四章
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「農家があったぞ」
「!」
「え、なに?……なんだ驚かせんなよ」
「さっき赤毛に襲われてた馬だ。大した傷じゃない、お前ここまで逃げてきたのか」
キロランケは怪我した馬を連れていくことにした。
「その馬連れてくの?」
「こいつは赤毛の獲物だ!執念深いヒグマは必ず自分の獲物を取り戻しに来る!」
「ええ!?じゃあそんな馬置いてけよっ!」
「うるせえ!殺されちまうってわかってるのにほっとけるかよ」
キロランケが白石の方を振り返った時、視界に大きな赤毛のヒグマが視界に飛び込んでくる。
「あ、赤毛だ…」
「いいか白石、ナマエ、ゆっくり動け。絶対走るなよ」
「キロランケさん、それもっと早く言った方がよかったかもしれないです」
白石は脱兎のごとく走って逃げていた。
「このタコ坊主ッ!」
ヒグマが走って逃げた白石を追う。
「ベルトを外して投げろ!ヒグマはヘビが嫌いだ!」
ヒグマはベルトをヘビだと思い怯んで足を止める。ベルトを外したせいでズボンがずり下がってしまった白石の手を引っ張りながら三人はなんとか農家へと逃げ込む。
「何の騒ぎだ?」
「ヒグマが外にいる!あんた銃は?」
「銃なんてこの家には置いとらんぞ」
その言葉に三人が絶望する。
扉の外では赤毛がフンフンと鼻を鳴らしていた。
「警戒して入ってこない。今のうちに入口を全部塞ぐぞ!」
三人がいそいそと入口を塞ぐ。
「何をやってるんですか?」
「え?あんた今入ってきたのか?どこから入ってきた?」
「奥の勝手口ですけど」
「やべえ、そっちも塞がねえと!あんたひとりか?」
「……はい。どうして土間に馬が?」
「表にヒグマがいるんだよ!!」
「え?ヒグマ?」
慌てて勝手口を塞ぎに行く白石
そしてキロランケは違和感に気づく。
「ちょっと待て、ここはあんたの家なのか?」
「ええ、まあ……はい……」
曖昧な物言いではあったが、この家が入ってきた男のものだとすると、さっきまでいた男は何なのか、という話になる。
警戒しながら家を探索してキロランケとナマエは見つけてしまった。
「う、わ」
「オイこれ、いつからここに?」
階段に置かれていたのは競馬場にいた二人の生首
ナマエは静かに護身用に貰った拳銃を構えた。低威力の拳銃ではあるが、至近距離で数発撃てば人一人殺すぐらい訳ないだろう。
「おいキロランケ!なんだよそりゃ!」
「えぇ?それは……」
「トボけてんじゃねぇよオッサン、俺らより先にいてこの生首に気づかないわけないだろ」
「ここの戸を閉めて囲炉裏の傍にずっといたから気づかなかった!本当だ!ここへ来たのも一晩泊まれる場所を牧場の人間に教えてもらったからだ!」
「牧場の従業員がこの家は使われてないって言ってた。ここ、あんたの家じゃないんじゃないの?」
さっきまでの気弱そうな人物はどこへ行ったのやら。
まるでカチリとスイッチが入ったように銃を構え睨むナマエにその場の人間は多少なりとも驚いたことだろう。
「どっちだ?どっちが俺を殺しに苫小牧から追ってきた男だ?」
膠着状態が続く中、ドンドンと戸を叩く音とアシㇼパの声が飛び込んできた。
「白石ッ!小鳥遊ッ!いないのか!?戸が開かないぞ!早く開けろ!」
「杉元たちだ。こっちだ!裏へまわれっ!」
三人が裏の窓から中に入ってくる。
「危機一髪だぜ」
「クソッ、弾薬合が……」
ずるりと窓の近くにいた牧場の従業員がヒグマに持っていかれる。
アシㇼパは杉元も引きずり出されるから手放せと言ったが、暗号の入れ墨を持つ脱獄囚かもしれないと手を離さなかった。
「離すなよ杉元!」
キロランケは杉元の銃にマキリを縛り付け、ヒグマを数回刺す。
「……違った、囚人じゃねえ」
「ここに銃は?」
「私のこの護身用に貰ったやつだけ…」
「それじゃあヒグマは殺せない」
「あっ、アシㇼパちゃん弓矢は?」
「弓は折れた。矢も全部落とした」
「何やってんだよドジっ」
白石は靴を投げられた。
「まともな武器なしで…どうすだよ!!ヒグマが三頭も家の外を囲んでるんだぞ!」
「危険なのは家の中もだよ。そこ、名乗って」
「仲沢達弥と申します」
「若山輝一郎」
「その生首は?」
「競馬場でキロランケさんに八百長を勧めた奴ら。この二人のどっちかに報復として殺されたらしいです」
「脱げ。キロランケを送ってきたヤクザならくりからもんもんが入ってるだろ。そいつに外の弾薬合を取りに行かせようぜ」
そう言った瞬間若山が長ドスを杉元に振りかぶった。
「テメェらが連れてきたヒグマだろうが!テメェでケツがふけねぇなら、切り刻んでヒグマの餌にしてやろうか」
「威力が弱いとはいえ拳銃、ドスと銃のどっちのが強いかはヤクザならよくわかると思うんだけど?」
「は、やってみるか?そっちのアイヌの色男、テメエのせいで俺は競馬で大損こいたんだ」
「あんたが馬主の親分だったか。この生首で俺を脅すつもりだったのか?」
「あるいは殺す前に見せつけるためかもな」
「お兄ちゃんが会話ができない輩には肉体言語で話せって言ってたなあ……」
「みんないい加減にしろ!外にはヒグマが三頭もいるのに中で殺しあってどうする!ここを無事に脱出することが最優先だろう!」
アシㇼパの言葉を聞いてナマエが渋々銃を下す。
だが話し合いでは埒が明かない、それこそナマエの言う肉体言語でじっくりお話をしなければなくなる。
丁半賭博で決めることになった。また博打か、とナマエが静かに嫌な顔をした。
サイコロに細工はなし、壺振りは仲沢がやることになった。
「その前に仲沢さん、あんたも脱げ」
「あ、は、はい……」
仲沢が服を脱ぐ。
ナマエは仲沢が服を脱ぐ前に手で目を覆っていた。
「うるるるる」
「汚い乳首をアシㇼパさんに見せじゃねえよ、怖がってんだろッ!」
「なんだその乳首は!早く隠せ!!」
「ふざけた乳首しやがって!!ナマエも怖がってんだろ!!」
「見てないです。私なんにも見てないです」
聞こえる情報だけだが、先に目を覆っていてよかったと安堵した。
「よご……よござんすね?」
「真似事はいいから早くしな」
「一発勝負だぜ、さあ張った張った!」
「丁ッ!」
「うるせえ白石!半だ!半!」
「よっしゃならこっちは丁だ!」
「負けた方は文句なしに外に杉元くんの弾薬を取りに行くでいいよね?」
「ああ!さあ勝負勝負ッ!」
仲沢が壺を開く、結果はイチロクの半でキロランケの勝ち。
若山が仲沢を蹴り飛ばした。
「ああ~~見ろこの壺ッ!髪の毛が張ってあるぞ」
「イカサマじゃない!!」
と、思わずナマエが仲沢の頭を引っ叩いた。
毛返しというイカサマは高等技術なため、ただの農夫にできるようなものではないと白石が言う。
「こいつらグルだったんだ!イカサマしようとして失敗しやがった!」
「いや、お前に限って失敗は有り得ねえ。わざとやりやがったな?なんだって俺を困らせることばっかりしやがんだ!」
若山が仲沢を責め立てると、仲沢が肩を震わせながら反論の言葉を口にした。
「親分が浮気するからだ!」
「あれは金で買った男だと言っただろう!まだ根に持ってるのかッ!」
「え……あ…え??」
情報量の多さにナマエの頭はパンクした。
「!」
「え、なに?……なんだ驚かせんなよ」
「さっき赤毛に襲われてた馬だ。大した傷じゃない、お前ここまで逃げてきたのか」
キロランケは怪我した馬を連れていくことにした。
「その馬連れてくの?」
「こいつは赤毛の獲物だ!執念深いヒグマは必ず自分の獲物を取り戻しに来る!」
「ええ!?じゃあそんな馬置いてけよっ!」
「うるせえ!殺されちまうってわかってるのにほっとけるかよ」
キロランケが白石の方を振り返った時、視界に大きな赤毛のヒグマが視界に飛び込んでくる。
「あ、赤毛だ…」
「いいか白石、ナマエ、ゆっくり動け。絶対走るなよ」
「キロランケさん、それもっと早く言った方がよかったかもしれないです」
白石は脱兎のごとく走って逃げていた。
「このタコ坊主ッ!」
ヒグマが走って逃げた白石を追う。
「ベルトを外して投げろ!ヒグマはヘビが嫌いだ!」
ヒグマはベルトをヘビだと思い怯んで足を止める。ベルトを外したせいでズボンがずり下がってしまった白石の手を引っ張りながら三人はなんとか農家へと逃げ込む。
「何の騒ぎだ?」
「ヒグマが外にいる!あんた銃は?」
「銃なんてこの家には置いとらんぞ」
その言葉に三人が絶望する。
扉の外では赤毛がフンフンと鼻を鳴らしていた。
「警戒して入ってこない。今のうちに入口を全部塞ぐぞ!」
三人がいそいそと入口を塞ぐ。
「何をやってるんですか?」
「え?あんた今入ってきたのか?どこから入ってきた?」
「奥の勝手口ですけど」
「やべえ、そっちも塞がねえと!あんたひとりか?」
「……はい。どうして土間に馬が?」
「表にヒグマがいるんだよ!!」
「え?ヒグマ?」
慌てて勝手口を塞ぎに行く白石
そしてキロランケは違和感に気づく。
「ちょっと待て、ここはあんたの家なのか?」
「ええ、まあ……はい……」
曖昧な物言いではあったが、この家が入ってきた男のものだとすると、さっきまでいた男は何なのか、という話になる。
警戒しながら家を探索してキロランケとナマエは見つけてしまった。
「う、わ」
「オイこれ、いつからここに?」
階段に置かれていたのは競馬場にいた二人の生首
ナマエは静かに護身用に貰った拳銃を構えた。低威力の拳銃ではあるが、至近距離で数発撃てば人一人殺すぐらい訳ないだろう。
「おいキロランケ!なんだよそりゃ!」
「えぇ?それは……」
「トボけてんじゃねぇよオッサン、俺らより先にいてこの生首に気づかないわけないだろ」
「ここの戸を閉めて囲炉裏の傍にずっといたから気づかなかった!本当だ!ここへ来たのも一晩泊まれる場所を牧場の人間に教えてもらったからだ!」
「牧場の従業員がこの家は使われてないって言ってた。ここ、あんたの家じゃないんじゃないの?」
さっきまでの気弱そうな人物はどこへ行ったのやら。
まるでカチリとスイッチが入ったように銃を構え睨むナマエにその場の人間は多少なりとも驚いたことだろう。
「どっちだ?どっちが俺を殺しに苫小牧から追ってきた男だ?」
膠着状態が続く中、ドンドンと戸を叩く音とアシㇼパの声が飛び込んできた。
「白石ッ!小鳥遊ッ!いないのか!?戸が開かないぞ!早く開けろ!」
「杉元たちだ。こっちだ!裏へまわれっ!」
三人が裏の窓から中に入ってくる。
「危機一髪だぜ」
「クソッ、弾薬合が……」
ずるりと窓の近くにいた牧場の従業員がヒグマに持っていかれる。
アシㇼパは杉元も引きずり出されるから手放せと言ったが、暗号の入れ墨を持つ脱獄囚かもしれないと手を離さなかった。
「離すなよ杉元!」
キロランケは杉元の銃にマキリを縛り付け、ヒグマを数回刺す。
「……違った、囚人じゃねえ」
「ここに銃は?」
「私のこの護身用に貰ったやつだけ…」
「それじゃあヒグマは殺せない」
「あっ、アシㇼパちゃん弓矢は?」
「弓は折れた。矢も全部落とした」
「何やってんだよドジっ」
白石は靴を投げられた。
「まともな武器なしで…どうすだよ!!ヒグマが三頭も家の外を囲んでるんだぞ!」
「危険なのは家の中もだよ。そこ、名乗って」
「仲沢達弥と申します」
「若山輝一郎」
「その生首は?」
「競馬場でキロランケさんに八百長を勧めた奴ら。この二人のどっちかに報復として殺されたらしいです」
「脱げ。キロランケを送ってきたヤクザならくりからもんもんが入ってるだろ。そいつに外の弾薬合を取りに行かせようぜ」
そう言った瞬間若山が長ドスを杉元に振りかぶった。
「テメェらが連れてきたヒグマだろうが!テメェでケツがふけねぇなら、切り刻んでヒグマの餌にしてやろうか」
「威力が弱いとはいえ拳銃、ドスと銃のどっちのが強いかはヤクザならよくわかると思うんだけど?」
「は、やってみるか?そっちのアイヌの色男、テメエのせいで俺は競馬で大損こいたんだ」
「あんたが馬主の親分だったか。この生首で俺を脅すつもりだったのか?」
「あるいは殺す前に見せつけるためかもな」
「お兄ちゃんが会話ができない輩には肉体言語で話せって言ってたなあ……」
「みんないい加減にしろ!外にはヒグマが三頭もいるのに中で殺しあってどうする!ここを無事に脱出することが最優先だろう!」
アシㇼパの言葉を聞いてナマエが渋々銃を下す。
だが話し合いでは埒が明かない、それこそナマエの言う肉体言語でじっくりお話をしなければなくなる。
丁半賭博で決めることになった。また博打か、とナマエが静かに嫌な顔をした。
サイコロに細工はなし、壺振りは仲沢がやることになった。
「その前に仲沢さん、あんたも脱げ」
「あ、は、はい……」
仲沢が服を脱ぐ。
ナマエは仲沢が服を脱ぐ前に手で目を覆っていた。
「うるるるる」
「汚い乳首をアシㇼパさんに見せじゃねえよ、怖がってんだろッ!」
「なんだその乳首は!早く隠せ!!」
「ふざけた乳首しやがって!!ナマエも怖がってんだろ!!」
「見てないです。私なんにも見てないです」
聞こえる情報だけだが、先に目を覆っていてよかったと安堵した。
「よご……よござんすね?」
「真似事はいいから早くしな」
「一発勝負だぜ、さあ張った張った!」
「丁ッ!」
「うるせえ白石!半だ!半!」
「よっしゃならこっちは丁だ!」
「負けた方は文句なしに外に杉元くんの弾薬を取りに行くでいいよね?」
「ああ!さあ勝負勝負ッ!」
仲沢が壺を開く、結果はイチロクの半でキロランケの勝ち。
若山が仲沢を蹴り飛ばした。
「ああ~~見ろこの壺ッ!髪の毛が張ってあるぞ」
「イカサマじゃない!!」
と、思わずナマエが仲沢の頭を引っ叩いた。
毛返しというイカサマは高等技術なため、ただの農夫にできるようなものではないと白石が言う。
「こいつらグルだったんだ!イカサマしようとして失敗しやがった!」
「いや、お前に限って失敗は有り得ねえ。わざとやりやがったな?なんだって俺を困らせることばっかりしやがんだ!」
若山が仲沢を責め立てると、仲沢が肩を震わせながら反論の言葉を口にした。
「親分が浮気するからだ!」
「あれは金で買った男だと言っただろう!まだ根に持ってるのかッ!」
「え……あ…え??」
情報量の多さにナマエの頭はパンクした。