四章
夢小説設定
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ひと悶着、いやふた悶着ぐらいあったが、無事に日高に辿り着いた。
そこでアザラシを仕留め、鍋にする。
「わああっ!」
「どうしたの?」
「プクサキナが……去年とって干しておいたニリンソウがもう無い……っ肉料理にいれれば肉の味を何倍にするだけでなく、お互いの味を引き立てるニリンソウがこんな時にないなんて!!」
「オヤジがのっぺらぼうだって言われた時より落ち込んでるじゃねえか」
「アシㇼパちゃんらしい」
ニリンソウがなくても十分美味しいのだが、アシㇼパは納得がいっていないようだった。食べ終えてまた移動する。
「あ、村見えました」
「小鳥遊は目が良いな」
「そ、そうかな?」
アシㇼパの祖母の姉がいるコタンに着くと、フチの姉はほろりと泣き出してしまった。
話を聞くと、フチたちの家には母親から代々譲り受けてきた大切な宝物があったのだが、それをギャンブル好きの義理の息子が売り払い、終いには逃げたという。
「ひどい……許せない」
「白石さんはちょっと黙っててくれますか」
「くぅーん……」
その売り払われた服を買い戻すお金は一応ある。
道中、ナマエは愚痴をこぼす。
「大体どうして博打に金を費やすかがわからない。私の父もだったけど本当に理解ができない」
そう、ナマエの父親はいわゆるパチンカスで、ドブに捨てられていくお金を見て母親が耐えられず、ナマエが中学生のころに離婚している。
「博打はそもそも胴元が儲かる仕組みなんだし、自分の稼いで余ったお金で娯楽としてやればいいのにどうして人生をかけるレベルでやるのか。ね、白石さん」
「ナマエちゃんすごく怒ってない?」
「はは、もうしなきゃいいんですよ。やるとしても嗜む程度に、ね?約束できます?」
「約束しまぁす……」
自分よりもずっと年下のナマエに怒られる白石は情けなかった。
話は変わるが、アザラシの服を買ったのは牧場を経営するエディー・ダンというアメリカ人だった。
「日本へ来て25年になる。珍しいものが好きでね、アイヌのものも集めているんだ。あの服も気に入っている」
「事情は話したはずだ。そっちが払った30円は返す」
「30円?100円じゃなかったかな?」
ダンのその言葉で空気が一気に重くなる。
「ダンさんよ。戦争ってどういう時に起こるか知ってるかい?舐めた要求を吹っ掛けられて交渉が決裂した時だ」
変なこと言うとぶっ殺すぞお前、ともとれるような物騒な物言いにダンは冷や汗を垂らした。
「モンスターを斃せたら30円でアザラシ皮の服を返そう。うちの馬が何頭も襲われている、従業員もモンスターを恐れて退治する人間がいない。そいつの死体を持ってくればアザラシ皮の服を30円で返す」
「いいからさっさと返せよオッサン」
「肉体言語でお話しなきゃダメかなぁ……」
ぽそっと呟いたナマエのその言葉にアシㇼパが反応する。
「やめろ小鳥遊、血で汚したくない」
「誰も殺すなんて言ってないよ!」
「エディーさん!また出ました!!」
モンスターは、赤毛のヒグマだった。
頭が良かろうと何だろうと熊は熊だ。
「白石はついてくるな、ドジだし邪魔なだけだ。銃もないのにワイワイついてこられても困る」
「クーン」
「この森を南へ出ると誰も使ってない農家がある。勝手に休んでも構わんだろう」
「キロちゃん、ナマエちゃん、一緒に行ってくれる?」
「いいですよ」
「蛍ちゃん!やっぱナマエちゃんは優しいね」
白石にぎゅっと抱き着かれよしよしされたナマエの顔は満更でもないと言った感じで、少し嬉しそうだった。
そこでアザラシを仕留め、鍋にする。
「わああっ!」
「どうしたの?」
「プクサキナが……去年とって干しておいたニリンソウがもう無い……っ肉料理にいれれば肉の味を何倍にするだけでなく、お互いの味を引き立てるニリンソウがこんな時にないなんて!!」
「オヤジがのっぺらぼうだって言われた時より落ち込んでるじゃねえか」
「アシㇼパちゃんらしい」
ニリンソウがなくても十分美味しいのだが、アシㇼパは納得がいっていないようだった。食べ終えてまた移動する。
「あ、村見えました」
「小鳥遊は目が良いな」
「そ、そうかな?」
アシㇼパの祖母の姉がいるコタンに着くと、フチの姉はほろりと泣き出してしまった。
話を聞くと、フチたちの家には母親から代々譲り受けてきた大切な宝物があったのだが、それをギャンブル好きの義理の息子が売り払い、終いには逃げたという。
「ひどい……許せない」
「白石さんはちょっと黙っててくれますか」
「くぅーん……」
その売り払われた服を買い戻すお金は一応ある。
道中、ナマエは愚痴をこぼす。
「大体どうして博打に金を費やすかがわからない。私の父もだったけど本当に理解ができない」
そう、ナマエの父親はいわゆるパチンカスで、ドブに捨てられていくお金を見て母親が耐えられず、ナマエが中学生のころに離婚している。
「博打はそもそも胴元が儲かる仕組みなんだし、自分の稼いで余ったお金で娯楽としてやればいいのにどうして人生をかけるレベルでやるのか。ね、白石さん」
「ナマエちゃんすごく怒ってない?」
「はは、もうしなきゃいいんですよ。やるとしても嗜む程度に、ね?約束できます?」
「約束しまぁす……」
自分よりもずっと年下のナマエに怒られる白石は情けなかった。
話は変わるが、アザラシの服を買ったのは牧場を経営するエディー・ダンというアメリカ人だった。
「日本へ来て25年になる。珍しいものが好きでね、アイヌのものも集めているんだ。あの服も気に入っている」
「事情は話したはずだ。そっちが払った30円は返す」
「30円?100円じゃなかったかな?」
ダンのその言葉で空気が一気に重くなる。
「ダンさんよ。戦争ってどういう時に起こるか知ってるかい?舐めた要求を吹っ掛けられて交渉が決裂した時だ」
変なこと言うとぶっ殺すぞお前、ともとれるような物騒な物言いにダンは冷や汗を垂らした。
「モンスターを斃せたら30円でアザラシ皮の服を返そう。うちの馬が何頭も襲われている、従業員もモンスターを恐れて退治する人間がいない。そいつの死体を持ってくればアザラシ皮の服を30円で返す」
「いいからさっさと返せよオッサン」
「肉体言語でお話しなきゃダメかなぁ……」
ぽそっと呟いたナマエのその言葉にアシㇼパが反応する。
「やめろ小鳥遊、血で汚したくない」
「誰も殺すなんて言ってないよ!」
「エディーさん!また出ました!!」
モンスターは、赤毛のヒグマだった。
頭が良かろうと何だろうと熊は熊だ。
「白石はついてくるな、ドジだし邪魔なだけだ。銃もないのにワイワイついてこられても困る」
「クーン」
「この森を南へ出ると誰も使ってない農家がある。勝手に休んでも構わんだろう」
「キロちゃん、ナマエちゃん、一緒に行ってくれる?」
「いいですよ」
「蛍ちゃん!やっぱナマエちゃんは優しいね」
白石にぎゅっと抱き着かれよしよしされたナマエの顔は満更でもないと言った感じで、少し嬉しそうだった。