二章
夢小説設定
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「ふううう、暖かい……命拾いをした」
「背中炙りと言ってな、背中を暖めた方がいいんだぜ。セトル……なんだっけ?アシㇼパさん」
「セトゥルセセッカ」
「そうですか……」
「濡れた服もそこで全部脱いじまえよ」
「え……!?ここで服を?」
辺見はゆっくりと羽織を脱いだ。これ以上脱いでしまえば自分が入れ墨の囚人だとばれてしまう。
「肌着も脱いじまえば?」
「あの、なんというか……見られている前で全部脱ぐのは恥ずかしいです……」
「へ?恥ずかしい?」
「杉元くん毛布持ってなかったっけ」
「持ってる。使う?毛布」
二人の優しさに、囚人を殺しに来たんじゃないのかな、と辺見は思う。
だが杉元から自分と同じ“人殺しのニオイ”がすることに気づく。
ああ……この人なら残酷に自分を殺してくれるだろうか?
自分がやってきたみたいに、弟を食ったあのケダモノみたいに殺してくれるだろうか!辺見は静かに興奮と期待をしていた。
そして辺見はもう一人、ナマエにも期待を膨らませていたのだ。
元よりナマエは人に好かれる人間だった。だからこそ辺見にも目をつけられてしまったのである。
『この人も、いざとなれば容赦なく人を殺しそうだ』
殺人鬼としての視点か、変態としての本能からか、とにかくそう思った。
「杉元、小鳥遊!私は一人で白石たちを追ってみる。あとは任せた!アシㇼパの面倒も頼んだぞ」
「わかった!」
「わかりました」
そして辺見の着替えがある番屋に移動する。
あの人たちのことをもっと知りたい。その一心で動いてしまったためか、自分の入れ墨を他人に見られてしまった。
目撃者を縄で絞殺していたとき、コンコンと杉元が窓を叩いた。
「はい、なんでしょう?」
「ここの番屋って漁場で働いている奴しか泊まれないのか?宿代分だけでもここで働けねえかな?」
「あとで親方に頼んでみますよ」
ニコリと微笑む辺見、その手は男を確実に殺していた。
だがそれに気づくものは誰一人としていない。
「ニシン場での仕事は分業化されていて完全歩合制なんです。接岸された船からニシンを集積所へ運ぶ“モッコ背負い”も一往復いくらで日当が決まります」
辺見は親切にもニシン漁のことを教えてくれる。
「これは何をやっているんですか?」
「これはシメ粕胴といってさっきの大釜で茹でたニシンの油を取り出す機会です。残ったものがニシン粕といいます」
「ニシン粕って肥料になるんでしたっけ?」
「そうです!ニシン場の加工品として身欠きニシンよりも売れ筋の商品なんですよ」
「へえ……」
「搾りたての大きな塊は粕玉と言って乾燥させるために細かく粉砕する必要があります。粕玉を切断するのにこの玉切り包丁を使います。大きい包丁でしょう?ぜひおためしあれ……です」
玉切り包丁を受け取った杉元が粕玉の前に立つ。
「これを切ればいいの?」
「あああ……とってもお似合いです」
「確かに似合ってるかも」
「ほっ」
粕玉を勢いよく切ると辺見はその粕玉を自分に置き換えて見る。
「はああッ……!」
「こんな感じか?」
「上手だね」
「?」
「これは粕くだきという道具です。鉄製の刃を回転させてニシン粕を粉砕します。次は小鳥遊さん、ぜひおためしあれ……です」
「わ、私ですか?」
「はい」
資料でしか見たことのないをその道具に内心ワクワクしながら粕くだきのハンドルを回した。
「使い方あってますか?」
「もっとゆっくりです!!じわじわとッ!」
そう言われナマエは困惑しながらもハンドルを回す手をゆっくりにする。
「こ、こう?」
「あああ~~~ッ」
喘ぎ声にしか聞こえない辺見の声を無視しながらナマエは粕くだきのハンドルを回した。
「お次はこちら。二人用の玉切り包丁です。二人の息の合った動きが必要です。杉元さん、小鳥遊さん、ぜひおためしあれ……です」
言われるがままに二人は玉切り包丁を持って粕玉を切ろうとする。
「いいですか?せえので切ってくださいね。いいですか?いいですか?」
「せーので一気に切るんですか?」
「ゆっくりです!じわじわと!」
「なんで?」
せーので二人がザクリと粕玉を切ると辺見はビクンビクンと反応する。
「あはああッ、切れちゃった!切れちゃったねえ!?」
「え?切れちゃダメだった?」
二人が息ぴったりに自分を投影した粕玉を切っているのを見てさらに興奮する辺見
その間ナマエとアシㇼパは真顔だった。
狂人が隣にいては頭がおかしくなりそうだとナマエは思ったことだろう。
「背中炙りと言ってな、背中を暖めた方がいいんだぜ。セトル……なんだっけ?アシㇼパさん」
「セトゥルセセッカ」
「そうですか……」
「濡れた服もそこで全部脱いじまえよ」
「え……!?ここで服を?」
辺見はゆっくりと羽織を脱いだ。これ以上脱いでしまえば自分が入れ墨の囚人だとばれてしまう。
「肌着も脱いじまえば?」
「あの、なんというか……見られている前で全部脱ぐのは恥ずかしいです……」
「へ?恥ずかしい?」
「杉元くん毛布持ってなかったっけ」
「持ってる。使う?毛布」
二人の優しさに、囚人を殺しに来たんじゃないのかな、と辺見は思う。
だが杉元から自分と同じ“人殺しのニオイ”がすることに気づく。
ああ……この人なら残酷に自分を殺してくれるだろうか?
自分がやってきたみたいに、弟を食ったあのケダモノみたいに殺してくれるだろうか!辺見は静かに興奮と期待をしていた。
そして辺見はもう一人、ナマエにも期待を膨らませていたのだ。
元よりナマエは人に好かれる人間だった。だからこそ辺見にも目をつけられてしまったのである。
『この人も、いざとなれば容赦なく人を殺しそうだ』
殺人鬼としての視点か、変態としての本能からか、とにかくそう思った。
「杉元、小鳥遊!私は一人で白石たちを追ってみる。あとは任せた!アシㇼパの面倒も頼んだぞ」
「わかった!」
「わかりました」
そして辺見の着替えがある番屋に移動する。
あの人たちのことをもっと知りたい。その一心で動いてしまったためか、自分の入れ墨を他人に見られてしまった。
目撃者を縄で絞殺していたとき、コンコンと杉元が窓を叩いた。
「はい、なんでしょう?」
「ここの番屋って漁場で働いている奴しか泊まれないのか?宿代分だけでもここで働けねえかな?」
「あとで親方に頼んでみますよ」
ニコリと微笑む辺見、その手は男を確実に殺していた。
だがそれに気づくものは誰一人としていない。
「ニシン場での仕事は分業化されていて完全歩合制なんです。接岸された船からニシンを集積所へ運ぶ“モッコ背負い”も一往復いくらで日当が決まります」
辺見は親切にもニシン漁のことを教えてくれる。
「これは何をやっているんですか?」
「これはシメ粕胴といってさっきの大釜で茹でたニシンの油を取り出す機会です。残ったものがニシン粕といいます」
「ニシン粕って肥料になるんでしたっけ?」
「そうです!ニシン場の加工品として身欠きニシンよりも売れ筋の商品なんですよ」
「へえ……」
「搾りたての大きな塊は粕玉と言って乾燥させるために細かく粉砕する必要があります。粕玉を切断するのにこの玉切り包丁を使います。大きい包丁でしょう?ぜひおためしあれ……です」
玉切り包丁を受け取った杉元が粕玉の前に立つ。
「これを切ればいいの?」
「あああ……とってもお似合いです」
「確かに似合ってるかも」
「ほっ」
粕玉を勢いよく切ると辺見はその粕玉を自分に置き換えて見る。
「はああッ……!」
「こんな感じか?」
「上手だね」
「?」
「これは粕くだきという道具です。鉄製の刃を回転させてニシン粕を粉砕します。次は小鳥遊さん、ぜひおためしあれ……です」
「わ、私ですか?」
「はい」
資料でしか見たことのないをその道具に内心ワクワクしながら粕くだきのハンドルを回した。
「使い方あってますか?」
「もっとゆっくりです!!じわじわとッ!」
そう言われナマエは困惑しながらもハンドルを回す手をゆっくりにする。
「こ、こう?」
「あああ~~~ッ」
喘ぎ声にしか聞こえない辺見の声を無視しながらナマエは粕くだきのハンドルを回した。
「お次はこちら。二人用の玉切り包丁です。二人の息の合った動きが必要です。杉元さん、小鳥遊さん、ぜひおためしあれ……です」
言われるがままに二人は玉切り包丁を持って粕玉を切ろうとする。
「いいですか?せえので切ってくださいね。いいですか?いいですか?」
「せーので一気に切るんですか?」
「ゆっくりです!じわじわと!」
「なんで?」
せーので二人がザクリと粕玉を切ると辺見はビクンビクンと反応する。
「あはああッ、切れちゃった!切れちゃったねえ!?」
「え?切れちゃダメだった?」
二人が息ぴったりに自分を投影した粕玉を切っているのを見てさらに興奮する辺見
その間ナマエとアシㇼパは真顔だった。
狂人が隣にいては頭がおかしくなりそうだとナマエは思ったことだろう。