しい。それは橙真と一緒だったから。
パフォーマンスの最後、繋いだ橙真の手はかなり熱を帯びていて、いつも冷たい筈の僕の手も今までに無いほどの熱さになっていた。額からも掌からも、全身から汗が溢れる。
繋いだ掌の汗なんてもうどちらの汗かなんて分からない。汗も何もかも混じり合って僕達は2人でTrutH(真実)となった。
信頼できるパートナーと一緒だから楽しい、嬉しい、それがプリマジだ。だけど。

「本当に、いいのかな」
「どうしたんだ?ひゅーい?」

楽しかった気持ちを覆い隠すように雲が影を落とす。

「橙真は飴職人の修行もあるし」
「それは師匠と相談するよ、師匠は色んな経験をする事は良いことだって言っていた。きっと応援してくれる」
「橙真の親御さんにだって許可を取らなきゃ」
「飴職人を目指した時にも親とは色々話しをしたけれど、どんな道に進んでも応援してくれるって言ってたぞ」

そうだったね。
橙真の周りは素敵な大人ばかりだ。

「.........不安なんだ」

ハッとした顔で橙真は僕の方を見た。
「そう。。だよな。。歌とかダンスはもっとひゅーいに追い付けるように頑張るよ。さっそくまつりに教えてもらったトレーニング動画もあるんだ。今夜はそれを参考に.........」

「そうじゃなくて!」

声を荒らげてしまった。ごめん、橙真、そうじゃないんだ.........。

「橙真とのプリマジは本当に楽しかったよ。夢みたいだった。。だけどきっと.........僕達のプリマジは今後楽しいだけの物じゃなくなる。僕とプリマジをするって言うことは、オメガの。。汚い大人達とも関わっていかないといけなくなる」

声が震える。今日のプリマジを思い出に仕舞ってしまおうと思ったんだ。君をこれ以上、穢したくないし、やっぱり巻き込みたくない。

その時、温かい掌が僕の手を掴んだ。

「これからは2人だから。何があっても俺はひゅーいを信じているし、ひゅーいも俺を信じて欲しい。それに俺たちは絶対に汚れない。えっと。。そうだ、汚れても帰って風呂に入れば綺麗になるだろ?」

お風呂。。。?ふふふっなにそれ!思わず笑いが込み上げる。不器用な橙真なりの励ましなのだろう。

「ふふっ!!そうだね。オメガに汚れた振りして、お風呂で洗い流しちゃおうっか、ほんと、橙真って天才!」

がばあ!といつものようにハグをすると橙真がよろけた。今日は橙真も僕のハグに耐えられないくらいクタクタみたいだ。

「ほんと橙真って大好きだよ!」

何回言っても足りない。橙真の事が大好きだ。これからも君のマナマナとしてずっと一緒に居たい。

「俺もひゅーいが好きだよ。これからもずっとよろしく」

「え!?」
自分でも驚くほど甲高い声を上げて飛び跳ねてしまった。きっと狼姿だったら尻尾の先の先まで逆立っていた。セーフ。。いやいや。。待って!?

「でも橙真が好きなのは。。。まつりちゃんじゃ?」
「え?好きって言うのは!その、プリマジのパ……パートナーとしてで!.........え?ひゅーいの言う好きってどういう.........!?」

焦る橙真は本当に可愛くて大好きだ。

「ふふ.........ないしょ!」
改めてハグをしようとすると物凄い勢いで逃げられた。
「待ってよ、橙真!一緒にお風呂で汚れ落とそうよぉぉ」

本当に橙真と居ると楽しい。これからどんな大変な事が待ち受けているか。。正直想像は付くけれど。きっと君となら大丈夫。
これからもずっと、大好きだよ、橙真。
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