三章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
翌日、五人は網走に向かうため馬に乗った。
ナマエは一人で馬に乗れないため、キロランケの前に座らせてもらうことになった。
「うちの農耕馬だ、畑を耕す時期までには帰ってこよう」
「よし、行こうか。網走へ!」
「俺の馬、小さいんだけど……」
「悪いな白石、道産子の小さいのしかいなかった」
「道産子の馬可愛いですね」
「だろう?」
当時の北海道は農耕馬や軍馬の増強のため洋種馬との荒廃が進み、体格の大きな馬が多くみられた。
だが、日本固有の馬である道産子はそもそも胴長短足の小型な品種であった。
ナマエはそんな小さな馬が可愛いと思っていたが、それに乗る白石は微妙な顔をしていた。
出発早々馬の前に山賊の邪魔が入る。
こんなにも早く邪魔が入るのはもはや何かのお約束なのだろうか?
「有り金と馬を頂く」
「そっちの兵隊さんら、肩の銃を捨てな」
「大人しく言うことを聞いた方が身のためだぜ」
「大人しくはできねえな」
「あ?」
キロランケが投げたものが山賊の足元にボトリと落ちる。
それが手投げ弾だと気づいたとき、山賊は慌てるが時すでに遅し、手投げ弾は爆発した。
すぐさま山賊の一人の手を踏むキロランケ、もう一人は杉元が足を折り頭をバチンと思い切り叩いた。
「もうやめな~?」
「そうですよ」
「ナマエちゃんもそう思うよね?」
「早くその辺の木に縛り付けて早く出発しましょうよ。時間の無駄です」
「う~~ん、なんか違う」
自分で言った通りナマエは二人の山賊を木に縛り付けて、またキロランケに馬に乗せてもらう。自分で乗れないのである。
「物騒なのはあれを思い出すから嫌なんですよね」
「あれ?」
「お世話になった和菓子屋に乗り込んできた質の悪いゴロツキ」
「それ、どうしたの?」
「顎思い切り殴って追いやってやりました」
「おっそろしい子だよマジで」
「随分と物騒なもの持ってるじゃねえか、巻き添えは困るぞ」
「さっきのは火薬を少なめに調節してある」
ナマエは手投げ弾を手に取り、まじまじと見る。
そしてキロランケに何かあった時用にと三つほど鞄の中に突っ込まれる。
「俺は工兵でね。二〇三高地では即席の手投げ弾を大量に作ったり、ロシア軍の堡塁に地面を掘って近づいて爆破したもんさ」
「なるほど、頼もしい道連れができた」
そうして一行は一度アシㇼパの村に戻ることにした。
「思ったよりも早い帰還だなあ、なんてな」
馬を撫でているとコンルが近づいてきた。
コンルに話しかけられたナマエはぱあっと目を輝かせて笑った。そんな顔を見せるナマエの頭を優しく撫でた。
「状態のいい馬だな」
「キロランケさんたちにも言ったんですけど小さい馬可愛いですよね」
「確かにな。固有の馬が一番可愛らしい」
「小鳥遊ー!こっち来てくれー!」
「はーい、それじゃあコンルさん、また」
コンルにひらひらと手を振って杉元のとこに駆け戻る。
フチの家で作戦会議をするらしい。
「網走へ向かうのか。ここから網走の中間地点に旭川だ」
「あ、旭川には第七師団の本部があるはず」
「そうだ、第七師団本部に鶴見中尉のこと密告したらどうかな?」
「本部には鶴見中尉の息の掛かった人間もいる。聯隊長の淀川中佐だ」
カリスマ性のある鶴見にとって人を従わせるのは簡単なのかもしれない。
そう思うとナマエは途端に気分が悪くなった。
作戦会議を終え、一行は村を出る。
「谷垣、フチをよろしく頼むぞ」
「まずは札幌に寄る必要がある」
「札幌?」
「札幌の銃砲店に知り合いがいて、爆薬や武器を安く買える。網走での計画、場合によっては荒っぽい作戦が必要になるかもしれん」
「銃砲店なら小樽にもあるだろ?」
「知り合いのところならアシもつかない」
「用心して損はありませんからね」
「そういうことだ。なあに、札幌なんてあっという間だ」
ナマエは一人で馬に乗れないため、キロランケの前に座らせてもらうことになった。
「うちの農耕馬だ、畑を耕す時期までには帰ってこよう」
「よし、行こうか。網走へ!」
「俺の馬、小さいんだけど……」
「悪いな白石、道産子の小さいのしかいなかった」
「道産子の馬可愛いですね」
「だろう?」
当時の北海道は農耕馬や軍馬の増強のため洋種馬との荒廃が進み、体格の大きな馬が多くみられた。
だが、日本固有の馬である道産子はそもそも胴長短足の小型な品種であった。
ナマエはそんな小さな馬が可愛いと思っていたが、それに乗る白石は微妙な顔をしていた。
出発早々馬の前に山賊の邪魔が入る。
こんなにも早く邪魔が入るのはもはや何かのお約束なのだろうか?
「有り金と馬を頂く」
「そっちの兵隊さんら、肩の銃を捨てな」
「大人しく言うことを聞いた方が身のためだぜ」
「大人しくはできねえな」
「あ?」
キロランケが投げたものが山賊の足元にボトリと落ちる。
それが手投げ弾だと気づいたとき、山賊は慌てるが時すでに遅し、手投げ弾は爆発した。
すぐさま山賊の一人の手を踏むキロランケ、もう一人は杉元が足を折り頭をバチンと思い切り叩いた。
「もうやめな~?」
「そうですよ」
「ナマエちゃんもそう思うよね?」
「早くその辺の木に縛り付けて早く出発しましょうよ。時間の無駄です」
「う~~ん、なんか違う」
自分で言った通りナマエは二人の山賊を木に縛り付けて、またキロランケに馬に乗せてもらう。自分で乗れないのである。
「物騒なのはあれを思い出すから嫌なんですよね」
「あれ?」
「お世話になった和菓子屋に乗り込んできた質の悪いゴロツキ」
「それ、どうしたの?」
「顎思い切り殴って追いやってやりました」
「おっそろしい子だよマジで」
「随分と物騒なもの持ってるじゃねえか、巻き添えは困るぞ」
「さっきのは火薬を少なめに調節してある」
ナマエは手投げ弾を手に取り、まじまじと見る。
そしてキロランケに何かあった時用にと三つほど鞄の中に突っ込まれる。
「俺は工兵でね。二〇三高地では即席の手投げ弾を大量に作ったり、ロシア軍の堡塁に地面を掘って近づいて爆破したもんさ」
「なるほど、頼もしい道連れができた」
そうして一行は一度アシㇼパの村に戻ることにした。
「思ったよりも早い帰還だなあ、なんてな」
馬を撫でているとコンルが近づいてきた。
コンルに話しかけられたナマエはぱあっと目を輝かせて笑った。そんな顔を見せるナマエの頭を優しく撫でた。
「状態のいい馬だな」
「キロランケさんたちにも言ったんですけど小さい馬可愛いですよね」
「確かにな。固有の馬が一番可愛らしい」
「小鳥遊ー!こっち来てくれー!」
「はーい、それじゃあコンルさん、また」
コンルにひらひらと手を振って杉元のとこに駆け戻る。
フチの家で作戦会議をするらしい。
「網走へ向かうのか。ここから網走の中間地点に旭川だ」
「あ、旭川には第七師団の本部があるはず」
「そうだ、第七師団本部に鶴見中尉のこと密告したらどうかな?」
「本部には鶴見中尉の息の掛かった人間もいる。聯隊長の淀川中佐だ」
カリスマ性のある鶴見にとって人を従わせるのは簡単なのかもしれない。
そう思うとナマエは途端に気分が悪くなった。
作戦会議を終え、一行は村を出る。
「谷垣、フチをよろしく頼むぞ」
「まずは札幌に寄る必要がある」
「札幌?」
「札幌の銃砲店に知り合いがいて、爆薬や武器を安く買える。網走での計画、場合によっては荒っぽい作戦が必要になるかもしれん」
「銃砲店なら小樽にもあるだろ?」
「知り合いのところならアシもつかない」
「用心して損はありませんからね」
「そういうことだ。なあに、札幌なんてあっという間だ」