三章
夢小説設定
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「この人はフチの弟で6人いる兄弟の一番末だ。今日は子のチセに泊まらせてくれる」
「アㇻキ クニ ソモ クラム ロㇰ ウタㇻ ヘㇺトマニワノ アㇻキ シリ! 」
アイヌ語がわからない三人のためにアシㇼパは翻訳してくれる。
「この間も不思議な女が近村に現れ居ついてる。過去や未来が見えるというその女のせいで村のみんながおかしくなってる。……丁度来た。インカラマッという名の女だ」
「素敵なニㇱパたちがいらっしゃいますね」
「白石由竹です!独身で彼女はいません!」
「アラ……頭から血が出てますよ?」
「釘のついた油樽をかぶせられたんです!」
「私傷のある男性にとても弱いんです。そちらの兵隊さんもとても男前ですね」
「そりゃどうも」
綺麗な女性に褒められて照れない男性はあまりいないだろう。杉元も少しだけ顔を赤くした。
それが気に入らなかった様子のアシㇼパがすぐさま杉元を下げるようなことをインカラマッに言った。
どう見てもそれが嫉妬からくるものだと気づいたキロランケとナマエはにやにやと笑い二人を見た。
「は~いいなあ、こういうの」
「ナマエにはいないのか?」
「残念ながら」
「いい奴なのになあ」
「そう言われると素直に嬉しいです」
「ちょっと待って、あなたたちは……小樽から来たんじゃないですか?」
「ええ?どうしてそれを?」
「私、見えるんです。あなたたちは誰かを、あるいは何かを探してる」
「うそでしょ!?すごいっ、その通りです!」
「私は占いが得意です。ニウォクといってアイヌは事の大小にこだわらず、何か判断に迷ったときは占いで決めます。ニウォクの結果は神の意思として疑うことなく従います」
インカラマッは占いに使うシラッキカムイという狐の頭骨を頭に乗せて占いをする。
「歯が下を向きました。希望は持てません。不吉な兆候を感じます。予定は中止すべきでしょう」
「なんにでも当てはまりそうなことを当てずっぽうで言ってるだけだ。私は占いなんかに従わない、私は新しいアイヌの女だから」
インカラマッはそうですかと言いながら占い道具を仕舞う。
「ところで……探しているのはお父さんじゃありませんか?」
驚くアシㇼパの前に蛍が立つ。
「占いがお得意なら、私のことも占ってくれませんか?」
「いいでしょう、何を占ってほしいんですか?」
「私の帰る場所を教えてほしいんです」
一同は首を傾げた。
そりゃそうだろう、ナマエがいまいち意味の分からないことを言いだしたのだから。
「いいでしょう、占います」
インカラマッがさっきとは別の占い道具を出し、ナマエを視る。
「?……占い結果が出ません」
「ああ、やっぱりそうですか」
「あなたのことがよく視えません。何者なんですか……?」
「さあ、神隠しに遭ったせいでしょうか」
「神隠し?」
キロランケが杉元の方を見るが、何も聞かされていない杉元たちは首を横に振った。
「気にしないでください。きっとインカラマッさんの調子が悪かっただけでしょうから」
ニコリと笑うナマエはなんだか不気味に見えた。
「小鳥遊!さっきの、神隠しってなんだ?どういうことだ?」
「アシㇼパちゃんは神隠しを知りませんか?日本に古くから伝わる、人が忽然と消え失せる現象のことです」
「……小鳥遊は、その神隠しに遭ったのか?」
ニコリとナマエが笑った。
「可愛い猫に騙されちゃったんです」
得体のしれない不気味さにアシㇼパの心臓は跳ね上がる。
後ろにいる杉元一味も思わずナマエを警戒した。
「そんな身構えないでください。私がアシㇼパちゃんたちに危害を加えるわけないじゃないですか!」
そう言った蛍はいつものナマエだった。調子が狂う。
コロコロ変わるナマエの不安定さが一行には気味悪く見えたことだろう。
「
アイヌ語がわからない三人のためにアシㇼパは翻訳してくれる。
「この間も不思議な女が近村に現れ居ついてる。過去や未来が見えるというその女のせいで村のみんながおかしくなってる。……丁度来た。インカラマッという名の女だ」
「素敵なニㇱパたちがいらっしゃいますね」
「白石由竹です!独身で彼女はいません!」
「アラ……頭から血が出てますよ?」
「釘のついた油樽をかぶせられたんです!」
「私傷のある男性にとても弱いんです。そちらの兵隊さんもとても男前ですね」
「そりゃどうも」
綺麗な女性に褒められて照れない男性はあまりいないだろう。杉元も少しだけ顔を赤くした。
それが気に入らなかった様子のアシㇼパがすぐさま杉元を下げるようなことをインカラマッに言った。
どう見てもそれが嫉妬からくるものだと気づいたキロランケとナマエはにやにやと笑い二人を見た。
「は~いいなあ、こういうの」
「ナマエにはいないのか?」
「残念ながら」
「いい奴なのになあ」
「そう言われると素直に嬉しいです」
「ちょっと待って、あなたたちは……小樽から来たんじゃないですか?」
「ええ?どうしてそれを?」
「私、見えるんです。あなたたちは誰かを、あるいは何かを探してる」
「うそでしょ!?すごいっ、その通りです!」
「私は占いが得意です。ニウォクといってアイヌは事の大小にこだわらず、何か判断に迷ったときは占いで決めます。ニウォクの結果は神の意思として疑うことなく従います」
インカラマッは占いに使うシラッキカムイという狐の頭骨を頭に乗せて占いをする。
「歯が下を向きました。希望は持てません。不吉な兆候を感じます。予定は中止すべきでしょう」
「なんにでも当てはまりそうなことを当てずっぽうで言ってるだけだ。私は占いなんかに従わない、私は新しいアイヌの女だから」
インカラマッはそうですかと言いながら占い道具を仕舞う。
「ところで……探しているのはお父さんじゃありませんか?」
驚くアシㇼパの前に蛍が立つ。
「占いがお得意なら、私のことも占ってくれませんか?」
「いいでしょう、何を占ってほしいんですか?」
「私の帰る場所を教えてほしいんです」
一同は首を傾げた。
そりゃそうだろう、ナマエがいまいち意味の分からないことを言いだしたのだから。
「いいでしょう、占います」
インカラマッがさっきとは別の占い道具を出し、ナマエを視る。
「?……占い結果が出ません」
「ああ、やっぱりそうですか」
「あなたのことがよく視えません。何者なんですか……?」
「さあ、神隠しに遭ったせいでしょうか」
「神隠し?」
キロランケが杉元の方を見るが、何も聞かされていない杉元たちは首を横に振った。
「気にしないでください。きっとインカラマッさんの調子が悪かっただけでしょうから」
ニコリと笑うナマエはなんだか不気味に見えた。
「小鳥遊!さっきの、神隠しってなんだ?どういうことだ?」
「アシㇼパちゃんは神隠しを知りませんか?日本に古くから伝わる、人が忽然と消え失せる現象のことです」
「……小鳥遊は、その神隠しに遭ったのか?」
ニコリとナマエが笑った。
「可愛い猫に騙されちゃったんです」
得体のしれない不気味さにアシㇼパの心臓は跳ね上がる。
後ろにいる杉元一味も思わずナマエを警戒した。
「そんな身構えないでください。私がアシㇼパちゃんたちに危害を加えるわけないじゃないですか!」
そう言った蛍はいつものナマエだった。調子が狂う。
コロコロ変わるナマエの不安定さが一行には気味悪く見えたことだろう。