二章
夢小説設定
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「なんだ?!」
アシㇼパのその声にナマエと杉元
「あ……しまった」
「どうした?」
「虫でも出たのかな」
「アシㇼパちゃんが虫に怯むとは思えないけど」
「お二人に見せたいものがあります、着いてきてくれますか?」
「え?うん」
アシㇼパがニシン場に囚人がいるかもしれないということを伝えに戻った時にはもう二人は辺見に連れられ外に移動していた。
「見せたいものってなんだ?」
「え?ああ、こちらです」
辺見の頭の中は邪魔の入らないところに二人を連れ出さないと、という思いでいっぱいだった。
「こっちは粕叩き、これはこまざらい。どれもニシン粕を砕いて広げ乾燥させる道具です。どれがお気に入りですか?それともやっぱりこの玉切り包丁?」
「いや、だからさ、俺らはもう行くよ。ニシン漬けご馳走様」
「!?、杉元くん……」
ヒュ、と喉から変な息が漏れ出た。
辺見に構っていて蛍は忘れていたのだ。このニシン場に第七師団が来ることを。
「小鳥遊どうし、第七師団……!!」
「見つかるとまずいんですか?」
「俺を探してるわけじゃないと思うが……見つかるとタダじゃすまされねえ」
「わっ、私、もうあそこには戻りたくないです」
「あそこに匿ってもらいましょう、親方が住む豪邸で隠れるところがいっぱいあります」
完全に体が強張ってしまったナマエの手を杉元が優しく握り、大丈夫だよと落ち着かせてその豪邸へと向かった。
「勝手に裏から入っていいのか?」
「緊急避難です。上へ行きましょう」
「大丈夫かな……」
「あ!」
「おい今の軍帽」
「不死身の杉元じゃないか?」
「下にいた奴にも見覚えがある」
『第七師団には戻りたくない』
ナマエはそれしか思っていなかった。
ずっと鶴見の手元にいればきっと自分は逃げ出す意欲を完全になくしてしまうと思っていたから。
「小鳥遊、下がってろ」
「はい……」
ぱっと手を離され、ナマエは一歩ずつ後退る。
心臓はずっと太鼓のようにうるさく鳴っていた。
――ダンッ
辺見が脇腹を押さえながら階段を下りて、というより落ちてくる。
「撃たれたのか!?善良な一般人を撃つなんて……」
「怖かった」
「奇遇だな、不死身の杉元。それに小鳥遊ナマエ」
目を細めて笑う鶴見を見て、ナマエの喉からまた変な息が漏れ出た。
「鶴見中尉……」
「小鳥遊、怖いかもしれないが頑張って走れ」
「がん、ばる…」
「泥棒カモメが御殿まで入ってきたか!試し撃ちにちょうどいいわ!!」
「今だ!!走れ小鳥遊!!」
杉元の声を合図にナマエは勢い良く走り出す。
マキシム機関銃の弾から逃げるように懸命に走った。
鰊御殿に入った時から変わりなく、心臓の音はうるさく鳴っていた。
杉元は辺見を引っ張りながら、ナマエは余計なことを考えないようにして走っていた。
「やめろ殺すな」
鶴見が親方の頭をガツンと叩く。
「私の小鳥、やはり杉元一味のところにいたか」
くつくつと笑う鶴見の声はナマエにはもちろん、誰の耳にも入らなかった。
アシㇼパのその声にナマエと杉元
「あ……しまった」
「どうした?」
「虫でも出たのかな」
「アシㇼパちゃんが虫に怯むとは思えないけど」
「お二人に見せたいものがあります、着いてきてくれますか?」
「え?うん」
アシㇼパがニシン場に囚人がいるかもしれないということを伝えに戻った時にはもう二人は辺見に連れられ外に移動していた。
「見せたいものってなんだ?」
「え?ああ、こちらです」
辺見の頭の中は邪魔の入らないところに二人を連れ出さないと、という思いでいっぱいだった。
「こっちは粕叩き、これはこまざらい。どれもニシン粕を砕いて広げ乾燥させる道具です。どれがお気に入りですか?それともやっぱりこの玉切り包丁?」
「いや、だからさ、俺らはもう行くよ。ニシン漬けご馳走様」
「!?、杉元くん……」
ヒュ、と喉から変な息が漏れ出た。
辺見に構っていて蛍は忘れていたのだ。このニシン場に第七師団が来ることを。
「小鳥遊どうし、第七師団……!!」
「見つかるとまずいんですか?」
「俺を探してるわけじゃないと思うが……見つかるとタダじゃすまされねえ」
「わっ、私、もうあそこには戻りたくないです」
「あそこに匿ってもらいましょう、親方が住む豪邸で隠れるところがいっぱいあります」
完全に体が強張ってしまったナマエの手を杉元が優しく握り、大丈夫だよと落ち着かせてその豪邸へと向かった。
「勝手に裏から入っていいのか?」
「緊急避難です。上へ行きましょう」
「大丈夫かな……」
「あ!」
「おい今の軍帽」
「不死身の杉元じゃないか?」
「下にいた奴にも見覚えがある」
『第七師団には戻りたくない』
ナマエはそれしか思っていなかった。
ずっと鶴見の手元にいればきっと自分は逃げ出す意欲を完全になくしてしまうと思っていたから。
「小鳥遊、下がってろ」
「はい……」
ぱっと手を離され、ナマエは一歩ずつ後退る。
心臓はずっと太鼓のようにうるさく鳴っていた。
――ダンッ
辺見が脇腹を押さえながら階段を下りて、というより落ちてくる。
「撃たれたのか!?善良な一般人を撃つなんて……」
「怖かった」
「奇遇だな、不死身の杉元。それに小鳥遊ナマエ」
目を細めて笑う鶴見を見て、ナマエの喉からまた変な息が漏れ出た。
「鶴見中尉……」
「小鳥遊、怖いかもしれないが頑張って走れ」
「がん、ばる…」
「泥棒カモメが御殿まで入ってきたか!試し撃ちにちょうどいいわ!!」
「今だ!!走れ小鳥遊!!」
杉元の声を合図にナマエは勢い良く走り出す。
マキシム機関銃の弾から逃げるように懸命に走った。
鰊御殿に入った時から変わりなく、心臓の音はうるさく鳴っていた。
杉元は辺見を引っ張りながら、ナマエは余計なことを考えないようにして走っていた。
「やめろ殺すな」
鶴見が親方の頭をガツンと叩く。
「私の小鳥、やはり杉元一味のところにいたか」
くつくつと笑う鶴見の声はナマエにはもちろん、誰の耳にも入らなかった。