四章
夢小説設定
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江渡貝邸へと戻った一行はすぐに話し合いを始める。
ナマエはその間大人しく話を聞き、聞かれれば答えていったが、ときどき向いてしまう視線の先は尾形だった。
……正しく言えば尾形の少し後ろ、だ。
それにだけ意識が向いてしまいナマエは話に集中できないでいた。
「幽霊…?」
ぽつりと零れ出たナマエの呟きは誰の耳にも届かず、拾われなかった。
見えるというのは先ほどからナマエが見ている視線の先のこと。
彼の名は花沢勇作、尾形百之助の腹違いの弟である彼はすでに故人である。
……そう、彼は死んでいる。
なのにナマエには彼が何者なのかはわからないにしろ、はっきりと見えていた。
最初こそ誰かの連れだと思ったが誰も見えていないし、何より体が少し透けていたため幽霊だと信じざるを得なかった。
生まれてこの方幽霊なんてものが見えなかったナマエは自分の目を疑って目元を擦ったが、結局何も変わらず勇作はそこに“いた”。
ちらちら盗み見ているとナマエは勇作と目が合ってしまった。
目元は軍帽の陰に隠れて見にくいが、確かに目が合った。
「えっ」
目が合ったことに勇作も驚いたのだろう驚いた声を出した。
すぐさま顔を逸らしたがそれはもはや逆効果だ。
見えていますと自分から言っているようなものである。
「不味った……」
「ナマエ?お腹空いてないのか?」
「え、ううん。お腹空いてるよ。食べに行こっかアシㇼパちゃん」
ナマエは花沢勇作という男の霊かもしれない存在を見なかったことにした。
キロランケの横で鍋を食べるナマエの顔はどこかげっそりしていた。
「ナマエ?大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「絶対大丈夫じゃないじゃん」
「良ければ私が診ましょうか?」
「あんたそう言ってナマエの眼球舐めるだろ」
「そんな酷いです!そんなことしませんよ!」
ナマエは斜め下を見るようにしてなんこ鍋を黙々と食べていた。
着々と話が進んでいく中、ナマエは勇作の霊にジッと見つめられる。
『すごい見てくるじゃん……』と心の中でボヤく。
突き刺さる視線に耐えきれずちらりと横目で見ると勇作はやっと見てくれたと言わんばかりにぱあっと表情が明るんだ。
「う……」
その笑顔の眩しさたるや、思わず目を瞑ってしまった。
なんこ鍋を食べ終えたナマエは少し外で散歩してくると言って外に出る。勇作もその後に着いていく。
外に出たナマエはきょろきょろと座れるところを探すが特に見つからず地べたに座ることにした。
「……お名前を聞いてもいいでしょうか?」
「!、花沢勇作です。やはりおれが見えるのですね!」
両手を合わせながら嬉しそうに話す勇作を見てナマエはため息をついた。
「あなたの名前も聞いてもいいですか?」
「小鳥遊ナマエです」
「ナマエさん、#da=1#]さんは幽霊が見えるのですか?」
「今まで見えたことも気配すらも感じたことがありません。勇作さんが初めてです」
ナマエがそういうと勇作ははて、と首を傾げた。
「勇作さんは尾形さんに憑りついているんですか?」
「そう、なるのでしょうか。おれは少しでも兄様を守れたらとお傍にいるのですが……」
「守護霊ってことですかね?」
「そうです!おれは兄様の守護霊としてこの世に留まっています」
「尾形さんは十分強いと思うんですけどね……」
「ナマエさんは兄様に会ったことがあるのですか?」
「いいえ?今日が初めてですよ」
「でも、さっきの言い方はまるで兄様のことを知っているような……」
「きっと気のせいですよ。私は尾形さんに会ったことはないので、そもそも私はこの時代の人間じゃないですし…」
「?」
どういうことですかと声をかける前にナマエが杉元に呼ばれてしまった。
「今行く!じゃあ勇作さん、話はまた今度」
「……はい!」
久しぶりに人と話せたからか、勇作は満面の笑みをナマエに向けた。
ナマエはその間大人しく話を聞き、聞かれれば答えていったが、ときどき向いてしまう視線の先は尾形だった。
……正しく言えば尾形の少し後ろ、だ。
それにだけ意識が向いてしまいナマエは話に集中できないでいた。
「幽霊…?」
ぽつりと零れ出たナマエの呟きは誰の耳にも届かず、拾われなかった。
見えるというのは先ほどからナマエが見ている視線の先のこと。
彼の名は花沢勇作、尾形百之助の腹違いの弟である彼はすでに故人である。
……そう、彼は死んでいる。
なのにナマエには彼が何者なのかはわからないにしろ、はっきりと見えていた。
最初こそ誰かの連れだと思ったが誰も見えていないし、何より体が少し透けていたため幽霊だと信じざるを得なかった。
生まれてこの方幽霊なんてものが見えなかったナマエは自分の目を疑って目元を擦ったが、結局何も変わらず勇作はそこに“いた”。
ちらちら盗み見ているとナマエは勇作と目が合ってしまった。
目元は軍帽の陰に隠れて見にくいが、確かに目が合った。
「えっ」
目が合ったことに勇作も驚いたのだろう驚いた声を出した。
すぐさま顔を逸らしたがそれはもはや逆効果だ。
見えていますと自分から言っているようなものである。
「不味った……」
「ナマエ?お腹空いてないのか?」
「え、ううん。お腹空いてるよ。食べに行こっかアシㇼパちゃん」
ナマエは花沢勇作という男の霊かもしれない存在を見なかったことにした。
キロランケの横で鍋を食べるナマエの顔はどこかげっそりしていた。
「ナマエ?大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
「絶対大丈夫じゃないじゃん」
「良ければ私が診ましょうか?」
「あんたそう言ってナマエの眼球舐めるだろ」
「そんな酷いです!そんなことしませんよ!」
ナマエは斜め下を見るようにしてなんこ鍋を黙々と食べていた。
着々と話が進んでいく中、ナマエは勇作の霊にジッと見つめられる。
『すごい見てくるじゃん……』と心の中でボヤく。
突き刺さる視線に耐えきれずちらりと横目で見ると勇作はやっと見てくれたと言わんばかりにぱあっと表情が明るんだ。
「う……」
その笑顔の眩しさたるや、思わず目を瞑ってしまった。
なんこ鍋を食べ終えたナマエは少し外で散歩してくると言って外に出る。勇作もその後に着いていく。
外に出たナマエはきょろきょろと座れるところを探すが特に見つからず地べたに座ることにした。
「……お名前を聞いてもいいでしょうか?」
「!、花沢勇作です。やはりおれが見えるのですね!」
両手を合わせながら嬉しそうに話す勇作を見てナマエはため息をついた。
「あなたの名前も聞いてもいいですか?」
「小鳥遊ナマエです」
「ナマエさん、#da=1#]さんは幽霊が見えるのですか?」
「今まで見えたことも気配すらも感じたことがありません。勇作さんが初めてです」
ナマエがそういうと勇作ははて、と首を傾げた。
「勇作さんは尾形さんに憑りついているんですか?」
「そう、なるのでしょうか。おれは少しでも兄様を守れたらとお傍にいるのですが……」
「守護霊ってことですかね?」
「そうです!おれは兄様の守護霊としてこの世に留まっています」
「尾形さんは十分強いと思うんですけどね……」
「ナマエさんは兄様に会ったことがあるのですか?」
「いいえ?今日が初めてですよ」
「でも、さっきの言い方はまるで兄様のことを知っているような……」
「きっと気のせいですよ。私は尾形さんに会ったことはないので、そもそも私はこの時代の人間じゃないですし…」
「?」
どういうことですかと声をかける前にナマエが杉元に呼ばれてしまった。
「今行く!じゃあ勇作さん、話はまた今度」
「……はい!」
久しぶりに人と話せたからか、勇作は満面の笑みをナマエに向けた。